芽衣さん 〜今、あなたの……〜
オレさ……この間怖い体験したんだ。
都市伝説でメリーさんってあるだろ。
それに近いものを体験したんだ。
いつみさんは短編を書いているんだろ?
良かったら載せてくれよ。
オレの話。
オレはアパートでいつも通り夕飯を食っていたんだ。
バイトでくたくたに疲れてよ、コンビニの弁当ですませていたんだ。
食べ終わってテレビをつけようとしたんだけど、テレビがつかないんだよ。
壊れたと思ってさ、リモコンをベッドに投げつけ、スマホをいじろうとしたんだ。
圏外……。
今までこんな事なかったんだぜ。
町の中にいて、圏外なんてよ。
そしたら、スマホがなったんだ。
電話の着信の音だったよ。
圏外なのに……
恐る恐る、画面を見てみると、"芽里"って写ってんだよ。
知らない女の名前。
ゾクッとしたけど、電話に出てみたんだ。
そしたらよ。
「私、芽衣です。今、追われているの。今は◯◯駅に居ます。ブツッ……」
そう言って電話は切れたんだ。
追われている?
電話をかけるところが違うだろ。
警察だろ。
そう思ってたら、すぐ電話がかかって来たんだ。
「私、芽衣です。今追われているの。今、◯◯病院の前に居ます。ブツッ……」
また電話が切れた。
これって……メリーさんの話じゃ……。
そう思っていたらまたかかってきた。
「私、芽衣です。今、追われているの。今、◯◯ビデオの前に居ます。ブツッ……」
オレはアパートの窓から外を見たんだ。
オレのアパートの前から見えるんだよ。◯◯ビデオ。
外は別に、誰かが追われているとか、そんな感じではなかったんだ。
車も走ってたし。
そして、またかかってきたんだ。
「私、芽衣です。今、追われているの。今、◯◯アパートの前に居ます。ブツッ……」
ぞっとしたね。
オレのアパートの名前なんだよ。それ。
怖くなって逃げようとしたんだ。
また電話がなった。
「私、芽衣です。今、追われているの。今、◯◯◯号室の前に居ます。ブツッ……」
オレの部屋の前なんだよ……。
オレは、絶望したね。何でもっと早く気付かなかったんだろう。
何で早くその場から逃げなかったんだろう。
確かその次は……、後ろ……。
腰を抜かしてしりもちをついてしまった時だ。
電話がなったのさ。
怖かったから出なかったんだけど、勝手に通話ボタンがタップされたみたいでよ。
"通話"になったんだ。
「私、芽衣です……」
うわぁーっ!!! って。
オレは叫んでしまったんだ。
頭を抱え、足を体育座りみたいに折りながらスマホを見ていたんだ。
そうだ、後ろにたたせなきゃいい。
そう思って、壁に背を着けたのさ。
電話からはまだ声が聞こえてくるんだ。
「今……追われているの……」
後ろは立てないぞ、後ろには立たせないぞ。
そう呟きながら、待ち構えていたのさ。
そしたら……。
「今、"真上"に居ます」
は……?
天井を見上げたさ。
何も居なかったんだ。
スマホを取ると、圏外じゃなくなっている。
……イタズラ?
そう思ったら、笑いが込み上げて来て、そりゃもうめちゃくちゃ笑ったよ。
でも、笑った後、気になったんだ。
真上って……まさか……。
オレは2階建てアパートの2回に住んでいたんだ。
まさかと思って、押し入れを開けて、天井裏を見てみたんだ。
真っ暗だったから、スマホのライトを着けて、自分のいた辺りを見て見たんだ。
そしたらよ……いたんだ。
白骨化した女のミイラ。
オレはその後、すぐに警察に電話をしたんだ。
警察も遺体が見つからないから必死に探してたんだって。
犯人は殺した芽衣さんの遺体を山で干して、血をすっかり抜いた後、芽衣さんのアパートの裏に隠したって話らしい。
犯人が山の中に埋めたとか、海に捨てたとか、テキトーな事言うから中々見つかんなかったんだって。
どーりでこのアパート安い訳だし、ラップ音とか色々するなーって思ったんだよな。
あと、警察からちょっと気になった話を聞いたんだけどよ。
彼女のスマホ、警察署に保管してあるんだけど、改めてスマホを調べた結果、……勝手にオレのスマホに電話がかかっていたそうだ。
以上で終わりなんだ。
怖かったよ。
当然そのアパートは引っ越したよ。
家賃がそれ相応の家賃の所をしっかりと探してね。
それで、今に至る訳。
……最後まで聞いてくれてありがとう。
いつみさんもお化けとか通り魔とか、気を付けてね。
元ネタは間違いなくメリーさんでしょう。
聞いたことある話だなって思った。
でも、怖かった……。
ん?電話だ。
「芽里さん」
ヤバ……。




