第4話【幼馴染みとは】
休み時間、教室でテスト勉強をしていた。
ヤバい、全然わからない……
「はー」とため息をつきながら、ふと無意識に星宮の方を見ていた。誰かの事が気になるといつも無意識に目で追ってしまって、特に自分から大きなアプローチを出来るわけでもなく、いつだってそんな毎日の繰り返しだった。だから今回は、なにか行動を起こそうとしても結局は何もできていない。なのに悩みだけはあって。結局はなんとかこっちから話題をつくってのメールくらいしかできてない……。いや、マジでなんでこうも現実では、上手くいかないかな。ホントラブコメの主人公羨ましすぎる。
なんて考えていたら星宮と目があってしまった。反射的に顔をそらしてしまったけど あ、ヤバこれ向こうから見たらスゴい気持ち悪いかな?そう思ったけど向こうはそんなに気にしていない様子だった。そしたらそんな様子を見た尚志が話しかけてきた。
「お前どうしたの?突然」
「いっいや、別に~」
「お前最近ちょっと様子変だよな。あっ恋でもしたか~」
マジでこいつ鋭いな。尚志は冗談めかしに言ってきたが、俺の反応を見て、「図星かー」と悪戯に言ってきた。
「そういうお前はどうなんだよ」
俺だけ知られているのも嫌だから俺も尚志に問いかけてみた。
「いや~俺はね~」
と尚志が喋りかけたタイミングで別の声がかかった。
「2人とも相変わらず仲いいね~」
話しかけてきたのは幼馴染みの女子の、七瀬柴乃だった。後ろで1つ縛りをしていて明るくてノリがいいから誰とでも仲良くなれるタイプの人間だ。というか実際、彼女は男女問わず皆と仲が良い。
「何の話してたの~?」
「お前の悪口(嘘)」
「私が可愛すぎて惚れちゃっただって~?」
「ちげーよ。お前の耳はどうなってんだ。まあ実際は違う話だよ」
「へー」
俺にとって幼馴染みとは少し不思議な存在で、よく恋愛映画とかでは幼馴染み同士の恋愛とかあるけど、俺にはそれがよく分からなかった。幼稚園の頃からずっと一緒な訳で、つまるところ恋愛感情を持つ前から一緒にいるわけだ。だから今さら異性としてなんて見れないし、簡単に言えば、姉もしくは妹みたいな感覚だ。いや実際俺は姉も妹もいないけど。それはきっと向こうにとっても同じなのだ。実際俺の周りにも幼馴染み同士で付き合っているやつはいない。現実なんてそんなもんだ。そんなことを考えていたら、ふとあることが頭をよぎった。確か柴乃と星宮って結構仲が良かったはず。去年からずっと一緒にいるとこ見るし。これはチャンスかもしれん!!
「なあ、柴乃。テスト終わったら俺と尚志で遊ぶ約束してたんだけど来ない?女子一人になっちゃうから誰か誘っていいから」
「お!いいね~。じゃあ愛香ちゃん誘うねー」
幼馴染みなら別に遊びに誘っても変に思われないし、あいつは女子一人になるから必然的に仲の良い星宮を誘う。なんて素晴らしいんだ。ラブコメの神様 たまにはアニメや映画以外でも仕事するじゃないか。そして俺は今まで以上にテストへのやる気が出た。
夜山なつめです。そろそろキャラクターが出揃ってきました。読み返してみたら星宮の様子をなかなか描けていなかったので、しっかりと描いていきたいです。
そして、この話の後半の部分は書いていて楽しかったですw。
読んでくださった方ありがとうございます。次回以降もよろしくお願いします。