第12話【自問しても答えは出ず】
昼休み、弁当を食べ終え本を読んでいるとクラスのリア充女子たちの愉快な話し声が聞こえてくる。
「私、今の彼氏マジ運命の人だわ~」
「マジそれ!! いや~仲良くて羨ましいなー。私の彼氏なんか最近さ……」
いやいや、君たちすぐに運命って言葉使うけど運命の人がそう、易々と同じ地域に住んでて、しかも同世代で、しかも学校も同じでなんてあるわけないでしょ。
いや、あるかもしれないけどさ、そう言ってる女子が数ヵ月後には別の “運命の人”と付き合ってるのを俺は幾度となく見てきた。
だから非リアである俺は、ああ言った言葉に無駄に反応してしまう。
別に妬みの感情が含まれてる訳じゃないよ。
いや、ホントに……。
この世界はいくつもの“偶然”が重なりあって出来ている。
もしも、その偶然が何か一つでもズレていたら、もしかしたら自分は生まれていなかったかもしれない。
もしかしたら、俺は尚志や柴乃、星宮達と出会っていなかったかもしれない。
もう少し分かりやすい別の例を挙げよう。
例えば、ある少年が、ある漫画と出会って、それがきっかけで漫画家を目指し、漫画家になり大ヒットするかもしれない。
もし、その少年がその漫画を手にしなければ、そうならなかっただろうし、その漫画の作者が、そのアイデアを思い付かなかったら。また思い付いていても、企画書のような段階でボツと言われていたら、そうなっていなかっただろう。
また、その少年の漫画に影響されて人がいて、その人も漫画家を志すかもしれない。
しかし最初の漫画の段階で、今言ったような、どこか一つでも違った答えに辿り着いていたとしたら、その漫画が世に出ることはなく、それらの未来は全て閉ざされてしまう。
人生は選択の連続なんてよく言うけれど本当にその通りだと思う。
その時は一見、大したことのない選択に見えるかもしれないけれど、今のように、もしかしたらその選択が他人の人生を大きく変えることだってあるのだ。
俺はそういう、幾つもの選択や偶然の重なり合いを運命と呼ぶと思う。
いやもしかしたらそれは偶然ではなく必然なのかもしれない。
まあ、俺の運命に対する考え方が大きすぎるだけかもしれないが……。
それにしても漫画で例えちゃう辺り、流石普段漫画ばかり読んでる俺だな……。
そんなことを考え、ボーっと本を読んでいると、一人の女子が声をかけてきた。
「翔くん、ちょっといいかな……」
そう言ってきたのは 南 陽菜。
性格はおしとやかで髪は少し明るめの茶髪、肩くらいまである髪にはウェーブがかかっている。
そして足が長い。モデル体型でクラスのカースト上位層に位置している女子だ。
「ちょっと相談があるんだけどいいかな?」
そう言って南は親指で、クイっクイと廊下の方を指す。
ここではできない話なのだろうか?
ハッ、まさかこの俺にもついにモテ期が来たのだろうか!!
そんなことを考えながら、この時間あまり人が通らない廊下の方へ言われるがまま、南の後を歩いていく。
到着すると南はクルっとこちらを振り返り。 少し小さな声で話はじめた。
「翔くんってさ……。尚志くんと仲良いよね?」
「まあ中学から同じだしね」
「私、実はさ……」
そこまで言うと南は少しうつむいた。
その頬はすこし紅潮していて、ついドキッとしてしまう。
そして南はさっきよりもさらに小さな声で告げた。
「尚志くんのこと、好き……なんだよね。」
あいつ何気結構モテるんだよな……。イケメンだし。
さっきモテ期か?とか思ってた自分を殴ってやりたい。
俺はあいつを主人公にしたラブコメのクラスメイトA なのだろうか……。
こいういう事ばかりだから常に期待するなと自分に言い聞かせているはずなのに、まーた悪い癖が出てしまった~。
「それでさ、翔くん尚志くんと仲良さそうだから好きなタイプとか知ってるかな~と思って」
「ああ~、まぁ聞いとくよ」
「ありがとね」
そんな会話をしてると、5時間目の予鈴が鳴った。
「じゃあ翔くんよろしくね~」
と南が敬礼のようのポーズを取って言った。
**************
5時間目の授業中、俺はずっと考え事をしていた。
さっきは言えなかったけど、尚志は星宮が好きなんだよな~。
まぁそれは俺もなんだが……。
だからあいつの好きなタイプを今さら聞いたところで……。
それに今のままだと南が尚志に告白したところで、確実に南はフラれてしまう……。
第一俺は尚志を応援しようと決めたのに……。
なんかスゲーややこしくなってきたな。
でも俺は尚志から協力してくれなんて頼まれてないし、俺が勝手にそう決めていただけだ。
ならば頼まれた方を優先すべきなのか……?
仮に南と尚志が付き合ったら、俺には星宮とのチャンスはあるのだろうか?
そんなことをずっと考えていたせいで授業の内容は全く頭に入ってこなかった。
放課後いつものように尚志と帰宅していた。
「尚志、お前さ仮に今、星宮以外の女子に告白されたらどうする?」
「なんだよいきなり。いや、まずそんなことあり得ないだろ」
「だから仮にだって」
尚志は少し考えた後、
「そりゃ、多分すごい嬉しいけどさ、大事なのは自分の気持ちだから、断るかな……」
「だよな……」
「まあ、その後で星宮に告白してフラれたらマジ笑えねぇけどな!」
苦笑して尚志は、そう言った。
俺が今、南のため、尚志のためにできることは何があるのだろうか……?
いくら自問しても答えは出なかった。
帰宅後、俺は参考を得ようと暁斗に電話をしてみた。
こんにちは。
毎回サブタイトルが全く思い付かなくて大変です……。
今回の話の最後に名前が出た 暁斗 は恐らく皆さん忘れられていると思うので 分からなかった方は5話をご覧ください。
読んでくださった方ありがとうございました。




