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4. そんな敗北の後の少し小難しそうな話

内政?ターンですので小難しそうな場面が出ます。小難しそうなだけで内容はあまり専門的じゃないですが

後書きに完結にまとめて見るので良ければどうぞ

 フーゴは家に近づくにつれて軽くなる足取りを感じつつ家の前に付いた、カギを開けて中に一歩入ると奥からドタバタと物音が近づいてくる、フーゴの大好きな音、それが近づいてきた


「お帰り!兄さん!」


 杖を使い速足で近づき飛びついてくる妹を受け止めて、腕の中で泣きじゃくる妹を出来る限り急いでなだめる、実は早急になだめ終わらなければフーゴはかなり窮地に陥る事になる、っというのも作戦失敗からここまでまともに休める時間などなかったからだ、しいて言うなら昨日の上官たちへ報告した日の夜はベットで眠る事が許されていたが、あんな状態で眠れるのは心臓が大森林になっている奴か友人のベルナールくらいだろうと思っている、フーゴはこの数日ほとんど眠ることなく歩き続け、あるいは気を張ってスピーチをこなしたのだ、体力は限界だった


「アンネ・・・大丈夫、俺は大丈夫だから・・・」


 そこまで言ったところでフーゴの意識が遠くなってきた


「兄さん!?兄さん!!」


 妹を支えきれなくなりはじめて体が傾き意識を手放しかけた直前でフーゴは何とか持ちこたえた、足の悪いアンネにフーゴを運べるとは思えない、それに倒れて頭でも打てばアンネは責任を感じてしまうだろう


「とりあえずソファーに座らせてくれ」


「ごめん、ごめんね!」


「いやアンネは悪くないよ、本当に大丈夫だから」


 さっきとは別の理由で泣き始める妹を再度なだめてようやく落ち着いた、アンネは今16歳、フーゴとは歳が7つほど離れている、そんな彼女は遺伝子レベルで違うとしか思えない程フーゴと違ってかなり整った容姿をしている、髪の色こそ同じ黒だが自分のボサボサの頭と違って色艶が違う、コレを同じと言われても鼻で笑われる程度には別物だ、しかし別に義理の妹という事はない、自分と似た容姿の母が生んだあたり父親の遺伝子なのか突然変異なのかはわからないがまぎれもない可愛い妹なのである。少し前の話になるが、散髪の時に妹の髪の毛が目に入り充血と涙こそ出たもののフーゴは痛くないと否定し続けた、当人が認めなければ無いのと同じであり、つまり目に入れても痛くないというのは本当の話なのだと無茶苦茶な理論をフーゴは言い張ったことがある。そしてこの妹こそがフーゴの死にたくない理由であり、生きていたい理由であった


「大丈夫?一度寝た方が良いんじゃない?」


 アンネは心配するがフーゴは寝るつもりはない、今寝たら当分起きる事は出来ないと確信している、せめて今だけは二人で過ごしたかった


「大丈夫だ、そんな事よりも・・・」


 フーゴは言葉に詰まった、話したい事はいっぱいある、欲しい物は無いか?あるなら買いに行こう。同僚から美味しい店の話を聞いたし、面白い話も聞いた、最近アンネの周りで変わった事は無いか?良い人が見つかったりしてないか?前よりも少し重くなったんじゃないか?・・・最後のはともかく他にも色々と話したい事はあった・・・あったが


「兄さん、ゆっくりでいいの焦らないで、どんなことになっても私は兄さんの傍にいるから」


 アンネはそう優しくフーゴに語り掛ける。そう、フーゴは焦っていた、一時帰宅こそ許されたが次にいつ呼び出されるかわからない、その時はまた国外追放でも言い渡されるかもしれない。そう思ったら寝てる暇なんて無い、どれから話そうか、どれが大事か、フーゴの苦悩を理解したアンネは語り掛けるのだ、たとえ何があっても話す時間くらいはあるからと


