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14 4竜家会議2

サーガラが着席すると、厳かに会議が始められた。


南竜王の席は、空席。


議題は、央座の儀と譜、そして迦楼羅族の襲撃。



「して、あの赤鳥の一族はどこで央座の儀が近いことを嗅ぎつけたのじゃ。秘密裡に事を運んでおったではないか。」


「内通者がいるとしか考えられません。東家眷族でも有数の力を持つセルキーも地上の囮におびき寄せられ、その間に宮殿が襲撃に遭いました。」


「内通者とは穏やかではないですね。早いうちに洗い出さなければ。事の真相も追及しないといけません。」


タクシャとイシュカの会話に北竜王が考えを述べる。サーガラは黙って聞いている。


「セルキーはどのように思うのじゃ。」


タクシャに振られ、セルキーが席を立ち発言する。


「恐れながら、内通者を洗い出すものと地上を探るものとを二手にわけ同時進行で探るべきかと。襲撃は迦楼羅からのものでしたが、まだ譜を狙っているもの、つまり央座を狙うものと同一と決まったわけではありません。それに南竜王様の所在を明らかにし、譜を移譲いただくのも急を要する案件です。」


「つまり、全て別個に洗い出すことが必要だということじゃな。」


タクシャはサーガラに問う。


「サーガラ、主はどう思う。」


「異論ない。」


短くサーガラが答える。


「しかし、南竜のやつもどこに居るのじゃ。一度、宮殿に強硬突破して探らねばならぬかのう。」


タクシャが南竜王について溢す。4竜家は互いに同等の立場であることを保つため不可侵を決めごとにしている。それは許可なくしては宮殿に立ち入ることが出来ないということにも繋がる。


「その件、私が預かりましょう。」


北竜王が名乗りを上げた。北竜王は竜王の中でも南竜王とかつて一番親交があったらしい。


「うむ、ではヴァースキ、頼んだぞ。」


北竜王ヴァースキは柔らかく頷いた。


「では地上はこれまで通りセルキーに任せ、南竜王様の情報に関しては、北竜王様と連携を取ると言うことでよいでしょうか。」


イシュカが確認を取り、竜王たちは同意し頷く。


北竜王からセルキーに連絡用の綺麗な玉が渡された。その玉があれば、いつでも北竜王と連絡が取れるのだという。



オリヴィアは、話について行くのがやっとで、なぜ自分がこの場にいるのかもわからなかった。


「あとは・・水の姫様の件です。」


イシュカが急に自分の話をするのでオリヴィアはきょとんとした顔になった。私が、何??


「水の姫様は、現在、サーガラ様の記憶を何者かに封印された状態です。ですので正式に婚姻を結ぶことが整いません。この封印をした者も洗い出し、水の姫様の記憶を解放せねばなりません。」



正式に、、婚姻??!オリヴィアは目を丸くした。



結婚の約束をしたって子どもの口約束じゃなかったの??オリヴィアは隣に座るサーガラの横顔を見ながら頬を赤く染めた。


「ふむ。サーガラの力で解けぬのか?」


「他者が最後まで解くと記憶が壊れるように出来ている。小賢しいやり方だ。」


タクシャの問いにサーガラが忌々しげに言葉を吐き出した。相当怒っているように見える。


「それも全て同一の輩の仕業のように思えるのう。」


タクシャは何か思う所があるかのようにそう呟いた。



4竜家会議が終わり、西竜王タクシャと北竜王ヴァースキの一行を見送る。


「あやつに飽きたら、いつでも西家に来ると良い。」


そんなタクシャの軽口に、イシュカが本気でやめて下さいと懇願していた。


見送りが終わるとセルキーがくるりとオリヴィアの方へと振り返った。


「姫様、僕たちもいったん地上に帰ろう。」




今回はだいぶん長居をしたから、地上に戻ったらどのくらい経ってるんだろう、あ、レオが心配して捜索隊なんて出してないかしら。十分ありうる。考えるとだんだん冷や汗が出てきた。


「大丈夫。そこまで経ってないよ。」


セルキーがそんなオリヴィアの心を見透かしたかのように言う。


来た時のドレスに着替え、髪を整えて貰い玄関に向かうと、サーガラがイシュカとともに立っていた。


サーガラは無言のまま、オリヴィアの右の手を握った。


「え・・何?」


オリヴィアが見上げると、サーガラはオリヴィアの右の薬指にすっと指輪をはめた。


「お守りだ。お前は警戒心がないからな。」


指輪は、金色の中に一筋青い色の入った綺麗な石がはまっていた。サーガラの眼のような石。


右の指だけど、婚約指輪みたいで戸惑う。


「姫様、よく似合うー。最高のお守りだよ。」


・・そうね、お守りね。今のところはそう思おう。


声を聴いても眼を見ても、心臓が跳ね上がる。抱きしめられるのも口付けられるのも、恥ずかしいけど、嫌じゃない。

私の気持ちはー。


「じゃ、出発だよ!目を瞑って息止めてね。」


セルキーが地上に向かって泳ぎ出した。




湖畔に戻ると夕暮れ時だった。


セルキーの言う通りなら、今は湖に入った日と同じ日夕方。早く帰らなきゃと歩き出すと、遠くの方からレオの声がする。


「おーいお嬢!そこにいるのかー?」


オリヴィアは手を振る。


「ごめんなさい。のんびりし過ぎちゃったわ。」



レオは昼食も取りに帰らず、日が暮れかかっても戻って来ないオリヴィアを心配して湖畔を歩き回っていたらしい。

これから外出はついて行くと宣言されてしまった。


そして右の薬指の指輪を、しばらく見つめて言った。


「お嬢、そんな指輪持ってたか?」


するどい、、実は良く気付くのよね。


「パトナベリで買ったのよ。」


慌てて誤魔化したオリヴィアに、ふうん、と言ってまたしばらくレオは指輪を見つめていた。






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