表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
テンプレ主人公の友人枠  作者: P.river
1章 黎人インモータルブレイク
19/44

始まりの狼煙を上げろ

「ということで今回の作戦内容は以上やけど、何か質問ある?」


雅は軽く黒板を叩いて、周りにいる皆に声を掛けた。

その中で一人紺色の髪色の少女が手を上げる。


「ミー兄よ、これ敵さんの強さに全てかかってる気がするんですけど?」

「言うな。やってて悲しくなるから」


凛化の発言に真夜中の教室でガックリとうなだれる雅である。

そんな彼の頭を撫でて慰めるのは一人のデカメロン少女である水瓜だ。


「彼を攻めちゃだめよ~。どっちみちいい作戦なんて劣勢である私達にあるわけないじゃない」

「確かにそうですけど……ちょっとミー兄とベタベタしすぎです。困ってるじゃないですか」

「はいはい(笑)」

「それよりも早くこの話終わらないの?」

「同意します」


少しだけ頬を膨らませて水瓜に抗議すると、笑いながら雅から離れた。

レヴィルとソナーはそわそわと落ち着きなく二人を諫める。


雰囲気がピリッとし始めたので雅は一度咳払いをして場を静めて

静まったのを見計らって、捲が質問をする。


「で、勝算どれくらいなんだ?」

「絶対に100だ」

「お、最強の英雄さんがそう言ってくれるのは嬉しいね」


捲の発言に対して黎人がノータイムでそう答えると雅もニヤリと笑う。


「ほんまにやな。つーかお前が成功の鍵を全て握っているんやからな、ミスんなよ?」

「分かってるさ。フェルシアの救出を絶対にするんだ!」


教室中に響く黎人の真剣な声にその場にいる全員の顔が引き締まる。

雅が呆れたような楽しそうな顔で周りの皆に伝える。


「じゃあ行くぞ皆!!」

「「「おう!!」」」


7人全員が各々の荷物を持って教室から出る。


◇◇◇

アジト前に着いた七人は軽く準備運動をして、建物の中の様子をうかがおうとしていた。

しかし、窓は完全に外側の光を反射して見えないように加工されていた。

雅も視力を強化して覗いてみたが全く無意味であった。

思わず凛化はため息交じりに言う。


「中が全く見えないんですけど……」

「あーっと、これはプライバシーフィルムって奴やな」


雅がむくれる凛化に説明を入れる。


※プライバシーフィルムというのは美容室とかの窓に貼られてある、外側から内側が見えないようにするシールである。遮光フィルムは鏡のように反射するフィルムだ。


雅の発言を聞いてレヴィルはピクリと耳を立てた。


「プライバシーフィルム……なにかエッチな匂いがします。そういえば、前に車で……」

「いや、今はそういうところ気にしなくていいから。むしろ目の前のことに注意して」

「分かりました」


ソナーからのツッコミでレヴィルは一旦落ち着く。

他のメンバーは無言ではあるものの神経を尖らせて準備をしていた。


「んじゃ、作戦通り二手に分かれんぞ」


雅がそう言うと7人を4人と3人に分かれる。

雅チームが雅・水瓜・捲・凛化という編成で、攻・攻・補・補というバランスのとれた感じで組んだ。

黎人の方が黎人・レヴィル・ソナーで、万能・攻・攻というアタッカー編成で戦うのだ。


最初にこの編成を見た時に雅が驚いたのは、一番不満を言った凛化である。


『ミー兄、この編成だと黎兄に負担偏りすぎじゃない?』

『とはいっても、黎人がいれば回復・攻撃・防御はほぼ完全やしな。それにレヴィルやソナーにも失礼だろ?』

『分かってるけどさぁ。むぅー』

『……ごめんやん』


雅が不満タラタラな凛化を宥めるのに少し苦労したのはまた別の話だ。


(正直な話を言うと勝てるかどうかは微妙なとこが本心やな)


