第23話【どこにたどり着くのだろう】
「守山くんは愛香のこと、どう思ってるのかな~っと思ってさ!」
と星宮の姉、星宮恋香は、ニコニコしながら聞いてきた。
「へ……!?」
いかん……。突然、予想もしてなかったことを聞かれたのでつい、間の抜けたような声を出してしまった……。
とはいえ、どう答えれば……。それに、星宮にはもう聞いたって言ったよな……。星宮は何て答えたんだ……?
「どっ、どうと言われましても……その……星宮は何て答えたんですか?」
すると恋香さんは、手を後ろで組み、腰を曲げ俺に視線を合わせ、
「やっぱ、気になるんだ~」
と、悪戯な笑みを浮かべニコニコしながら少し顔を近づけてきた。
にしてもこの人スゲー距離縮めてくるな……。
でも、星宮も言ってたが、この人のこういう社交的というか、友好的なところは少し羨ましい。
「い、いえ……別にそう言う訳では……」
と言いながらも、その笑顔を見ているのが少し照れ臭くなったのか、図星をつかれたからなのか分からない。もしかしたら両方だったのかもしれないが不意に顔をそらしてしまった。
「ダメだよ!他人の意見を求めちゃ!自分の気持ちなんだからしっかりと自分で考えないとね!」
そう言った彼女の笑顔にはどこか優しさがあった。
「そうですね……。なんか大人の意見って感じですね……」
「まあ、君より数年は長く生きてるしね!」
「なんか、すごいっすね……。」
確かにあんな意見が言えるというのは、数年俺よりも長く生きている。というのも理由の一つだろう。でも、それだけじゃない気がする。年が離れていると言ってもせいぜい数年だ。自分は数年後、あんな意見を言えるようになっているのかと聞かれても到底そんな風になれる気がしない。
ならば、数年前の自分と今の自分を比較しても自分は変わった、成長したとも思えない。自分自身の変化だから気づいてないだけかもしれないが、それを考慮して上でも。
ならばきっと、それは今までの生活上での経験なのだろう。
俺が少し下を向きそんな考えを駆け巡らせていると、恋香さんが再び声をかけてきた。
「おーい。守山くん?どうしたの?」
「あ……。いえ、すみません……。ちょっと考え事してまして……」
「そっか。それで答えは出たかい?」
そう言って、優しく微笑みを浮かべている。
「ま……、まぁ、そうですね……。友達……ですかね……?」
今の俺に本当のことを言う勇気があるはずもなく、煮え切らない感じにそう答えた。
「そっか~。ところで……愛香が何て答えたか知りたい?」
と言いながらまたしても、恋香さんは悪戯な笑みを浮かべている。
なんだか、ちょっぴりからかわれてる気分だ……。
「いや……、別にいいですよ……」
本当は知りたいけど、回答によっては俺の豆腐メンタルが傷ついちゃうしな……。
「そっか!なら、それを教えるのは守山くんが本当のことを教えてくれた時にしよう!」
「え!?」
「昨日と今日の様子を見てて、なんとなく守山くんがどう思ってるのか分かったし!」
そう言い、ニコっと笑った。
「!?……」
そう言われた瞬間、自分の顔が赤くなったのに気づき再び顔をそらしてしまう。
マジか!?気づかれてた?と言うかその上であの質問か……恥ずかしい……。
「じゃぁ!ちゃんと本当のことを言えるようになったら、また教えてね!」
「はぁ、まあ……」
「そろそろ私は帰るね!バイバイ!守山くん」
「はぁ……」
そして、星宮姉は早々に去っていってしまった。
本当のことか……。その時は俺自身がしっかりと、星宮のことに対する決断ができたときだな……そんな時が来るのかわからんが……。
さっきも思ったが、自分はそんな風になれるときが来るのかと。
自分は成長できるのだろうかと。
こんなとき、ふと考えることがある。俺はどこに向かっていて、どこにたどり着くのだろう?
ただ、毎日をなんとなく過ごしていて、進歩できている実感がなく、
それでも、いつ、どこにあるかも分からないゴールに繋がっているこの日々を、毎日を、ただただ過ごしていて、そのゴールは人によって違うのだろう。それがもう見えていて、そこに向かって毎日進んでいる人もいれば、俺のように、それがなんなのか分からず、そのなにかに繋がっているこの日々を進んでいる人もいる。
この道を行けば、この毎日を過ごしていれば、いつかは成長できるのだろうか、その何かに出会えるのだろうかと。俺の場合、たどり着くまで何なのか知らずにいる気もするが……。
とりあえずは、目の前にある“成長”に向かい進むべきだろう。
こうして、目の前のものを追い続ければいつかきっと、たどり着けるのだろう。
「はー。俺も帰るか……」
結局は未来のことなんて分からないのだ。だから、どこに向かっているかが分かってなくても当然かもしれん。人生何があるかわからんし。第一、今を過ごすのに精一杯だからな。そんな先のことまで考えている人は少ないだろう。俺たちにとっては今がすべてだし、だからこそ、大人になった時、何気なく過去を振り返ってみれば、こんな悩みが、きっとちっぽけなものに思えるのだろう……。
まあ、今がすべてだからこそ今、冷静に過去を振り返ってみれば、その時は普通だと思っていた言動や行動もスゲー恥ずかしく思えることもあるが……。
そんなことを考え歩いていると、後ろからポンと背中を叩かれた。
「なに考え込んでるの?」
「紫乃……」
お久しぶりです。夜山なつめです。
前回の投稿から10数日空いてしまい申し訳ありません……。以前、4日ほど連続で投稿したときもありましたが、なかなか難しいものです。学校に行っていると中々時間がとれないので。(時間はあってもやる気がないときの方が多いですが……)いざ、書こうとすると中々話が浮かんでこないのです。そして、ゲームをやっている最中や授業中などとりとめのないときに浮かんでくる。しかし、いざそれを書こうとすると忘れてしまっているので大変……。
思いついたら極力メモするようにしてるのですが……。
言い訳はこの辺にして、次回は間を開けないようにします!(毎回思ってる気もしますが……)
次回以降もよろしくお願いします。