「ごめんな、アンネ。俺が不甲斐ないばか・り・・に・・・」


 張っていた気が一気に緩んだフーゴは襲い来る睡魔に抗う術を失っていた


「おやすみ、兄さん」


 アンネとしては大好きな兄さんが帰ってきただけで十分だった、少なくとも今夜は寝顔を見ることができるのだから




 アスファルト国の会議場では首脳を中心に今日も夜遅くまで議論が続いていた。議題は今後のアスファルト国の身の振り方。この国はギリギリだった、ソレは人的資源も食料も工業力も戦力もあらゆる意味で本当にギリギリで、この国が国として形を保っている事自体が半分奇跡に近かった、すでに公務員等の国に従事する人への給料は未払いが大分続いている、そんな状態で何故人が居なくならないのか?もちろん退職者は出た、しかしこのご時世ではたとえ薄給だろうと出るだけでありがたい事なのだ、ほとんどの場合仕事そのものが無い、未払いになるとわかっていても給料がもらえる可能性があるだけまだましという最悪な状況なのであった、当然やめた公務員たちはすぐに再就職を希望し、国は再び雇った、ただし待遇は前よりも悪く、結果として過酷な状況で文句も言わず最善を尽くそうと言う人が残り、より重要視されると言うある意味では良い状況となった


 さて、今この議会で議論をしている人間はいかような人間だろうか、不平不満を持ちつつギリギリこらえてるだけかもしれないが、少なくとも今の段階ではココに居る全員が他人から見て極めて奉仕精神にあふれる人達に違いないだろう、なぜならココに居る人の大半は半年ほど給料をもらっていないのだ、じゃあ賄賂などを受け取っているのではと疑いたくなるが、そういう人間は真っ先に排除された、そうしなければ国が存続できない程に疲弊している為裁判すら行われなかった


 餓死者の増加が止まらない、という大問題さえかなりの努力の果てにようやくその程度で済んでいるのだ、そしてそれを解決するための苦肉の策も失敗し、国防すら満足にできなくなってしまっている、ロイクを80機も失ったこの国の残りのロイクは50機ほど、急ピッチで新規製造を行ってはいるが、完成までは時間がかかる、いやそれどころか完成するのかどうかすら怪しい所だ


 この国の身の振り方は大きく3つ、一つ目は大国に土下座をして属国にしてもらう方法、戦力や工業力と引き換えに最低限の食料を供給してもらえるだろう、その代わり徐々に絞り取られ最終的には国として消滅する


 二つ目は国としてのリソースを全て食料関連に割り振る事、しかしこの終わりかけた世界の太陽光と気温では植物はまともに育たない、手間と時間をかけた農業プラントが必要でそこまでしても食べ物は汚染されてしまう、なのでプラントに加えて解毒施設が必要だ、両方ともとても大変で時間と資源と労力のすべてが掛かる、残りのリソースをすべてつぎ込んだとしても餓死者は無くならないとの試算が出てしまっている


 50年くらい前から太陽の状況とそこからくる環境の変化を察してプラントを作り続けていれば餓死という問題の8割は解決していたかもしれないが、なかなかに難しいだろう、太陽の変化は50年程前からだが、ココまで大気や土壌が汚染されたのはココ十数年程前の事だ、先見性のある天才やプラントにも金や手間を割ける程の大国以外には難しいと言わざるを得ない


 どのみちプラントの維持にも食料の生産にも大量の資源や人手が居る、国防やインフラなどの国を維持するためのコストを考えるとどうしても現状のアスファルト国の生産力では足りないのだ、辛うじて過去の備蓄分を食いつぶしながら耐えているに過ぎない、燃料と鉄、そして各種レアメタルやレアアースを売り払いながら耐えてきたこの国は、もはやそんな備蓄すらも無い、その上全てのリソースを食料に割り振ろうものなら国防がおろそかになって数年後には近隣の国に攻め込まれるのが目に見えている、そうなるくらいだったらまだしも最初から属国になった方がマシだ


 三つ目は再度スピリッツ国に攻撃を仕掛ける事、プラントの技術さえ入手できればまだ可能性が残っている、しかし80機ものロイクを使ってなお勝てない相手に今度は50機で戦いを挑む事になる、あるいはミサイルを躱せない航空機と敵のライフルを躱せず防ぐこともできない戦車を加える事も出来るがあまり有効とは言えない、そしてそこで失敗すればロイクをすべて失う事になる、終わりかけたこの世界ではかつて200億を超えた人口が3割以下に落ちている、人が使ってる町や都市よりも廃墟の方が多いくらいだ、そしてその廃墟においてはロイクが主役だ、軍事施設や中継基地を廃墟に作る事も珍しくない、ロイクをすべて失えばそこでの主導権を失い、最悪の場合首都に攻めてきた敵のロイクに一方的にやられることになる


