表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
17/19

17 帰省

3日後。約束通りアイリーンはやってきた。


アイリーンはこの3日でリントラム料理を満喫したと楽しげに話してくれて、加護水のお話をまた是非しましょうとニッコリ笑う。本当に根っからの商人なんだとオリヴィアは感心してしまった。


辺境伯からの申し出については、もちろん断る選択肢なんかなかったけど、詳しい契約内容を話し合うため、なんと後日辺境伯にお会いすることになってしまった。

こちらの希望日を何日か伝えると、また正式に書状を出すからと魅力的な笑みを残しアイリーンは帰って行った。帰る間際までレオとは嫌味の応酬をしてたけど、やっぱり素敵な女性ね。同じ女性として憧れるわ。



さて、返事をするまでの3日間で父とアーサーには急ぎ手紙を出した。

ポーション事業について、辺境伯と契約する前に会って体裁を整えなければならないと思ってる。


「ふぅ、なんだか落ち着く暇もないわね。」


この先のスケジュールを考えたら自然と言葉が出た。

まあ、今回は仕方ないんだけど。


「ところでお嬢、今回はどういう風にカタをつけるんだ?全部丸く収まるのか?」


フォーウッド家への帰省準備に手を動かしながらレオが尋ねてきた。


「カタって。私の案が上手くいけばそうなる筈なんだけど。アーサーの商会をモデルにして自由度の比較的高めな組織を作る感じよ。実際形を作って動かした後に微修正を加えてく予定ではいるけれど。」


「そうか。お嬢の中で形がちゃんとある時は固いからな。くれぐれもあの栗毛女に付け入る隙を与えるなよ。」


レオってばアイリーンのことを相当意識してるわね。確かに女性に大概ウケの良いレオにとってはあのタイプは初めてかもしれないわ。


「私は、アイリーンはレオが思ってるような女性(ひと)じゃない気がするんだけど。だって素敵だもの。」


少しレオをイジるつもりで言ったら、はあーっと盛大な溜息をつかれた。


「なんの根拠もねぇじゃねえか。あの女に隙を見せたら全部いい様にかっさらわれるぞ。とにかくお嬢は警戒心がなさ過ぎだ。」


それでも何だかいつものレオと違うのよねえと思いジッと見ていたら、そんなんじゃねぇ!と再度怒られたのでこの話はやめることにした。


明日はお父様やお兄様と事業の話を詰めにフォーウッド家に一時帰省する。仕事で絡んだことのないお父様をうまく巻き込めるかとか、その後をうまく展開できるかなど不安はあるが進めるしかない。


そういえば、ディアナはどうなったのかしら。アーサーの話からあんまり良い状況になってるとは思えない。帰省してまた厄介事を持ちこまれなきゃよいんだけど・・


嫌な予感を頭から振り払おうと、オリヴィアは帰省準備の手を動かした。




フォーウッド家に帰る馬車に揺られながら考え事をしていたらレオがこちらを向いた。


「そういえば、お嬢はアーサーのことはどうするんだ?」


その言葉にオリヴィアはぐっと喉が詰まった。


「・・いきなりな質問ね。そんなの離婚したてでまだ考えてもないわよ。」


「そうか。」


アーサーは事業のパートナーでもあるし、先にポーション事業の件が片付くまでそれどころじゃないよねと考えることから逃げていたのでいきなり聞かれてしどろもどろしてしまった。レオはといえば自分から質問しておいてオリヴィアの返事を聞くと黙ってしまった。


「なんだか引っかかるわね。どうかしたの?」


オリヴィアが問い返すと、レオはじっとオリヴィアの右の手元を見た。レオの視線の先は、サーガラの指輪。


「っ。だからこれは私が買ったもので、アーサーから貰ったんじゃないわよ。」


「そうなのか?」


半分嘘をついているので、なんとなく焦りながら答えるとレオはオリヴィアの右の手を取った。


「ちょっと見ていいか?」

「え、ちょっ、レオ・・」


普段、言葉遣いは親しげだが、主従の別はきちんと弁えているはずのレオの行動にオリヴィアはあたふたした。


その瞬間。



ーーぱちん



レオが石に触れるか触れないかののタイミングで、指輪から青い閃光が放たれ、レオの眉間を突き抜けた。


えっ?!


レオの手が止まる。オリヴィアも目を丸くしたまま固まった。


「レオっ大丈夫!?」


驚いたオリヴィアが声を掛けた後、少し間を空けてやや放心気味だったレオが口を開いた。


「っびっくりした。何だ今のは。ってかお嬢ケガはないか?」


「私は大丈夫だけど、レオこそ何ともないの??」


閃光がレオの眉間を突き抜けた瞬間を見たオリヴィアは真っ青な顔になってレオの額あたりを見返したが、傷も何もない。けど本当に大丈夫なんだろうか。一瞬だったけどすごい光だった。


「俺は、指輪を触ろうとしたら急にビリっときて驚いただけだから大丈夫だ。てか、お嬢。その指輪、外した方が良いんじゃねえの?」


レオにはあの閃光はどうやら見えてないっぽい。けど外した方がよいという言葉にギクリとする。


「な、なんでそう思うの?」


「・・・。いや、そんな高価そうな指輪はめてるの見たら旦那様や奥様がどんな反応するかわかんねぇなと思ったんだよ。あのアホ娘もいるだろ。ロクな反応しねえぞ。きっと。」


静かにレオが言う。

なんだそういう事か。けど、それはリアルにありそう。ディアナに至ってはまた例の如くクレクレ言いそうだし。


チェーンにでも通して首から掛けようと思って指輪に触り、気づいた。



「・・抜けない・・」








評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