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ただ歩いていく




「この倒れた人たちどうしよう」


「病院も警察も、今どこにあるのか機能してるのかわからねえぐらいなんだから、このまま端に寝かせときゃ大丈夫だろ

実際、病院に行ったところで打ち身扱いで貰えるもんは湿布くらいだろうしな」


「そっか、地図が変わっちゃってるんだっけ

じゃあ、あっちに寝かせておこうよ

草が少し生えてて地面が硬くなさそうだし、日光も程よく遮れてるからいいと思う」


「おう、いいんじゃねえか

とりあえず鉄パイプは回収して、ヘルメットはー、残しとくか」


「ヘルメットも持っていかないの?」


「さすがにこの数を持っていっても手に余るだろ

それに実際、こいつらがビルとか建物に入る時はあったほうがいいから置いとくことにする」


「建物一つ入るにしても本当に探索なんだな〜


でもまた悪さしない?」


「その辺は、まあ、大丈夫じゃねえか

今回の場合は」


「ふーん?」


「そんじゃ、そいつら移動したら行こうぜ」


「はーい」




















 ヘルメット達を端に寝かせてから歩き始めること少し。


 回収した鉄パイプは歩いている途中でビル傍の暗がりに捨て、今はとりあえず人が集まっていそうな処へと向かっている。大人数集まれば水や食料も集まるだろうとふんで、東京駅の方面を目指していた。記憶と現在の位置関係がずれているとはいえ、大体の位置は変わらないだろうとおおよその検討をつけて歩いていく。


「そういえばさっき持ってた刀みたいなのってどこ行ったの?」


「ああ、これか?」


 彼は手を出すと掌から先ほど見た刀の刃先(といっても尖ってはいなかった)ようなものが生えて来た。


にょきにょき


「ヒィッ⁉︎」


「あー、驚かせちまって悪い

俺はこういう体質なんだ」


 彼は頭をかきながら、困ったような哀しいような顔で笑ってた。


「……体質かあ

もしかして魔法とかも使えんの?」


「え?いや、俺のいた星に魔法は無かったぜ

魔法って概念はあったが


もしかしてあんた、魔法使いか?」


「いやいやいや、使えない使えない!

ここも同じ感じだよ!

てか、それ、手痛くないの?」


「ん?痛くねえよ

こいつは俺の体には害を与えない、俺の一部みたいなもんだからな」


「全体を見せてもらってもいい?」


「いいぜ」


 彼はそのままにょきにょきとそれを出してそのまま取っ手と思しき箇所を握る。


「うわあ」


 出てきた刀は全体が四角く鍔もない、透明で綺麗な水色をしていた。刀から見える向こうの景色も綺麗な水色に染まり、それはどこか美術品のような高貴さも感じさせた。

 私がそれを見た時は変わった刀だと思っていたが、それだけではないようで。


「あれ?刃がない?」


「ああ、こいつは元々人を切るための刀じゃないからな」


「何用?」


「……どっかの誰かが祭事奉納用だとか言ってたな」


「さいじ?」


「簡単に言うと、神に演舞やら舞やらを披露するための刀だ

だから刃は要らない、同じ理由で鍔もいらない

詰まるところ神剣ってやつさね」


「なるほど」


ん?神剣が身体から生えちゃうの?


「ご両親も身体から刀が出るの?」


「いや、これは俺だけだ」



「……そっか」




 その時、彼女のぬけた頭が高速回転をする。

 なんか彼の反応を見るに、これ以上は聞かない方が良いっぽいな。さっきから心なしかテンションが低めだし、気になるけど、多分無粋というか、このまま話続けるとお互い落ち込むだけだろうし。それにこれから先、この星の現状は長く続くだろうから少しでも元気な方がいいし、私が今それについて知る必要は無いもんな。もし気になってしまうなら後で寝る時考えよ!(この間約1.5秒)



 話題、変えるには。



 あ、そういえば


「そういえば名前!」


「あ?」


「名前教えて!聞いてなかったからここまで全然呼ばなかったけど、このままずっと呼ばないでいるのは不便だよ

私の心理描写が"彼"ばっかになっちゃうし、他の登場人物が出てきた時に誰が誰だか判別つかないよ!」


「いや誰に対しての配慮だよ!

名前ねえ、


"ラムネ"」


「へ?」


「ラムネ、俺の名前」


「え、偽名?」


「俺たちの星だと食べ物の名前のやつがやけに多いんだよ

あと花の名前だったり色だったり」


「へえ、なんか良いな」


「そうか?」


「うん、私の名前はけっこう普通だもん」


「そういやあんたの名前は?」


「私は櫻井さくらい まこと

櫻は簡単じゃない方のさくらで、井は井戸の"井"

"真"は、真実とか真相の"真"ね」


「へえ、いい名前だと思うがな」


「書くの画数多いし、ちょっと大変なんだよ〜

あと、真の漢字が何か毎回説明しなきゃならない」


「その名前で生まれた宿命かね〜」


「ね〜」


「お!なんか空にでっけえ塊が見えてきたぞ!」


「塊じゃなくてあれは道路だよ」


「道路?あんな上にも街があんのか?」


「車が走る為の道路だよ、高速道路って言うんだけど

もしかして、自動車知らない?」


 彼は顎に手を持っていき首を傾げる。

「んー、あ、

そういや和の国に人が引く車があるって聞いたことがあるな

それに路面を走る箱なんてのもあったような」


「それって路面電車じゃないかな?

人が引くっていうのも多分人力車じゃ」


「そうだが、その反応だとその"じどうしゃ"ってやつとは違うみたいだな」


「うん、自動車じゃない

乗り物ではあるけど電車の類じゃないし、人力車も違うな」


「俺が聞いたことないって事は一度廃れたか、きっとこの星で自動車が発明されてから、一度も俺のいた星と文明裁定が起こってないからだろうな」


「あ〜、なるほど

 てことはそっちの星に路面電車があるのって、こっちの星で路面電車ができた後で文明裁定が起こったってこと?」


「そうとも言い切れねえな

この星が別の星と文明裁定を起こした後で、俺たちの星とその星がかち合えば、俺たちの星にも路面電車の技術が流れ込むことはあり得るぜ」


「それってどこが技術の発祥だかわかんないね」


「作ったやつがはっきりしてれば、そいつが開発者だろ」


「物事によっては作った人しっかり特定しとかないと大変なことになりそうだな〜」


「それなりに文明が進んでるところならそういうのはきっちり管理してるんじゃねえか?


ま、それ以外にも技術が流れる事はあんだが」


「ん?何?」


「いや、なんでもねえ

これはまた別の話だ


それよりも今はそのトーキョーエキってのに俺たちが無事向かってるか、てことなんだが」


「うん、大丈夫だと思う

 あの蔦が覆ってるの、多分駅ビルだよ」

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