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テンプレ主人公の友人枠  作者: P.river
1章 黎人インモータルブレイク
20/44

友人たちの戦闘

戦闘員全員を宣言通りに血祭に上げた4人はビル地下へと向かう。

そこまでの戦闘はカットさせていただく。

結果は圧勝だったことは言うまでもない。


さて、雅は水瓜が持っていた上下セットジャージに履き替えていた。

雅が何故水瓜が服の予備持ってきているのか聞いたところ、


『え、爆発でなくならないと本気で思ってたみたいだから持ってきたんだけど?』

『……』


と真顔で言われてショックを受ける雅であった。

いや、雅の考えがおかしいのかもしれないが。


ともあれ、雅たちは無事(見た目ヴィジュアル)に地下への通路を歩き始める。

だが、ところどころにある血の跡を見て凛化は顔をしかめた。


「うわぁ、この緑色の血きったな……」

「それは同感だけど……てか僕を先に歩かせんな! 今、裸足はだしなんやけど!?」


雅を先に歩かせながら凛化が言うのでツッコミを入れてしまった。

ちなみに水瓜や捲も雅の通った道をスイスイと進んでいる


雅は不満に思いつつも、変色した肉片とかが飛び散っている一本道を進む。


(大方、黎人たちが先行して倒してくれているんだろうけど……相当数が多いな)


稀に通路の端に固まっている肉の切れ端の山がそれを証明していた。

さらには通り道がないほど血が広がっている場所もあったほどである。


4人が奥に進むと大きな広間に出たが、


「うっわ、どんだけ敵おるねん!?」

「……さすがの私もやってられないわね~」


雅の言葉に水瓜も思わず愚痴を漏らしてしまう。

なぜならバカでかいホールみたいな場所に百体近い緑色のゾンビやアニマルゾンビたちがうようよしていたからだ。

さらには、雅たちが広間に入った瞬間に全員がこっちを振り向く。


「GAA?」

「OROOOOO!」


こちらを確認するや否や一心不乱にゾンビたちが襲い掛かってきた。

バイ〇ハザード顔負けの凄まじい勢いに、捲は顔を引きつらせながら言う。


「雅、なうでかえっていいすか?」

「早っ! 捲、諦めるの早いんちゃうん!?」

「だって! 気持ち悪いぃ」

「お前は乙女か!!」


という雅のツッコミをも無視して、捲が一目散に逃げ出そうと後ずさると後ろの壁にぶつかる。

捲が不思議そうに入り口があった場所をアホ面で見ていると、水瓜が冷静に冷酷に言う。


「捲ちゃん、私たちが広間に入った瞬間に退路防がれてるわよ?」

「……」

「はぁ、やるしかないってわけ?」

「皆さん行きますよ!!」


思わず無言になってしまう捲を尻目に凛化の一声で全員が一気に戦闘態勢に入った。


最初に大きな狼が雅にとびかかる。

雅は神託力オラクルを使いながら自ら懐に飛び込む。


「【オール能力ステータス制御コントロール】≪攻撃特化アサルト≫」


狼の鼻っ面に右の拳を打ち込み、左の拳でアッパーカットを決める。

そして雅は大きくジャンプして空中で一回転すると踵落としをした。


「てぇい!」

「GAN!?」


強力な一撃に狼の頭部がはじけ飛ぶが、


「ッチ、休む暇もないんかい」


仲間の死などお構いなしに他のゾンビたちが攻撃してきた。

雅は舌打ちをしながら他のゾンビたちを回し蹴りで吹き飛ばす。

一瞬倒したかと雅は思ったが全く気にした様子なくゾンビたちは立ち上がった。

雅はあまりの執念に顔を歪める。


「!?」


まるで機械のように黙々と雅たちの元に這い寄ろうとする。

歩くどころか、匍匐前進で無理やり進もうとする奴すら存在していた。

雅は思ったことを、そのまま吐き捨てる。


「ぁあああ、クソ! 胸糞悪い敵だなオイ!!」


雅は悪態を吐きながら近づいてくるゾンビを殴り殺し、蹴り飛ばす。

そして、動けなくなった相手の頭を踏み抜いて完全に息の根を止める。

元から止まっているというのはご法度だ。


「つぅか皆大丈夫なんか?」


雅がチラッとほかのメンバーを見ると多かれ少なかれ全員が無傷でうまく戦えていた。

だが、神託力オラクルを全員がかなり使っているので心配でもある。


(とはいえども、若干ジリ貧なところは否定でけへんな)


