その33・ぐるぐるクッキー
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本年も気長によろしくお願い致します!
丸めがね
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神をとかす…前回思い切り誤字をしてしまったが(読んでない人は前回を、というか最初から読んでくださると嬉しいです)、まあ待て皆様、
ここは本当に
神をとかす
のかもしれないでしょ⁈
…てことはなくて、魔王タクアンくんは言いました。正しくは、
「髪をとかすとき、いつも母さんが言ってた。
あなたは世界を救うんですよって」
へー、魔王にも母親がいるんだ…へー
じゃなくて!
「世界を救う⁈」
流石にワタシも仰天した。
「魔王なのに⁈」
「魔王が世界を救っちゃいけねーのかよ!」
魔王はコロッケ頬張りながらこちらを睨む。
コロッケで機嫌を良くしといて良かった…
「魔王なのに⁈」大事なことは2回。
「魔王ってのは、魔法界の王様ってことだぞ!
王様!魔法が1番上手な人なの!」
「魔物の王様じゃないんだ…」
意外だー。
「え、まって、でもあなた、人間好きじゃないんでしょ?
皆殺しにしちゃうんでしょ?」
「まあ、必要があればね」
魔王くんはしれっと言う。
「必要…?」
それ以上魔王くんは語らなかったが、必要以上に殺すことはない、というのは本当っぽいなと思った。
「じゃあ、女を取っ替え引っ替えして、要が済んだら殺しちゃうってのは…」
「ちょ!人聞悪いなオマエ!
取っ替え引っ替えしたくてするわけじゃねえぞ!
女から迫ってくるから抱いてやっただけだ!
その時"やだ死んじゃう"ってのはあるけどな!」
「なんじゃそりゃ」
どこまで本当なのやら…もし魔王くんの言うことが全部本当だとしたら、
絶倫の救世主
というわけだ。
絶倫の救世主…サブタイトルにどうかしら…
そもそも魔王ともなれば、体力回復なんぞお手のものであろうよ。
「ん?世界を救うって、悪者が魔王じゃなければ、誰から世界を救うの?」
魔王は"当たり前じゃん、知らないの?"って顔をして答えた。
「ニンゲン」
さて、ややこしい話になりそうなので、
ワタシは新たにぐるぐるクッキーと紅茶を用意して長話に備えた。
魔王くんは、聞く気満々の態度のワタシとサンダーダー先輩に悪い気はしていないらしく、
しばらくぐるぐるクッキーのぐるぐるを眺めた後に話し始めた。
「あのな、人間とニンゲンは同じようで違うって、
大抵の人間は知らないんだ。
ニンゲンは頭も良くて残虐で、人間同士を殺し合わせて遊んでいる。
この世の王として、捕食にためならニンゲンによる人間狩を許してもいいが、
遊びで殺し合わせることを見過ごすことはできない。
あまりに酷くなった時、"オレ"が蘇ることになっている」
「あまりに酷くなった時…いま?」
そういえば、"宵の赤"の目的も戦争だ。
戦争をやっている国に雇われたから行くのだ。
(こうなったら、魔王の復活を阻止している場合じゃない気がする…)
うーんうーんうーん
どっちが正しいかとか、どうするべきなのかとか、
ワタシの頭が悪いのか情報量が少なすぎるのか、
全然分からない。
「そうだ!魔王くんのお母さんは今どこにいるの⁈」
今まで黙って聞いていたサンダーダー先輩が、あからさまの「バカっ」て顔をした。
(あ、聞いちゃいけなかったかな…)と思うより先に、魔王くんの顔が見る見る暗くなっていった。
魔王くんは、ぐるぐるクッキーを口に詰め込んで噛み砕き、紅茶で流し込んだ後言った。
「母さんは消えてしまったんだ。この家のどこかに」