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テンプレ主人公の友人枠  作者: P.river
1章 黎人インモータルブレイク
14/44

事件の始まり

次の日いつも通り雅は登校をした。

結局昨日寮に着いたのは20:30だったため、夕ご飯を食べれずに朝を迎えたのだ。


「う~、腹減った」


そういいながらカロリーメイ●を口にほおばる。

現在教室はわいわいと騒いでいて、いつも通りの毎日である。

モモモモという効果音とともに携帯食料を食べる雅に、教室に来たばかりの捲が話しかけてきた。


「おっす雅」

「ん、おはよ捲。 そいえば怪我大丈夫だったか?」


皆さんはお忘れかもしれないが、捲はつい一昨日怪我をしていたのだ。

主にフェルシアに対する禁句を発したためによる自業自得だが。

捲は笑いながら雅の質問に答える。


「いんやぁ、思ったより深くて焦ったんだよな~コレが。治癒系能力の治療アリで全治二日ってどうよ……」

「その割には昨日普通に学校きてたと思うんやけど」

「ま、一日目である程度治してもらったし、昨日の通院で全部終わったんだよ」

「無駄に元気やなぁ」


雅は呆れながらも捲のタフさに笑うしかない。

捲は不敵に笑って雅の肩に手を回して、耳元で囁く。


「それより明日ナンパしようぜ……」

「嫌だ、それに予定あるしな」


雅はお人好しなので、フェルシアの友人作りに協力する準備を昨日してきたのだ。

黎人の事を言えないほどの馬鹿だとも言えるかもだが。


「うぅ~、暇なときでいいから頼む~」

「はいはい、気が向いたらいくわ」


軽く手をヒラヒラさせて捲を元の席に座らせる。

とか言ってる間にも担任の教師が教室に入ってきた。

しかし、


(あれ、黎人とフェルシアがおれへん?)


雅は周りを見回しても二人の姿が見つからずに首を傾げる。

とはいっても、わざわざ授業をサボってまで探しに行こうとは雅は思わなかった。

それでもまた日常は始まる。


◇◇


そして昼休みに突入したとき、教室のドアが勢いよく開かれる。

何事かと周囲の生徒たちが注目すると、そこには顔が瓜二つの双子が立っていたからだ。

一瞬だけ雅はそっちの方を見るが、すぐに昼食のほうに向き合う。


雅の優先順位は、友達→飯→学業→知り合いである。


その様子にイラッとしたのかフェルシア御付きの双子の片割れであるソナーが乱暴に雅の肩を揺する。

覚えていない方は覚えてないだろうが、この子は【機械化マシンナリー】を使える神託力オラクル持ちの少女。

外見は銀色の髪を持つ鳩胸的な子だ、そこそこ可愛い。

黒服と戦ったときにボコられていた子の片割れだ。


「篠倉! ここにいたのか!!」

「めんどくさいので早く来てください」

「む、飯中だから後にして」


お弁当を食べることに集中していたのに思いっきり手を引っ張られてムッとなる雅だが、双子の真面目な表情に駄々をこねるのをやめる。

周りの視線をベッタリと受けながら廊下に出ると、ヒソヒソ声で雅に話しかけた。


「……今日、フェルシア様の話聞いた?」

「フェルシア? あいつがどうしたんだ?」


雅はそう聞きつつも嫌な予感をひしひしと感じていた。

そして、その予感は見事に的中する。


「実はさ、昨日フェルシア様が攫われてしまったのよ」

「……」


(やっぱりそれか……)