雅はフェルシアを救うかどうかと聞かれたら正直NOだった。

黎人のにいつもついて行って、リスクばかり高い救出を何度もしてきたからこそ分かる第六感があった。

とは言っても、ここまでやってしまったからには全てを出し切るしか選択肢はない。


「じゃ、突入しますぞ。準備はいいかやろーども?」

「「「分かった」」」


後ろの3人の声を聞きながら、雅は背中にある巨大なバックパックを背負うと作戦を開始する。

神託力オラクルを全開にして走り出す。


「【オール能力ステータス制御コントロール】≪防御特化ガーディアン≫!!」


雅は持てる限りの力を使って走り出す。

監視カメラのセンサーに引っかかろうとも回っていた警備員らしき怒声も全てを無視して突き進む。

連続して聞こえる乾いた銃声すらも遠くに感じながらビルの中へとダイブする。

飛び込んだ瞬間に巡回していた警備員のど真ん中に突っ込む。


「まいど~!」

「ん、え? し、侵入者だぁあああ!?」


一人が慌ててアサルトライフルを構えて雅を打とうとする。

しかしそれよりも早く、雅はバックパックのをピンと抜いて、戦闘員らしき人たちに警告する。

と同時に一つだけ古典的な形の15cmほどの黒い球状の導火線付きの爆弾が転がり落ちる。


「あ~、皆様。ただいま爆発注意報が発令中だよっとぉお!!」

「! お前ら伏せろ!!爆風は俺が防ぐ!!!」


隊長らしき人間が戦闘員を守るために結界のような神託力オラクルを展開する。

だが雅にとって全く関係がなかった、本当の狙いは戦闘員ではないからだ。

バックパックから大量の爆弾がボトボトと続けて落とす。

地面に落ちるか落ちないかのタイミングで爆弾が同時に起爆する。


ビルの内部から大爆発を起きて、一階部分と二階部分が完全に爆発で消滅する。

残りの三階より上は横倒しになって反対側の地面と接触し重い音をたてて土煙を上げた。

轟音と膨大な熱風が周囲を覆う。


一階部分だった場所には結界をはった構成員と上階から落ちてきた機材などで埋め尽くされた。

その最中に隊長格が爆心地の真ん中に立っている人物を見てポツリと声を漏らす。


「アイツ、あの爆風で生きているなんてイカレて……やがる」


彼の目線の先にいるのは男の娘だ。

その男の娘は骨をコキコキとならしながら、あたりをみて爆笑してしまった。


「きんもちぃいいいい! まるで人がゴミのようだ!!」


雅は某映画の有名な台詞を吐きながら、ズボンから皆を呼ぶためにスマホを出そうとする。

さすがに一人でこの数を相手にするのは骨が折れるからだ。

しかし……そもそもポケットに手が当たらず自身の素肌に当たった。


(嫌な予感が……)


雅が視線を自分の下の方に下げると、そこには白磁のように滑らかな素肌と可愛い象さんが存在していただけだ。

まぁ、要するにすっぽんぽんということを端的に表現したのだ。


「ウキャアアァアアア! なんで裸なんよぉおおお!!?」 


むしろ爆発で亡くならないほうがおかしいと戦闘員全員が思っただろう。

雅は慌てて股間部分を手で隠すと、目の前にいた戦闘員が呆れた顔をしていた。

仕方ないじゃない。羞恥心は人並みにあるのだもの。


隊長格が爆発で唖然としていたがすぐに目を真剣にすると、アサルトライフルを構えて雅に向けて連射し始める。

戦闘員の仲間も続いて攻撃を始める、主に雅の股間部分狙って。

雅はあまりの無慈悲な攻撃に半泣きになりながら、


「ちょっとおおおおお!? そこ狙うのナシでしょ!!」


と言って銃弾を飛び交う中を必死に逃げる。

中には火や雷の神託力オラクルを混ぜ込んで撃ってきているのか、ボッやバチバチという効果音とともに雅に直撃する。

逃げてるなら当たらないんじゃないかって?

どこのぞのヒーローじゃないし、雅は脇役ということを忘れてはならない。


とか考えている間にも雅は周りを包囲されてしまった。

さすがの雅もあまりの数に冷や汗をかき始める。


(さすがにヤバイヤバイヤバイ!!)


雅が焦りに焦っていると、大量の水によって包囲の一部が押し流されて崩れた。

包囲の後ろ側にいた水瓜が助けてくれたのだ。


「先輩ありがと! ついでにこっから引っ張り出して!!」


その声に反応して辺りに散らばっていた水がニュルニュルと集まり雅を掴む。

そのまま引っ張ると雅は信じていた。

しかし、現実は非情。


そのまま後方に投げ飛ばされた。

一瞬の浮遊感。

そして視界がグルグルと回って、数瞬の後しっかりと凛化に抱き留められた。


「よいしょ!」

「おお、キャッチありがと。だがすまん、優しく降ろしてくれないとお兄さん酔って吐いちゃう」

「ちょ、ミー兄。無理しすぎ……きゃ!?」

「おい!?」


凛化はキャッチしていた手を離す。

雅は突然離されたために後頭部を強く強打し悶絶する。

あまりの荒い対応に頬を膨らませながら雅が文句を言おう凛化の方を見る。

彼女の顔は酸漿ほおずきもかくやというほど真っ赤にしながら雅に怒る。


「ミー兄ぃいいい!! 早くそれ隠して!!!」

「うん? え……わきゃあああああ!!」


本日二度目の象さんお披露目。

無駄なサービスシーンに皆さんはもうお腹いっぱいだろう。

凛化が持っていた上着を雅に投げてよこすと慌ててそれを着る。


「ちょっと触っちゃったじゃない……」

「え、何か言った?」

「何もない!! 気にすんな、死ね!!」


雅が上着を羽織ることに夢中になっていると凛化がそう言った。

雅がショックを受けながらガックリとしていると戦闘員と戦っていたらしき、捲と水瓜が帰ってきた。


「いやぁ、まさか裸になるなんて予想外ね雅ちゃん。」

「全くだな、つーか水瓜先輩は鼻血ブーでやばかったじゃないですか……」

「そこを言うんじゃないわよ」

「……人の裸見るなんて最低やで」


雅がよく見ると水瓜はティッシュを鼻に詰めていた。

雅が白い目で水瓜を見ると、彼女は乾いた笑いをしながらスマホを取り出す。


そこには14文字の文面。

宛先はここにいる誰が見るまでもなく黎人。

それを見て雅は笑みを隠さずに立ち上がる、ちゃんと手で隠しているから安心してください。


「さて、行くで」

「おうよ! っとその前に……」

「ええ、追われるとメンドクサイし」

「ミー兄、戦闘員蹴散らすよ?」


遠くからこっちの様子を伺っている数十人に向けて四人は黒い笑みでダッシュをして最速で近づく。

直後、戦闘員たちの怒声と雅たちの吶喊が交差しあたりが騒然とする。

まだまだ夜は始まったばかりだ。

ここまでよんでいただきありがとうございます。

完全な戦闘パートにやっと入れますね……わっしょい

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