6 Diana's
私の名前はディアナ・フォーウッド。
フォーウッド伯爵家の次女よ。
ゆるいウェーブのかかった金の髪に、こぼれそうなほど大きい潤んだ琥珀色の瞳。思わず触れたくなるふくよかな胸と細い腰。ちょっと甘えん坊で頼りなげな、守りたくなる妹キャラ。どれをとっても殿方を引き付けてやまない魅力的すぎる女、それが私ディアナ・フォーウッドなの。
突然だけど、私、姉が大嫌い。
いつも澄まして私賢いのよって顔をして、私のことを馬鹿にしてるの。
昔から本当にムカつく姉だったわ。私の欲しいものは何でも両親から貰って。
あの人形も、あの髪飾りも、あのドレスも、みんなみんな!
私の欲しいものはみんな私のものであるべきなのに!
あんまりにも皆が愚かで私の正しさをわかってくれないから、言葉と態度にいつも表したわ。
泣き叫んでみたり、食事を食べなかったり、部屋に籠ってみたり。
そうしたらやっと両親も理解して、本来私のものであるべきものを私のものにしてくれたわ。
遅いのよ。
私が15歳の時、姉が婚約したの。
相手は、この国でも名門のインブリー侯爵家の長男のジャック様。
イケメンで、いつも最新のファッションで、夜会でもきらびやかな女性に囲まれていて。自宅では毎週素敵なパーティーを開いているって聞いたわ。さすが名門の家ね。きっと財産がたくさんあって妻になったらお姫様みたいな生活ができるに違いないわ。素敵!!
そんな素敵なジャック様の妻が、あの意地悪で賢ぶってるつまんない姉?
おかしくない?
この妖精のように美しくてスタイルが良くて儚げな私こそ名門貴族の妻になるべき。そうでしょぉ?
こんな美しくて素晴らしい私だから、やっぱり殿方は放っておいてくれなくて、それなりのお付き合いは確かにあったわ。
けど、私を満たしてくれる殿方はいなかった。
それは私が悪いのではなくて、素晴らしくて魅力的な私を満たす能力のない殿方が悪いと思うの。そうでしょぉ?
あの夏、ジャック様に出会ってわかったわ。
ジャック様こそ、私の運命の相手!
みんなまたわかっていないのよ。間違った相手を当てがってしまったことを!
・・・けど、実は姉が離婚してからちょっとその気持ちも変わってきたの。
ジャック様の夜伽はちょっと一人よがりで、少し・・いえかなり?早くてがっついてる?ような。しょっちゅう「いい?いい?」とか聞いてくるが鬱陶しいし・・。なんでも買ってくれるのは良いのだけど。
私みたいな魅力的で素晴らしい人間には、最高の相手がまだいるのではないかと最近思うの。
例えば、イケメンで力も財力もある王様みたいな殿方が。
もしそんな殿方に出会ったら、今度こそそれが運命の相手だと思うのよ!そう思わない?
だって私が欲しいものは、すべて私のものだもの!