第10話【選択】
12月31日の夜。
現地集合だと混むし集合できるか分からない。ということで近くの駅に集合することにした。
俺が到着したとき、尚志はもう到着していた。
「おー、早いな」
「まあね」
周りには他にも待ち合わせしている人たちがいた。
まだ星宮と柴乃は来そうでなかったので、俺はここ最近ずっと気になっていることを尚志にきいてみることにした。
「なあ尚志、お前は24日、星宮を誘えたわけ?」
「ふふっふ……。それがなぁ……」
え?嘘マジで!? 俺が家でダラダラしてる時こいつマジで誘っちゃってたわけ?
そう考えを巡らせていた瞬間、
「誘えなかった……」
と尚志が呟いた。
「なんだよ。じゃ、同じだな」
「ってことは、お前もやっぱ……」
そんな俺たちの会話を一人の女子の声が遮った。
「あけおめー。お2人さん!!」
柴乃だった。
その後ろには星宮がいる。
「いや、まだ年明けてないから……」
と、俺は柴乃に言ったが、その直後にすぐにある考えが浮かぶ。
こいつら、いつからここにいた?さっきの俺たちの会話聞かれたか?だとしたらどこから?
「二人ともごめんね。遅れちゃって」
と星宮が言った。
「いいよ。そんなに待ってないし」
いや~星宮が良いやつだな~。
そんなことを考えていたら柴乃が、
「で?2人ともなに話してたの~?」
と聞いてきた。
よかった~。聞かれてなかったみたいだな。
「まあ……、なあ?」
と俺は返答に困って尚志に丸投げした。
すると尚志も少し戸惑ったような顔をしたあとで、
「まっまあ、ちょっとゲームの話をな……」
「ふーん。そーなんだ!」
柴乃も納得したようだった。
「まあ、みんな揃ったし行こうぜ。」
と話を切り出し神社に向かうことにした。
神社に行くまでの道で、俺は尚志に星宮のことを宣言された日から悩んでいたことをずっと考えていた。
俺はどちらかを選択しなければならないのだ。
“自分の恋愛”か“尚志の応援”それと共に尚志との友情である。
尚志が俺にああいう風に宣言してきた以上、俺が仮にが星宮に告白して付き合うことになんてなったら、いくら親友とはいっても、きっと尚志は俺に対して怒りを抱くだろう。
まあ、もしも俺が告白したところで成功する確率なんてゼロに等しいのだけど、
どちらにしたって同じである。フラれた場合でも俺が告白したと知ったらきっと……。
そして、さらにその後で尚志が星宮と付き合うことになったら、俺はどうするのだろうか?
そんなのは俺も尚志に自分のことを打ち明ければ解決するのかもしれない。
けれど俺にはそんな勇気すらなくて、打ち明けたところで尚志と、その事で気まずくなるのが嫌で。
けれどまぁ、こんな問題、単純に根本的に考えれば分かる問題なんだ。
要は“もしかしたら”これから一生続くかもしれない星宮との絆を取るか、“今” 確実に手にしている一生続くであろう友情をとるか。である。
そんな一か八かに尚志との友情を変えられるわけがない。確実に一生続けることのできる友情を取るべきなのだ。
「はー」
とため息に似た声が出るのと同時に白い息が出る。
そんな俺の様子を見た柴乃が
「大丈夫?」
と聞いてきた。
「ああ、まあ」
「最近いつも何か考え込んでない?」
「まあ、色々あるんだよ」
「なんか悩みあるなら言ってね」
「ああ……。サンキュ」
相談しようにもできない内容なんだよな……。
というか柴乃がそこまで心配してくれてるとは……。
「到着!!」
その尚志の声で意識を戻される。歩いてきているのに考え事をしてボーっと歩いていたせいで気づかぬうちに到着していた。
着いてすぐに、お参りをするためにもうかなり長くなっていた列にならんだ。
この年が明けるまでの十数分ってなんかすごい長く感じるんだよな……。
そして十数分後……。
周りの人達がカウントダウンをはじめた。
『5・4・3・2・1…… うおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ。』
毎年思うけど、なんで年明けただけでこんなテンション上げれるかな……。
その後お互いに「あけおめ、ことよろ」と言い合って俺たちの順番が来た。
さい銭を投げ込み、尚志が鈴を鳴らし、皆で同時に手を合わせる。
(尚志と星宮がチャッチャとくっつきますよーに。俺も区切りつけたいんで……。)
「よし、行くか」
そう俺が言って俺達はその場所をあとにした。
「ねえねえ、なにお願いしたの~?」
と柴乃が聞いてきた。
「別に……大したことじゃない」
「そっか……」
なんでコイツ俺の願いなんて気にしてんだよ。どうでもいいだろ……。
尚志は星宮のこと願ったんだろうけど星宮は何願ったんだろうか……そう考えた直後すぐ気づいてしまう。
はー。俺、全然ふっ切れてないな……。
目的は達成したのでその日は、その神社内の他の場所もいくつか回り解散にした。
そのあとは特に何かするでもなく、何でもない日々が過ぎていき、冬休みは終わっていった……。




