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名のあるクラスメイト達

 結構知り合い同士というのも多いようで早くも自己紹介から盛り上がっていた。

 

 仲が良くなくても、名前は知っている、というのも多いようで、名前を名乗る度にお~っと声が上がった。特に、当然と言えば当然だが、ニーナに対してはものすごい反響だった。


「ニーナ・フォン・レイモンドです。よろしくお願いします。貴族ではありますが、皆さんと分け隔てなく接して、高め合っていけたらな……と思っています」


 ニーナがそう自己紹介にしたとき、クラス中がざわざわとしだした。


「あれが、公爵家の……」

「召喚術師だろ、凄いな」

「はは、楽しみだな。この国に居てレイモンド家を知らない奴は居ない。お姉さんも凄いし、妹もさぞ凄い魔術を使うんだろう」


 まるで俺がヴァンだとわかった後の冒険者ギルドみたいな反応だな。彼ら貴族からしてもやはりニーナは別格扱いか。


 ニーナは少し恥ずかしそうにして席に座る。


 ニーナ以外にも、何人か大きな声の上がる生徒たちがいた。


 まずは、レオ・アルバート。侯爵家。赤髪で女にモテそうなイケメンオーラを纏っている。喋り方から優男の雰囲気が伝わってくる。腰に剣を携えているから、恐らくは魔剣士の類だろう。ガンズと同じタイプだな。


 次に、ヒューイ・ナークス。魔術の名家で土魔術を得意とするらしい。背が高く、知的な雰囲気を感じる。どことなくシェーラと似た匂いを感じるのは、余り本心を語ろうとしないからか。


 その次は、モニカ・ウェルシア。伯爵家の娘。中肉中背で、金髪のツインテールのいかにもなお嬢様だ。自己紹介では殆ど魔術の修行をしていないのに受かったと自信満々な物言いだった。裏口入学とかではないのなら、才能に溢れているんだろうが……さて、どうかな。周りの声からして実力はありそうだが。まだわからない。


 そして最後は、ナタリー・コレット。ヒューイ同様、魔術の名家。特製の弓に魔力で生成した矢を使って攻撃する独特な魔術を使うらしい(アーサー談)。黒髪のポニーテールで、ハキハキとした喋り方から活発そうな雰囲気が感じられる。



 ざっと、ニーナやアーサー、それに他のクラスメイトたちが反応したのはこの四人だった。

 そして意外にも、反応が大きかったのが――


「クラリス・ラザフォード。A級冒険者よ。今は休業中。以上よ、よろしくね」


「クラリス……A級冒険者!」

「すごい、ヴァンに次ぐ冒険者期待のホープ!」

「A級冒険者なのに学院に来たのか……凄いな……」


 クラス中がざわざわとどよめく。周りの名家・貴族が一目置いているのが分かる。

 S級冒険者程ではないが、A級でもある程度の知名度があるのか。――いや、年齢もあるし、クラリスの名前は特に知れ渡ってるのかもしれない。これがC級やB級だとこうはいかないだろう。


 とにかく、どうやら殆ど全員を知らないのは俺だけのようで、あらゆる場所から有名な魔術師の卵たちが集ってきているようだった。


 予想していた通り、平民は俺とクラリス、そして後二人の男女だけ。残りの24名は貴族・名家の類だった。


 そして当然の如く、貴族からの俺達平民組への反応はたんぱくなものだった。

 ルーファウスみたいに明らかに平民を敵視(蔑視)している者はいなかったが、魔術師の名家でもない平民の俺達には割と無関心というのが多かった。クラリスは別だが。


 一方で名家と呼ばれる連中から俺達平民への好奇心はそこそこで、俺達がどんなレベルの魔術師なのか気になってしょうがないと言った様子だった。貴族より断然俺達との方が境遇が近いから、純粋にどれだけの実力なのか気になるのだろう。


 そんなこんなで一通り自己紹介が終わる。


「――皆さんありがとう。まあ、こんなのでお互い分かり合えたら苦労はないわ。これからの学院のカリキュラムを通してお互いの理解を深めていって頂戴。同じクラスだからね」


 エリスは俺たちを見回しながらそう言う。


「……さて、ここからはこれから学院で何を学んでいくかだけれど。メインは戦闘。魔術を使った実戦訓練、対人・対モンスターを想定した訓練、近接戦闘術、あとは魔術の系統に合わせた少数訓練なんかもあるわ。それに学院長が言っていた冒険者としてクエストを経験できるチャンスもあるわよ」


 冒険者ねえ。確か学院長はB級相当とか言ってたか。だとしたら、大したものじゃなさそうだな。冒険者以外(まあたまに騎士もあるにはあるが)モンスターと戦うなんて体験はそうあるものじゃない。


 対モンスターの戦闘を経験しておくのも悪くはない……という程度の物なのかもしれない。


「もちろん座学も一応あるわよ。歴史や一般教養、魔術の基本的な考え方なんかを学ぶわ。まあ、これは一年生で殆ど学び終えて、二年からは殆ど戦闘漬けね。――そして、あなた達がこれからまず目指すべき場所。それは――」


 そう言ってエリスは俺たちを見回す。


「歓迎祭ね。あなた達新入生の入学を祝うと同時に、我が校に本当に相応しい生徒が入学したのかを上級生たちが見守る祭り。主役はあなた達。新入生による新入生のための戦い。それが歓迎祭よ」


 歓迎祭。その言葉に、周りの生徒たちが急にやる気を出したように騒めき出す。

 どうやら有名なイベントのようだ。


 ようは俺たちの力試しをする祭りという訳か。

 本当に入学に相応しい生徒が集まったのか、今年の新入生の実力はどんなものか、そして誰が今年一番強いのか――それを決める戦いを行うと。


 早速俺の活躍の場が出てきたな。


「もちろん、優勝者にはいろいろ与えられるわ。それは追々ね。それを置いておいても、栄誉や名声が手に入るまたとない機会よ。歓迎祭で優勝した生徒は卒業後に必ず大物になると言われてるから、みんなも死ぬ気でがんばってね。まあ歓迎祭まではまだ時間があるから、この学院で学びながら強くなっていきましょう」

 

 歓迎祭……当面の俺の目的はこの歓迎祭での優勝になりそうだな。

 実力を見るのは何も上級生だけの特権じゃない。俺も見させてもらうぜ、同期達の実力をな。

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