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『シークバー』『合鍵』

作者: 葉月

夏のホラー2017に投稿する為書きました。


規定の3000文字をギリギリ帰る形となり、期間ギリギリですが書き上げられて良かったと思います。


二本しか書いていませんが、オリジナルです。


『シークバー』と『合鍵』


お楽しみください。


この前テレビの怖い番組で呪いの曲特集なんかがやってた。

テレビの向こうでは、曲を流すと声が聞こえたり妙な雑音が入ったりしていて、それを聞いたタレントはみんな叫んで怖がっていた。


特別ゲストの霊能者が、「これは生前に〜」とか「相当強い怨念が〜」とかなんちゃら言っていた。

音に関する専門家だかが曲を解析してなんちゃらかんちゃらよくわかんないこと言ってるけど。


本当か?100%ヤラセだろ。どうせ合成かなんかで上手く作ってあるに決まってる。



最後まで見終わった俺は自分でその曲を探し聴いてみようと思いついた。

聴いて声やら雑音やらが入ってなかったらSNSで拡散してやろうと。



今思えばこんなこと思いついた俺をぶん殴ってやりたい。

いや、ぶん殴って辞めさせた所で結局は意味ないんだけど。



俺は意気揚々とテレビで取り上げられてた曲を探した。するとさすがネット社会すぐ見つかるもんだ。案外苦労すると思っていたが。


いざ、聴いてみる。


最初の数分は全然普通だった。

ちょっと昔の曲をこんな曲があったんだーって思いながら聴いていた。


だが曲の後半にボソッと明らかにボーカルの物では無い声が入った。

ノイズでもなんでも無いボソボソと話すように声が聞こえる。これはテレビでもやってなかった。


もしかしたら案外ガチ?本物の呪いの曲?


聞こえたのは数秒だけで、もう一度最初から曲を聴いてみる。

すると今度は曲の冒頭にボソボソ聞こえる。

これは本当に驚いた。さっきまでなかった所で声が聞こえる。


「こ……み…」「……ち……」


なんて言っているか気になり音量を上げ再度聴いてみる。


が、今度は聞こえなくなってしまった。

聞こえるには聞こえるが声が遠いと言うか小さいと言うか。


もう一度最初から曲を流してみる。すると曲が始まる前に声が今までより大きく聞こえ、曲が聞こえると同時にまた声が遠くなってしまった。


この時、変な違和感と妙な寒気を感じた。


曲が大きくなるにつれ聞こえなくなり、小さいと聞こえてくる。


曲を最初から音量を小さくして聴いてみる。

すると先程と同様、曲が始まる前はハッキリと聞こえ曲が始まると同時に聞こえづらくなる。


もう一度最初から。


何度も何度も、音量を小さくした状態で聞いてみる。

その感声は途切れる事なく何かをボソボソと呟いていた。


そして違和感の正体に気付いた。


曲にも動画にもシークバーと言うものがあって、そのバーを戻している間は何も聞こえるはずがないんだ。

そしてシークバーを離すと音が流れ始める。


でもさっきから声が一番ハッキリ聞こえたのはシークバーを戻してる最中だった。


それも耳元で。


自分が今まで聴いていたのはただの普通の昔の曲だったことに気づき、本当に怖すぎて動けなくなってしまった。


そしてもう一つ気付く、なんて言っていたか。



その声はずっと「消せ消せ」と言っていた。


そして、全てに気付いた後曲を消してハッキリと声が聞こえた。



「こっちみろ」

「こっちみろ」

「こっちみろ」

「こっちみろ」



スマホの画面越しに見たそいつは、明らかにこの世のものではないおぞましい顔をしていた。






「こっちみた」



















『合鍵』


最近朝起きると自分でもビックリくらい汗をかいている。

原因はわかってるんだけど、対処のしようがないと言うか、どう対処すればいいかわからない。


簡単に言うと、彼女と別れた後すぐに引っ越した。すごく好みの顔つきでショートヘアが似合っていた。


そんな彼女と付き合ってはみたが、束縛が強く、何よりも嫌だったのが毎日のように家に来ては当たり前のように居座り、しまいには勝手に合鍵を作ったり、とにかくだんだん愛想が尽きて行き、別れたと同時に引っ越しも決意した。


