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第29話【バレンタインの格差社会】

「ただいま……」


 そう言って、尚志ひさしが教室に戻ってきた。右手には誰か女子から貰ったのだろうチョコの入ってる小包を持っている。

 俺はそれに気づき、そのチョコにジド目を向けた。

 尚志ひさしは俺の目線に気づくと少し気まずそうな表情を浮かべて言った。


「な……なんだよ……」


「いや……別にー」


 俺は若干の、そう、本当に若干の妬みの感情を込めて、そう言った。そう、決っっっっっっして妬みマックスではないよ。ホントダヨ……。

 すると尚志は若干、表情をひきつらせて俺の座っていた席のとなりの席に腰かけた。


「いいですなー。尚志さんはおモテになって」


「はは……そんなことないよ……」

 

 尚志は愛想笑いを浮かべそう答えた。

 くそー。いやみか、こいつわ……。


「それ今年何個め?……」


俺がそう聞くと尚志は再び気まずそうな表情を浮かべ答えた。


「3個目……」


 何てこった。知らぬ間にまだ2つも貰ってたとは……。格差社会だな……。人間は皆平等ではなかったのですか?

 俺も最近は多少なりとも星宮ほしみやと仲良くなれたし義理チョコくらい貰えないかな……。とか淡い期待を抱いたのだが、まぁ案の定そんな期待は泡と消えたわけである。さすが俺だぜ!いつまでもブレない俺マジスゲー。もうそろそろ「現実ラブコメは甘くない」みたいな小説や漫画を書けるレベル。いや、書いたとしてもモテない男子が主人公のラブコメとかマジ誰得だよ……。

 いや、待てよ……。尚志は星宮からチョコを貰えたのか?尚志が貰った3つのチョコの中に星宮から貰ったものもひょっとしたら含まれているのではなかろうか……。

 俺は気になったので聞いてみることにした。


「尚志、星宮からはチョコもらえた?」


「え!?しょうは貰えたの!!!???」


尚志はかなり食いぎみに反応してきた。


「え……。いや、貰えてない……けど……」


「なんだ……そんなこと聞いてくるから貰ったのかと思った……。いや、俺も貰えてないんだけどさ……」


 尚志も貰えてなかったのね……。はー星宮は誰かに渡したのかな……。あと、紫乃しのも……。

 ん……?いや、なんで紫乃の渡す相手の事なんか俺が気にしなきゃいけないんだよ……。関係ないだろ……。まぁ毎年紫乃からは義理チョコを貰ってたけど……。てか紫乃は毎年俺以外にも渡してたのか……?

 いやいや、今関係無いって思ってばっかなのに何考えてんだ俺……。

 はー……。何かモヤモヤするな……。

 

「あとの2つはいつ貰ったの?」


 俺は少しでも気を紛らわせるために尚志に質問した。


「んーと、1つ目は朝、靴箱の中に入ってって……」


 それを聞いて朝、学校に来た時の事を思い出す……。

 学校に来て靴箱へ行き、若干の期待のなか靴箱を開けたけど自分の靴しか入ってなかった。まぁ、毎年の事だし別に、はなから入ってるなんて思ってなかったからいいけどさ……。


「それで2個目はロッカーの中に入ってた……」


 それを聞いて朝、教室に入った時の事を思い出す……。

 教室に入って、若干の期待のなかロッカーを開けたけど自分の教科書と辞書しか入ってなかった……。まぁ、毎年の事だし別に、はなから入ってるなんて思ってなかったからいいけどさ……。


「それでさ、翔は今年は貰えたの?」


 うーん。「いくつ貰えたの?」じゃなくて「貰えたの?」って聞き方の辺り貰えてないの前提に考えられてて、ちょっと傷つくぞ!尚志くん。


「フッフッフッ。聞いて驚くなよ……」


 俺がそう言うと尚志はゴクリと息を飲む。


「なんと0でございます!!」


「あら……。あんな言い方だから貰ったのかと思った……」


 どうやら驚いているようだな尚志よ!にしても0って素晴らしい数字!トリプルフェイスできるレベルだ……。


「本当に尚志さんはいいですなー。毎年安定して貰えて」


「いや、それでもさ……本当に振り向いてほしい人には……星宮からは貰えてないからな……。現実って厳しいな……」


 うーん。俺からしたらチョコ自体誰からも貰えてないんですけどね……。悩みのスケールが違うなー。

 まぁ、それでも根本的なことは同じか……。はー。どうしたものか……。


「ずっとここにいるのもなんだし、そろそろ帰るか……」


 そう言って尚志は立ち上がった。


「そうだな……。帰るか……」


 そうして俺も立ち上がり俺達は教室を出た。





         **********




 正門を出ると、尚志はスマホを取りだしその画面を見ながら言った。



「あー。ちょっと俺母さんから買い物頼まれたから、買い物してから帰るわ。先帰ってくれてももいいぞ?」


 とメンドクセー。などと言いながらメールを返している。


「そうか?じゃぁまた明日なー」


 そう言って、尚志は正門を出て右に、俺は左に曲がり家へ向かった。

 ポケットに手を入れ軽いため息をつきながらしばらく歩いているとポンと肩を叩かれた。

 反射的にそちらを振り返る。


「おう……、みなみ……」


「ヤッホー翔くん」


 そこには俺と同じく下校途中の南がいた。


「どした?」


「いや、帰ってるとき前に翔くんが歩いてるの見つけたから何回か声かけたんだけど全然気づいてくれなかったから……」


「あ……。わり……。色々考え事しててさ」


「そっか……。そういえば翔くん最近ちょっと元気ないよね……。私でよかったら話聞こうか?」



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