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第四十一話 宴会

「――それはもう喜んで」

 村長は莞爾と笑った。

 ソルレイスの村から帰ってきた際、すでに弟の姿がなかったことに村長は目に見えて落ち込んでいた。

 血の繋がった弟が、今も生きているのか。生きているならどんな暮らしをしているのか、知りたいと思うのは家族として当然の人情であろう。

「ベアトリス、また運命フェイト指針ガイドラインを借りるぞ?」

「いつでもお好きなように」

 そういうとベアトリスは豊満な胸をエルロイの背中に押しつけるようにして抱きつく。

 それを見たコーネリアは絶叫した。

「何をやってるの! 不潔! 不潔よエルロイ君!」

「くっ……この魔性の柔らかさが俺の理性を狂わせる……!!」

「そんなに胸がすきなら、お義姉さんがいつでも……触らせてあげるのに」

「マルグリットお姉さま?」

 ほんの少しだけ、秘蔵の蜂蜜酒ミードを飲んだだけのはずのマルグリットが、大胆にもエルロイの膝の上に乗って巨大メロンにエルロイの顔を押しつけた。


ぐにゃりとどこまでも深く柔らかいものにエルロイの顔が沈んでいく。

(もう、どうにでもな~~れ)

 鼻息も荒くエルロイはその感触に身をゆだねるしかなかった。抵抗できる気がこれっぽっちも感じられなかった。

「――――酔いすぎです」

「なによう、ユズリハったら。自分がいい男にちやほやされてるからっていい気になって!」

「わわ、私はいい気になんてなってません!」

 ユズリハの白い肌がうなじまで真っ赤に染まる。

「そのイヤリング、綺麗ね。貴女、無意識のうちに日に何回もそのイヤリングをいじっているの、気づいてた?」

「えええっ! ほ、本当ですか…………?」

 今気づいたとばかりにユズリハはうろたえる。

 だがそんなときにも期待を裏切らないのがロビンクオリティー。

「はっはっはっ! そんなに喜んでくれていたのかい? ユズリハ」

「気安く腰に手を回すなああああああ!」

「そげふっ!」

 哀れロビンはユズリハの照れ隠しのため星になった。

「どうして的確に地雷を踏んでいくかなあ……」

「いいですよ、あれでユズリハも満更じゃないんですから」

「そんなことはありません! 何かの間違いです!」

「ユズリハ、あんたはもっと骨の太い傭兵だと思っていたのに……」

「そんな! ガリエラまで!」

 久しぶりにアルコールが入ったせいか、普段は猫をかぶったユズリハやガリエラまでいつになく饒舌である。

「ふん……男なんて……女を無視して自分から死んでいく馬鹿ばかりさ」

「珍しいわねガリエラが男を語るなんて」

 エルロイからマルグリットを引きはがそうとしながらも、コーネリアはガリエラの独白に興味を向けた。

「女と国なら迷わず国を選ぶのが男ってもんだろ? しかもいい男ほど――――」

 国のために戦いながら国に裏切られ、無念のうちに死んでいったあの人は、きっと自分のことなんか脳裏をかすりもしなかったに違いない。

「全く、調子狂うね。私としたことが……」

 ぐい、と果実酒を呷ってガリエラは広場から離れていった。

 彼女にもかつて想う男がいたということか。

「――――うん?」

 なんかどこかで既視感を覚えたエルロイであった。


 酔って顔を赤らめたユイが、ヨハンに楽しそうにロプノールの里でのことを報告している。

「それでですね~~大酒のみ勝負を挑んだご主人様がですね~~」

「馬鹿! ユイやめろ。それは俺の黒歴史――」

「トイレに行こうとするご主人様の肩をこうやってシェイクしたらですね~~」

「何それやめて、まだアルコール分解してないの!」

「そ~~れ~~!」

「おろろろろろろろろろ」

「いやああああああああああああああ!」

 再びのエルロイ黒歴史とともに、まるで吸盤のように離れようとしなかったベアトリスとマルグリットが慌ててエルロイから離れたのは言うまでもない。



 寝落ちしてました。短くてすいません。

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