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異形は旅する  作者: 織墓 卓人
第2章 ナノナの町~
5/7

出発

町をたった君たちはまずはウィン村を目指していた。

明日の夕方ごろには着いているだろう。

セレナがのっている馬は毛並みがよく筋肉も引き締まっており走れば中々に速そうに思えた。

「立派な馬ですね。」

「そうですね。恐らくなんですがこの馬どこかの兵士の馬だと思うんです。

昨年のとなりの国との戦争のときこの馬が家まで来たんです。凄く傷ついてて手当てしたら家に居座っちゃって。」

「なるほど。」

「それからは助かっているんですよ。

商品を届ける範囲も広くなりましたし。」

そう言うとセレナは馬を撫でた。

「次の村はどんな所なんですか」

「村としては大きいですよ。私たちの住んでいるナノナの町が近いのでそこの冒険者や、商人が泊まったりすることがそういった層向けの産業が多いですね。」

「私が育った町もそうでした。となり町の冒険者や商人相手の加治屋だったり薬屋だったり宿屋だったりが栄えてましたね。」

「そうなんですね」

辺りは日が沈みかけていた。

「そろそろ野宿の場所でも探しますか。

見渡しのいい場所があればそこにしましょう。」

「そうですね」

しばらく歩くと比較的広い場所に出た。

「ここにしましょう」

セレナは馬を止めて降りた。

君は周りから枯れ草と枯れ木を集め火をつける。

セレナは馬の手綱を近くの木にくくりつけた。

セレナは君に預けていた食料を受けとると中から食材を取り出し始めた。

「では私は辺りを少し見て回ります。」

君はバケツを荷台からだしてそれを持っていく。

辺りに危険なものはないか見回り近くに川があったのでその水を汲む。魚でも取って帰ろうか。

君は考えたが一通り辺りを見終わってからセレナに報告しその後釣りをしようと考えた。

君はセレナのところに戻り水の入ったバケツを馬の前に置く。

すると、馬はのみ始める。

「釣りをしてきてもいいですか。すぐそこの川です。」

「わかりました。私も野菜を洗いに行きます。」

君は草むらでバッタを捕まえ鞄から釣糸と針、重しを取り出し仕掛けをつくり落ちていた長い枯れ木にくくりつけ竿にした。

それを投げた。

君は近くの大きな石の上に座った。

セレナは野菜を洗い終わると君に近づいた。

「釣れそうですか。」

「魚が泳いでいるのが見えましたから運が良ければ。」

セレナは微笑みながら君のとなりに座る。

「今日は何もなくて良かったですね」

「そうですね。明日の夕方には到着できそうです。」

「釣りは好きなんですか。」

「はい。姉と一緒に川釣りに行ってました。姉は釣りはしなかったのですがセレナさんのように隣でずっと見ていました。」

「そうなんですね」

セレナはふぁぁと背伸びをした。

夕日が完全に沈もうとしている。

その時竿がしなり当たりがきた、君はひよいとつり上げた。

「すごいですね」

君は針を外すとバケツを持ってき忘れたのを思い出した。

「バケツを持ってき忘れちゃいました。」

君とセレナは引き返しセレナはそのまま洗った野菜で料理をつくり始める。君は馬の前に置いたバケツの水を捨てると川に行き新しく組み直しそこに魚をいれた。

君はまたバッタを捕まえると餌にして投げた。

結局君は3匹魚を捕まえた。

木の枝を3本折って串を作成し魚を焼いた。

セレナはシチューを作っていた。

君はセレナのテントを作りあげた。終わる頃にはシチューは完成していた。

シチューを食べ終わるとセレナは食器を洗いに川へ。君は枯れ木を拾い集め焚き火にくべた。

セレナは帰ってくると「今日はありがとうございました。おやすみなさい。」と言ってテントにはいった。

君は焚き火の近くで寝袋にいり横になる。

空が綺麗だった。

夜空を見るのは洞窟で暮らしたとき以来だった。

シュナは今なにをしているのだろう。

君は集めていた枯れ木を全て焚き火にくべて目を閉じた。



君は夢を見た。

洞窟でシュナがとなり町に出ようと言ったときのこと。

君とシュナは夜が明けるとすぐに歩き出しとなり町へと向かった。

となり町に着くと宿を借りた。シュナと君はすぐにお風呂に入った。

君は風呂から上がるとシュナに反対されたが内緒でギルドに行き冒険者の登録だけ済ませた。

君はあの日に買うはずだったシュナへのプレゼントを探した。

安いものではあるが首飾りを買った。

帰りにそれを渡すと、お金がもったいないと怒っていたがそのくせ時折微笑んでいた---

君が目を覚ますと焚き火が消えかけていた。

君は寝袋から出て枯れ木を拾う。あの日から夜でもはっきりとものが見えるようになっていた。

消えかけていた火に消えないように枯れ木をいれていく。

火が大きくなるとさらに枯れ木を拾いに回った。

拾ってきたものをいくらかくべて残りは近くに置いた。

君は再度寝袋に戻り空を見る。そろそろ夜が明けようとしていた。

「あれからどれくらいたったか。

2ヶ月はたったか。3ヶ月か。」

長かったように感じられた。振り替えるといつもあっという間に過ぎてしまったなと感じてしまうがここ最近は本当に長いように感じる。

君は目をつぶり二度寝した。



妙な視線を感じて君は起きた。

辺りを見渡すが人影はない。

それも数体に見られている気がした。

山賊か?野獣か?

君はセレナのテントを覗きセレナを起こす。

「おはようございます。」

「おはよう。すぐに出るぞ。準備を。」

セレナはキョトンとして君を見た。

君は寝袋をたたみ出発の準備をした。

山の方から気配がする。やはり見られている。

君は確信した。

君はセレナに事情を説明した。

セレナはまさかという顔をしたが君の顔を見て冗談ではないと判断し従った。

朝食が食べられなかったので干し肉をセレナに渡す。

君は場合によって激しく動かなければならなくなると考え胃袋にものを入れなかった。

「すこし早めにいこう。撒けたらいいが最低俺が食い止めて時間を稼ぐからその時は俺に構わず全力で逃げろ。」

君とセレナは早いペースで道をいく。

君は持っている食料と水が邪魔になってきた。

君は小走りになっておりなるべく体力を消費したくなかった。

「持っている食料と水捨ててもいいか」

セレナに確認する。セレナはすこし考える仕草をすると捨てて構わないですと言った。

君は食料と水を捨てて自分の鞄に入っていた水筒と保存食をセレナに渡す。

「何か会ったときのために持ってろ」

セレナはそれを受けとる。

君は気配が追ってきているのを確信した。

やがて遠吠えを聞いた。

「山賊ではないか」

もしかしたら異形の存在か?

嫌な予感がする。

「もっと早く走るぞ」

セレナはうなずいた。

君とセレナは更にペースをあげた。

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