 3つの方法のどれもが詰んでいた、どれを選んでも国としては勿論国民としてすら大半が殺されるか奴隷のような生活が待っている、いうなればどういう方法で死にたいのか選ぼうという議論でしかなかった。そんな議論に参加する人間の多くが一つめの属国化の道を選ぼうとしている、国としてはどのみち消滅は免れない、ならばせめて少しでも国民が生存できる道をと考えている。大国といえどアスファルト国の全国民を養う事なんて不可能だ、食料の供給は早々に無くなる、属国化というのは多少の延命措置でしかなく、稼いだ多少の時間でどうにか移民してくれと言ってるだけの案だ、そしてその場合大半の国民は他国に受け入れてもらえず餓死していく。そんな方法が賛成票を集めていた、それほどにこの国は追い詰められていた


 そんな中、会議に参加している軍の上層部の人間はその会議でスピリット国への再攻撃を提案する、軍の上層部は最初にスピリット国に攻撃を仕掛けろと命令を受けた時は本気でクーデターを起こそうか迷った、もしスピリット国の怒りを買い本気で攻撃されたらアスファルト国なんて2~3日で更地になってしまう、仮にスピリット国の怒りを買わないとしても、全軍で総攻撃を仕掛けたところで勝算はゼロだ、それだとただの自殺と変わらないと考えていたし実際80機ものロイクによる攻撃はたった一機の兵器によって殲滅、つまり部隊のすべてが喪失した。ロイク隊の司令官から現実的な作戦書が届かなければこの会議そのものが存在したかどうかすら怪しい所だ。その軍が再攻撃を提案した、軍がクーデターを起こしかねないと知った上で命令を下したこの国の首脳たちは大いに驚いた。


「つきましては指定の資料をお読みください」


 指定された資料には会議が始まる前にすでに目を通してある、しかしコレは作戦失敗の報告と言い訳としての次回攻撃時の作戦案だと誰もが思っていた。しかし軍は本気だ、説明を続ける軍のトップである元帥には熱意と気迫が感じられる、先の失敗を糧に次こそ成功すると断言する元帥は資料に書ききれない勝算を熱弁し詳細な攻撃案を後日提出すると言ってきた、もはやアスファルト国は悠長に議論をしている時間すら惜しい程だったが元帥の熱意に負けて最後に機会を与えた、ソレに失敗したのなら今度こそ属国化への道を選ぶ事になるが


 元帥は会議を終えてそのまま基地へ向かう、もう夜遅いし自分の帰宅を待つ家族もいるが、今は帰っている余裕は無い、ここ数日は基地の個室に泊まり込みを行っている、仮眠室に向かう時間すら惜しい、今日もこのまま少し仮眠を取ったあとすぐに後日提出予定の再攻撃の案を煮詰めなければならない


 元帥が目を通しているのはロイク隊の司令官が作成した再攻撃時の作戦案だ、最後の機会となる以上、出し惜しみは無しだ、今度はロイクだけじゃなく航空機や戦車なども使い全力でプラントを襲う。今まではたとえ全戦力を使おうともスピリット国に勝てる可能性は皆無だった、しかし前回の攻撃前に司令官が提出した作戦案は現実味を帯びていた、その作戦案ならば1%くらいなら作戦が成功する可能性があると思えたのだ


 元帥という立場では本来ありえない話だがこの国の惨状を考えれば1%という数字は賭けるには十分な数字だった。作戦は失敗してやはり駄目だったかと諦めかけていた所にロイク隊の司令官から再攻撃時の作戦案が提出された、ソレはたった50機のロイクで作戦を行う旨の案だったが、成功率は前回の作戦を超えると期待させるに十分な物であった。元帥は国が存続できるなら、国民が苦しまなくて済む方法があるのなら、たとえ1%よりも小さい可能性でも、ソレが0で無いのならとソレに再び賭ける事にした、ロイク隊だけに全てを背負わせず戦車隊や航空機隊も使い必要なら歩兵も使うつもりだ、ロイク隊の司令官から送られた作戦案に他の部隊との共闘を加えた新たな攻撃案を元帥は練り直していく


完結にまとめた内容

 フーゴは妹のアンネとイチャ付き中

 国は破産宣言すらできずに国民全死亡ルートへ直進中

 元帥「勝率めっちゃ低いけどもう一回戦わない?」


以上です、誰も読まない後書きでした

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