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第22話【星宮恋香は愛想がよく】

「あ……すみません。ボーッとしてて……」


 俺がそう言うとぶつかりそうになった女性も謝ってくれた。


「いえ……私の方こそ前見てなく……あれ?愛香あいか?」


その女性がそう口にした瞬間、え?。と反射的に顔を上げてそちらを見てしまった。

 星宮ほしみやを愛香と呼んだその女性は漆黒のワンピースに身をまとい、その上から肘くらいまでの長さのデニム生地のジャケットを羽織っている。そして、その真っ黒なワンピースが彼女の雪のように真っ白な肌をより一層際立てていた。

 その女性の顔は、どこか星宮とよく似ている。ただ、雰囲気はすごく大人びており髪型もショートカットの星宮とは違い明るい茶髪のポニーテールだった。

 すると、その女性を見た星宮が口を開いた。


「お姉ちゃん!?」


「え!?」


 やべ……。驚いてつい変に声を上げてしまった……。

 お姉ちゃん……。星宮の姉さんか……。道理で似ている訳か……。


「お姉ちゃん、どうしたの?こんなとこで」


「いや~、私はただ通りかかっただけだよ~」


 そして星宮の姉は俺の方を見て、口に手を当てて少し微笑んだ。

 何?怖いんですけど……。

そして彼女は再び星宮の方を向いた。


「なんだ~、愛香やっぱり彼氏いたんじゃ~ん。いないとか言ってたけどさ」


そして少し背中を曲げ俺の顔を見て、んーと言い、


「ちょっと冴えない子だけど、いやーよかった。妹にやっと彼氏が……お姉ちゃん嬉しいよ……。じゃ、お二人さんの邪魔しちゃ悪いし私帰るね!ばいびーー」


 そう言って早々にこの場から立ち去ろうとした。


「いや、ちょっと待ってください」


「ちょっと待ってお姉ちゃん!!」


 俺たちの声の反応してこちらの振り替える。


「息もぴったり。仲いいねー。青春だねー」


「いや、お姉ちゃん、守山もりやまくんは別に私の彼氏じゃないよ!」


「いやー、照れなくてもいいんだよ。大丈夫!お姉ちゃん、ちゃんと分かってるから」


 この人色々スゲーな……。なんかスゲーテンション高いし。


「いや……、ホントに違うんですよ……」


 俺がそう言うと、え!?と少し驚いて言った。


「ホントに付き合ってないの?」


 そして星宮がコクリとうなずく。


「ごめんね。私ちょっと早とちりしちゃって」


「ホントだよ……」


 そう言って星宮が恥ずかしそうに下を向く。


「じゃあ、なんで二人は一緒にいるの?」


「それは、友達のお見舞いにいってまして……」


「ほー。そーなんだ!」


「はい……」


「えーっと……。守山くん?だっけ?」


「そうですけど……」


「いやー変な勘違いしてゴメンね!星宮愛香の姉、星宮恋香ほしみやれんかでーす!ヨロシクね!」


 そう言って星宮姉、星宮恋香はウインクをしてきた。

 にしても、この人すごい人当たりがいいな……。


「よ……よろしくお願いします」


「そんな緊張しなくてもいいんだよ!」


「はあ……」


「お姉ちゃん!守山くん困ってるから」


「そっか……。私も本当は守山くんともっとお話ししたいんだけど……。しょうがないな。私は、たまたま通りかかっただけだし、じゃ愛香また後でね!守山くーんまたねーー。今度はゆっくりお話ししようねーー」


 そう言って星宮の姉は手を振って笑顔で俺達が歩いてきた方向へ早々に歩いていってしまった。


「なんかゴメンね。守山くん。お姉ちゃんが……」


「いや、いいよ。仲いいんだな」


「まあね、昔から遊んでくれたし」


「兄弟がいるって羨ましいな。俺、一人っ子だしさ」


「そうなんだ……。でも私は姉妹がいるのが当たり前だから。一人っ子がいいな~って思う時よくあるし。」


「まあ、手に届かないものほど欲しくなるしな……」


「うん。だから守山くんも兄弟がいたら、一人っ子を羨ましがってたかもよ」


「まあ、そういうもんか……」


「そうだよ!」


「まあ、一人っ子でよかったって思うときもあるけどね」


「私もお姉ちゃんがいてよかったって思うときあるよ!」


「そっか、それにしても、なんかああいう性格って羨ましいな……」


「え?」


「愛想がよくて、社交的で、常に笑顔でいられてて、きっと誰からも好かれていてスゲー頼りになりそうで……完璧な人だなって俺には出来ないな。って」


「私もお姉ちゃんのああいうとこは本当に羨ましいよ。でも完璧人間なんかじゃないよ。お姉ちゃん料理できないし」


「そうなのか!?」


 よかった~。ベタだけどなんか短所っぽいとこあって。そうでもなきゃ、もう人間じゃないよあの人……。人として完璧すぎるし。

 んー。それにしても、やっぱり尚志ひさしがいない時に星宮と話すのに若干の罪悪感……。

 そして、ふと腕時計に視線を落とすと、時計は六時を表示している。

 日も沈みかけていて、空は朱色に染まっている。


「暗くなってきたしそろそろ帰るか」


「そうだね」


「おう……。また明日な」


「うん」


 そう言って俺達は解散しそれぞれの家の方向へ歩いていった。








      ***********








――翌日の放課後――


「いやーにしても今日は普通に学校来れてよかったな」


「ああ。まぁ昨日も言ったけど一日寝てたら熱も下がったしな」


「今日は元気そうで何より」


「てか、なんで昨日星宮連れてきたんだよ」


「嫌だったか?」


「いや……。そう言う意味じゃなくて……。どういう経緯でっていう……」


「俺がお前の家に向かってる最中に星宮と会ったんでな」


「そうか……」


「よかっただろ?星宮も来てくれて」


「まあ……」


「お前最初スゲーテンパってたけどな!」


「うるせー。そりゃビックリするだろ……」


 そんな話をしながら俺達は正門にも向かっていた。

 すると、正門に見覚えのある人が立っていた。星宮の姉さんだ。向こうは俺に気づくと微笑みながら手招きをしてきた。


「なんだ?しょうの知り合いか?」


「まあ……知り合いっちゃぁ知り合いかな……」


「なんだそれ。あの人お前の用があるっぽいし俺先帰ろうか?」


「おう……。悪いな……」


 そう言うと尚志は早々と帰っていった。

 そして俺も正門の方へ向かう。


「あの……。どうしたんですか。星宮待ってるんですか?」


「いや~。今日は守山くんと話したいことがあって」


「はあ……歩きながらでもいいですか?ここでずっと話すのも邪魔になりますし」


「そうだね!」


 そして俺は自分の家の方へと歩き出した。


「こんな時間にここに来れるって恋香さんは仕事とかしてないんですか?」


「私大学生で今日は午前しか授業なかったの!」


「ああ、そうなんですか……で、話ってなんですか?」


「ああ。そうそう!愛香には昨日家で聞いたんだけど二人が付き合ってないのは分かったけど守山くんは愛香のことどう思ってるのかな~って思ってさ!」


「へ……!?」


 

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