もし黎人ならば――と思わず考えてしまうが雅は頭を振って考えを外に出す。

今いない人間のことなど考えても意味がないからだ。


そんなことを考えていると凛化が大声で雅に言う。


「ミー兄! ここは一気に決めるから皆を守って!!」

「ちょ、まさかアレやるの!?」

「そのまさか! 後5秒でするからお願い!」


そう凛化は早口でそうまくし立てると神託力オラクルの準備に入る。

勝手な行動に頭を痛めつつも雅は動き出す。


「あーもぅ、わかった! 捲、先輩!!」

「うぇ!?」

「え、雅ちゃん!?」


戦っている2人の元に走って首元を引っ掴むと広間の端にまで移動する。

そして体全身を使って捲と水瓜に覆いかぶさる。


安全を確認した凛化が大きく深呼吸をすると、先ほどまでコピーしていた【勧善懲悪キルリング英雄ハーツ】を解除して別の神託力オラクルをコピーして使う。

凛化の全身の厨二鎧が外され光が体を包み込む。

光が解けた瞬間に、ポニーテル姿の深紅のチャイナドレス型の服を身に纏った凛化が現れる。


手元に出現した、竜の絵が入った扇を広げて声高らかに叫ぶ。


「【模倣者イミテイター】=【竜炎ブレイジングワイルドダンス】!」


空気の温度が十数度ほど一気に上昇し、凛化の周りに竜を模した炎が体から数十体現れる。

ゾンビたちは火竜などお構いなしに派手な格好をしている凛化に殺到した。

大軍にも拘らず、凛化が冷静に腰から二本の扇を使い舞う。


「燃え散れ……≪焔撃の舞・壱の型≫!!」


凛化の舞に応じて、周囲に現れた火の竜がゾンビたちを飲み込み、為す術もなく炎に焼かれて消し炭となる。

アニマルゾンビたちがその炎の隙を縫って攻撃をしようとするが凛化の炎の扇により殴り飛ばされた。

凛化が舞うたびに、竜が鳴き炎が踊る。


まさに炎の演舞。


この神託力オラクル竜炎ブレイジングワイルドダンス】は元々は黎人の義姉の一人が持つ火炎系神託力である。

能力発動時、自身の周囲に100体の『火竜』を護衛として呼び出すというものだ。

この竜は自動で使用者の敵対行動を取る者に攻撃をしてくれるが、積極的な攻撃は基本的にできない。


しかし、その制限を一時的に突破することが可能なのが≪焔撃の舞≫である。

専用装備である扇を使い、舞を舞うことにより竜を操ることができ敵を殲滅が可能になる。

凛化の場合はあくまでもコピーであるため70体の炎竜と≪焔撃の型≫の第一段階しか使えないのだが。


息を切らしながらも凛化が扇を閉じると同時に体に纏われていた火竜が霧散した。


「はぁはぁ……みんな無事?」

「「なんとか~」」

「いや、僕だけ被害めっちゃ喰らってるんやけど?」


凛化の声に疲れたように反応するのは服が若干焦げている雅である。

一緒にいた二人は全く火の影響を受けなかったらしく、きれいなままだ。

水瓜は咳き込みながら宙の煙を手で払いながら凛化に聞く。


「それより凛化ちゃん、こんなことできるなら最初からしたらよかったのに」

「んー。黎兄を倒したって言う親玉用の切り札でしたから、使いたくなかったですね」

「なんで? もう一回使えばいいんじゃねーか?」


と最後に捲が首を傾げると、凛化は首を横に振る。


「オリジナルの【竜炎ブレイジングワイルドダンス】は一日で出せる火竜の数が100という制限があるんです。制限を超える方法もなくはないですけど、私のコピーではこれが限界です」

