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現実ラブコメはアニメのように甘くない  作者: 夜山なつめ
第3章 【それぞれの決断】
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第14話【外では まだ雪が】

(しょう)くん 、尚志(ひさし)くんに聞いてくれた……かな?」


そう言ってきたのは (みなみ) 陽菜(ひな)だった。


まずいな……。 尚志と南のどちらを応援しようか……。ということばかり考えてて この質問にどう答えたらいいか考えてなかった……。

でもここで南に、尚志の星宮(ほしみや)への気持ちを言う訳にもいかない。言ってしまえば、南は諦めてしまうかもしれない。

そしたら、その時こそ本当に可能性はゼロになってしまう。

俺は頭をフル回転させた。

どうする、ホンにどうすればいい……?

考えて考えた結果……。


「あ……、優しい人……って言ってたよ……」


まずい……。自分で言っておいてすぐに気づく。

かなりベタで凡庸(ぼんよう)な答えになってしまった。

というか、あれだけ考えた結果がこの答えって流石 俺……。 語彙力(ごいりょく)が無さすぎる……。

恐る恐る南の方を見ると……。


「そっかー。優しい人かー。私もこれから、もっと意識していかないと!」


良かったー。

どうやら納得してくれたみたいだな……。


「ありがとね!翔くん!」


南はそう笑顔で俺に言って自分の席に戻った。

なんか少し罪悪感が……。


そして俺も自分の席について荷物をおろす。

俺は昨日、暁斗(あきと)に相談してから、また改めて自分でも考えて、南を応援しようと決めた。

頼まれたからというのもあるが、尚志は俺に、手伝って欲しい。と言ってこなかった以上、きっと自分だけの力で 何とかしたいんだろう。

すると、席に座った紫乃(しの)が後ろの席から声をかけてきた。


「おはよー 翔!」


「おう、おはよーさん」


「いやー 雪だね。こんな日は外で雪合戦とかして遊びたいねー」


「いやいや、こんな寒い日に外でて遊びたくねぇよ。」


「えーなんでー?」


「そもそも 雪降ったから雪合戦しようとか…子供かよ」


「私たち、まだ十七だから大人じゃないじゃん……」


そう言って紫乃が、ジト目を向けてくる。


「いや、そういう事じゃなくてさ、高校性らしからぬ ってことを言ってんだよ。」


「別にいいじゃん。子どもの心を忘れずに。的な!」


そう言って人差し指を立てて自信ありげに言った。

まったく、この子は……。


そこで俺は、ココ最近気になってた、紫乃の様子を本人に聞いてみようとした。


「なぁ、紫乃 お前中学の時と……」


そこまで言ったところで尚志が俺の背中を軽く叩いて俺の声を遮る。


「よう!翔〜。おはよー」


「おう、おはよ」


「いやー今日せっかく雪だしさ、学校終わったら雪合戦でもしない?」


お前もか……。


はぁ、紫乃に聞こうとした事も、なんか今ので気が抜けてしまって。その気がなくなってしまった。

まぁ、いいか。別にいつだって聞けるし。

紫乃には、やっぱなんでもねぇよ。 と返しておいた。













***********************










その日の休み時間

今日は、尚志が、日直で先生からプリントを職員室に取りに行くように言われて、教室を出ようとしていた。

そこに……。


「尚志くん、プリント多いかもだし、私も手伝うよ!」


南が、優しい人と聞いて、早速行動していた。

素直に感心してしまう。

今は尚志は星宮のことしか目に入ってないだろうから、ああいうアピールには気づきにくいかもしれんが、そういう事の積み重ねが、ひょとしたら意味をなす時が来るかもしれんしな。

それにしても、好きな人のために 素直にああやって行動できるなんてホントにすごいと思う。

俺はいつも何も出来ていないから……。

今回も結局は初詣の時に尚志のため。また、尚志との友情を取るべき。と諦めてるしな。

まぁ、それに俺なんかと付き合わない方が、星宮のためでもあるだろうし、いいけどさ……。

いつだって、そうやって俺は諦めてきてしまっている。

自分になにか異性を引きつけるような魅力があるとも思えないし。

自分の欠点は、いくつだって出てくるのに、自分の良いところは何1つ出てこない。

つまりそういうことだ。

だから俺は女子の友達が多いのにも関わらず そのどれも友達止まりなんだろう。

第1イケメンじゃないし。

だからその友達の女子の誰からも きっと友達としか思われてないんだろう。

マジでラブコメの主人公はモテすぎ。

そして、本人は気づいてないという鈍感さ。

あんなアピールされてて、気づかない男子なんて現実にいない。

むしろモテない男子は、そんな事ばかり考えているせいで、ちょっとしたことで勘違いしてしまうレベル。

あ……。チクショー羨ましいー。

もう一生のうちに何度同じ事考えてるのだろうか……。


守山(もりやま)くん、どうしたの? 神妙な顔して……」


そんなことを考えていた俺に声をかけてきたのは星宮だった。

どうやら知らないうちに、かなり神妙な顔になっていたらしい。


「いっ……いや、別に何でもないよ。ちょっとボーっと、してただけだからさ。」


「そうなの? ならいんだけど。体調悪いなら休んだ方がいいよ」


「ホントに大丈夫だよ。心配させて悪いな……」


こんな時でも声をかけられただけで少し心が踊ってしまう……。

何が諦めた。だよ……。

いつも、自分に諦めたと言い聞かせているだけで諦められていない。

ホントに自分のことに関しても 尚志や南のことに関しても俺って、どっちつかずで全然ダメだな……。

決断力とか行動力とか、自分の意見だとか、俺には足りないものが多すぎるな……。

イケメンとか以前の問題だ。

なに顔のせいにしてるんだか。




窓の方を見ると、外では まだ雪が吹雪いていて、

その様子は外の冷たさと寒さを物語っていた。

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