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第38話【あの時の質問を】

月明かりに照らされてもとで、そう呟くように言った俺の言葉が星宮ほしみやに届いたかは分からない。俺の声は、独り言……というよりも殆ど呟きに近い声量だった。月が綺麗ですね……。その言葉を告白として聞きたかったものだ……。いや、やっぱり自分から言わないとダメだよな。今すぐには無理にでも……。

 いや、それよりも……。


「星宮、夏目漱石とか、夏目漱石とか、あと夏目漱石とか勉強した方がいいぞ……」

 

 まあ、勉強できない俺が言うのもあれだけど……。

 勉強できない人に言われたくないと思うが、本人が知らないままなのも良くないと思うしな……。

 仮にその言葉の意味を知ってる人に俺に言ったのと同じように言ったら変に勘違いされてちょっと面倒なことになるかもしれんし……。

すると、俺の言葉を聞いた星宮は少しキョトンとした顔を向けてきた。


 「どーして??守山もりやまくんは夏目漱石が好きなの?」


 どーしよ……。超純粋に聞き返されちゃったよ……。

 今、直接意味を言いづらいから、ああいう言い方したんだけどな……。

 今意味を教えたら、 遠回しに言った意味がなくなってしまうし変に気を使わせるかもしれないし、そして何より色々問題がある……。


「いや、俺が夏目漱石を好きって訳じゃないんだけど……」


 どうする……。どう説明する……。んー。

 俺が返答に困っていると目の前のコンビニのドアが開き、見覚えのある女の人が出てきた。

 星宮の姉さんの恋香れんかさんだ。

 その姿を見ると星宮は笑顔で手を振った。

 それを見た恋香さんもニコッと笑って手を振り返している。

 まあ、タイミングよく星宮の姉さんが店から出てきてくれてよかった……。

 あのままだと、あやうく俺が超苦し紛れのおかしな理由を話すことになるか沈黙の時間が流れるとこだった……。

 俺がそんなことを考えている間にも恋香さんは速歩きをしてこちらまで来ていた。


「いやーゴメンねー。愛香あいかお持たせー」


 そう言ってニコニコとした表情のまま恋香さんは星宮に敬礼のようなポーズをとって言った。

 それに対して星宮は横に手をふって答える。


「いや、全然いいよ!もう友達とは話終わったの?」


「うん。まだあの子はお店で買い物してるけどね。可愛い妹のためにお姉さん、友達と話を終え帰ってきましたよー」


「別にもっと話しててもよかったのにー」


「いや、いつまでも待たせておくの悪いし、明日も大学で会えるしさ」


 終始、そんな様子で会話している二人は実にほほえましい光景で、本当に仲が良いのだと改めて感じる。

 すると、 恋香さんがくるりと俺の方に振り返りニコッと笑みを向けてきた。

 それを見てついドキッとして目をそらしてしまう。美人のお姉さんに笑みを向けられたら健全な男子高校生なら誰だってこうなちゃいますよ……。星宮に似てるからってのもあるけど……。その最強ダブルコンボは俺には回避できないようだ……。


「守山くんもお久しぶりー」


「はい……。お久しぶりです……」


 この人の社交性……。まじで羨ましすぎる……。まじでどの世界でも上手くやっていけるんじゃないかって思う。


「守山くんは今日はここで何してたの?」


「まあ、普通に散歩ですよ」


「そうなんだ!それで!私がいない間二人でなに話してたの??教えて教えてー」


 そう言って恋歌さんは俺と星宮の顔を交互に見た。


「いや、……特にお伝えするようなことはなにも……。普通に会話してただけで」


「うん。そうだね。私がここでお姉ちゃん待ってたら今さっき守山くんが通りかかって、それでちょっと話してただけだよ」


 俺に続いて星宮もそう答えた。


「えー。そうなのー?」


 そんなちょっと残念そうな反応されてもな……。


「はい……」


 恋香さんが何を期待してたか知らないけど……。残念ながらそうなんですよ……。

 すると直後、恋香さんはなにかを思い出したように「あっ!そういえば」と言って、少し身をかがめて俺の耳に顔を近づけてきた。


「私がこの前会ったときに守山くんに聞いたこと覚えてる?」


 そして恋香さんは小声でそう聞いてきた。

 近い近い……。顔が近い……。ちょっと緊張してしまう……。


「この前ですか……」


「うん!そうそう」


 恋香さんは、笑顔でそううなずいた。


 なんだっけか……。この前会ったときに話した内容は確か……。

 

「あっ……!」


 その時のことを思い出して反射的にそう反応した俺に対して恋香さんは「思い出した?」と首をかしげて聞いてきた。


「はい……。前会ったときの別れ際に聞かれたことですよね?」


 俺が自分のなかに浮かんだ事と恋香さんが想像していることが合っているか確めるためにそう聞くと恋香さんは笑顔のまま無我んで数回うなずいた。

 あの時、……1ヶ月くらい前か。学校の帰り恋香さんが正門で俺を待っていたとき、恋香さんに、俺は星宮のことをどう思ってるのか。と聞かれたことがあった。まあ、急に聞かれて動揺してしまったし「友達」と答えたのだが、俺が本当はどう思ってるか分かった。というようなことを言われてしまった。


「あの時守山くんに本当のこと言えるようになったら教えてって言ったけど、どう?答えでた?」


 恋香さんは小さな声で再びあの時と同じ質問をしてきた。

2〜3ヶ月くらい空いてしまいました……。すみません……。良かったら数話前から見てストーリーを思い出しながら読んでください……。また最近Twitterでクリエイター紹介をして頂きました。良かったら僕のTwitterの固定ツイートを見てください!

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