その時見つけたアパートが格安物件だったのだがおそらく曰く付きだ。


当然そんなこと聞いてないので自分でインターネットで調べてみたが、ここのことは何も出ない。

でも、明らかにおかしかった。


特に寝てる時。必ず金縛りにあうし、何かなってる感じがしてなかなか寝付けない。

怖くて目も開けられないから何が乗ってるかわからないが、人だと思う。

跨って乗ってるのではなく覆いかぶさる感じがあるし何かボソボソ聞こえるし。


それでも今の職場からとても近い位置にあるので、それくらいのことで出て行くのも惜しいと思い我慢している。


ただ最近厳しくなって来たと言うか、せめて原因がわかれば対処のしようがあるのだが。


今はお盆休みに入ったので原因を探ってみてもいいかもしれない。

思えばこの家の中をしっかりと調べたことはなかったかもしれない。


お札の一つや二つ楽勝で出て来るのではないか。そしたらすぐにでも管理人に言って除霊をしてもらい、あわよくば家賃も安くしてもらおう。


そんな邪なことを考えていた。


早速部屋の探索をしてみる。

まずはなんか最初から飾ってあった額縁の裏。よく旅館とかにはこう言うところに何かあると聞く。だがこの部屋の額縁はいたって普通だ。全く問題はない。


次は襖の中。

襖には100均で買ったカラーボックスと布団がある。

ただ自分の部屋は一番上の階で上の階にはちょっとした屋根裏収納みたいなのがあった。最初ここを借りる際に少し覗いたくらいでしっかりとは見ていない。


だんだん怖くなってきた。


いざ、屋根裏への天窓と言うか扉を開けると、


なんと…



全くと行って良いほど何もなかった。

一目でわかるくらいに何もなく、むしろ思っていたより綺麗でこれからこの収納を使おうかなと思うほどだった。


それから部屋中探してみたが本当に何もなかった。


もしかしたらこの部屋じゃないのか?


最悪な想像が頭をよぎる。

この幽霊ってもしかすると別れた彼女の生き霊だったり?それか別れた後自殺して化けて出たとか?


冗談抜きで怖くなって来た。

たかだか勝手な想像だが、血の気が冷めるくらい怖がっていた。



それでも夜は来るわけで、明日も仕事なので寝ないわけにはいかない。


今夜も幽霊は来るだろうけど、今回は違う。

彼女の幽霊かもと思うと怖さよりも怒りの方が勝って行き、今夜は確かめてやろうと、なんなら怒鳴り付けてやろうと思う。


と言う訳でお休み。







体が重くて目を覚ます。

目なんて開かないし、体も動かない。そして吐息が聞こえる。


来やがったな。今日こそは見てろよ。



必死に体を動かそうとする。

すると案外動ける。乗っかられてる部分以外は全然動くので、拍子抜けした。



てか、あれか。押さえつけられてるのか。


金縛りだと思ってたから今まで動かそうともしなかったし、目も開けなかった。


もしかして、目も開くのか?




開いた。すんなりと開いた。



ただ目の前に鼻先が当たるくらいの距離で女の顔があった。女の方から吐息が漏れる。


目が合うとその女はニヤリと笑って起き上がった。


その女はとても端整な顔立ちをしていてショートヘアが似合うあの女だった。



女は起き上がったかと思うと、部屋の出口の方へと歩いていく。

その背中に向かって俺は怒鳴り付けてやった。


「何化けて出てんだ!」「しつこいんだよ!」「成仏しろ!」



すると女はこっちを向き、再度ニヤリと笑って口を開いた。



「わたし…いきてるよ……。」



そのまま部屋を出て行った。

一瞬女の手に何かが握られているのが見えた。何かは見えないが、外のぼんやりした白熱灯に照らされたそれは少し光っていて、金属のようなものだった。



体中の力が抜け、布団に倒れこむ。


気がつくと外はもう明るかった。相変わらず寝汗をぐっしょりとかいている。

昨日の事は途中から、彼女の事を思い出したため見た夢だと思い込む。



とりあえず仕事へ行く。



ん?あれ?どこやったっけ。












鍵が見当たらない。

どちらもタイトルで読むにつれ途中から展開がわかって来た方もいるのではないでしょうか。


今回初めてのホラー小説を書きましたが、雰囲気を出す為夜散歩しながら書いたりしてました。


全然怖かったです。

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