「うーむ、簡単にはいかねえもんだな」


捲が難しそうな顔をして唸る。


雅自身も近距離戦で黎人が倒されているのも踏まえて、この【竜炎ブレイジングワイルドダンス】がかなり有効と踏んでいた。

昔に義姉に雅自身が燃やされたこともあったので威力は承知済みだ。


(あの時は死ぬかと思ったわ、マジで)


昔のことを苦々しく思いつつ、凛化の頭を軽く撫でて雅は言う。


「まぁ、主人公様と違ってこれが僕たちの最善の行動やからな……まだ切り札・・・もあるし」

「?」


凛化が不思議そうにするので、雅は腕に切り札用の神託力オラクルの紋様を浮かばせた。

それは【オール能力ステータス制御コントロール】をいつも使用したときと同じ紋様だったが、唯一違うのは紋様の色で禍々しいほどに赤い色をしたということだろう。

何かを警告するような真っ黒な赤だと言えばいいのだろうか。


凛化が雅の紋様を見て顔を顰める。


「何かすっごい嫌な赤色してるんだけど……」

「実際あんま良い技じゃないしな~。使わないが一番や」


雅が軽く肩を落として神託力オラクルを解除する。

水瓜がふと思い出したかのように雅に聞く。


「そういえば黎人ちゃんたちは先に敵のボスさんに殴り込みにいったのよね? 大丈夫なの?」

「たぶん大丈夫。とはいえ……早く追いつかんとレヴィルやソナーたちが無事じゃなくなるやろうし」


正直、雅は黎人に対しては心配はしていなかった。


フェルシアが攫われた時は黎人たちは残念ながら為す術もなくやられている。

しかし、本来の黎人の強みはピンチの時に発揮される底力であり多少の不利であろうとも、打ち破ることが可能だ。

雅自身は「最初から本気出せよ!!」とツッコみたいのは山々だが。

ただ、


(さすがに呪いを受け続けているのなら話は変わってくるけどな)


前回も言ったかもしれないが、あくまでも黎人は状態異常の耐性が異常に低い。

勝てる可能性は90%以上だが、下手をすれば負ける可能性もある。

だからこそ雅はもう一度気を引き締めるために、自身の顔を軽くたたくと3人の方を向き腕を上げる。


「フェルシア救出に改めて行くぞぉおお!」

「「「おー!!」」」


皆は腕を一斉に上げ、鬨の声を上げて地下へと続く通路へと走り出す。

彼らにはもう不安はないはずだった……


それから1分後、


「待って、ゾンビおおぃいいいい!?」

「ちょ、ミー兄押さないで!! しかもお尻さわんなぁああああ!!」

「雅うらやましいぜぇえええ! てか後ろのゾンビの大群どうすんの!?」


凛化が武器を構えたまま二番目にいて、その後ろに雅が慌てて凛化を押していた。

さらに後ろでは悔しそうな捲がさらに二人を急かす。


……なぜこんな状況になったかと言えば、通路が思ったより狭いせいでほとんど全員が密着したような感じで動かなければいかなくなった。

さらには入った瞬間からゾンビが壁からうにょうにょ出てき始めたためだ。

言うならば、貞〇VS〇子みたいなノリである。


一番前で走っていた水瓜が一旦止まって、死んだ目で3人に言う。


「みんな、前からも来てるけどどうするの?」

「「「うわあああああ(´・ω・`)」」」


さらに前方通路の天井から人みたいな豚が降ってくるわのなんのその。

3人の悲鳴と一人の冷静なツッコミの声が鳴り響く中、友人たちは敵ボスまで走った。


結局は友人とはこんなものである。

新年あけましておめでとうございます!

いつも通りのgdgd展開ですが、今年もよろしくお願いします!

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