雅はもう約5回目の≪謎の組織にさらわれる嫁候補ヒロイン≫というのが起こったのだと理解した。

今までも何度も同じことを繰り返してきたので、そろそろ作業的な感じになってきたのは言うべきではないだろう。

雅はそこで一つ気になることを思い出した。


「なんで僕に頼んだの? 黎人の奴の方がよっぽど適任やん」

「ええ、そこの点についてもお話しします」


【獣化】ができる方の片割れである少女=レヴィルが続けて話す。

こっちは銀色の髪を持つ、水瓜先輩より一回りぐらい小さい胸を持つ=かなりデカい。

敬語口調が特徴、後は双子なので顔がソナーとだいぶ似ている。

まぁ、体つきは絶壁か谷かの違いだろうか。


それはおいといて、


「昨日、フェルシア様と天賦黎人が仲良く帰っていたのを、私たちが気付いて後ろから見つからないようについて行きました。」

「それをストーキングというんだけど知らんの?」


雅は盛大に自分の事を棚のはるか上にぶっ飛ばして、ツッコんでしまう。

昨日したことはあくまで凛化のお願いだったからだと脳内変換したのもある。


レヴィルは首を横に振って雅の問いに反抗する。


「いえ、ストーキングではありません。人間観察です」

「意味ほとんど変わってないやん……なんでや!」

「そもそも人間観察とストーキングについての違いを説明してあげましょう」

「……ねぇ、二人とも真面目にしてくれないと話が進まないんだけど」

「「すいません」」


雅とレヴィルの会話を遮ってソナーが話を仕切りなおす。

ここには主人公様はおらず、友人クラスの脇役ばかり集まるとこうやってグダグダになってしまうのだ。

幸いにもソナーが真面目なので今回は丸く収まったが。


「もー、レヴィルはちょっと黙ってて!」

「はい」


ソナーはレヴィルを注意すると雅の方を向く。


「で話を戻すけど、帰り道の真ん中らへんで急に気色の悪い緑色した獣が出てきたのよ」

「ん、じゃあそいつがフェルシアをさらったんか?」

「ううん、化け物たちは私たちも加勢して全員倒したんだけど、その後に出てきた奴が恐ろしいほどに強くてね……」


ソナーはその時を思い出したかのように体を震えを手で無理やり抑え込みながら、声を絞り出す。


「その時に天賦黎人が倒された上に、フェルシア様まで完封されてしまうわでショックだった。」

「黎人が負けたんか!?」


雅もさすがに驚きを隠せずに言葉を漏らしてしまった。

嫁候補ヒロインが負けても主人公れいとは簡単に負けるとは思っていなかったためだ。

ソナーは頷いて苦々しい顔でこういう。


「相手が毒の能力を多用してきたせいもあったんだろうけどね」

「ううむ」


雅の声はすぐに平静に戻したものの内心はだいぶ焦っていた。


(黎人の数少ない弱点完全に突かれてるっていうのがヤバいな……)


黎人の神託力オラクルである【勧善懲悪英雄キルリングハーツ】は攻撃力、防御力ともに世界トップクラスの性能を誇る能力だ。

その上で属性防御力、所謂火、水、風、闇、光などの属性攻撃に対する防御力は特にピカイチである。

固有の技能スキルの≪完全結晶障壁フルクリスタルフィールド≫しかり、≪全属性防御盾フルエレメンタルシールド≫しかりだ。

フェルシアの大爆撃や水瓜の水攻撃を完全無効にすることから分かる通りだ。


だが、黎人の弱点は……毒、麻痺、眠りなどの状態異常攻撃である。

それらの耐性はほとんど皆無だといっても過言ではないほど雑魚だからだ。

中学時代も毒系統の敵とはだいぶ苦戦を強いられている。


「黎人の奴は無事なのか?」

「今んとこ、フェルシアのお母様の治療を受けているんだけど回復の調子が悪いのよね」

「ん? フェルシアのママは治癒系統使えるのか?」


雅の疑問にソナーはフッと鼻で笑いつつ答える。


「ふ、そもそも治癒系統じゃ日本で五本の指に入るほどの最強だよ!!」

「じゃあなんで治療できてないねん」

「う! それは原因が分かんないからです」


指摘を受けてシュンとなるソナーに対して、雅は少しだけ不謹慎だが笑ってしまった。

いや、もしかしたら笑わないと少しキツイ状況だからかもしれないが。


(黎人が参戦でけへんだら、久しぶりに大ピンチかもしれへんな)


雅が笑ったのが気に障ったのかプンプン怒った。


「何がおかしいの!」

「いんや、何もない。つーか、早く黎人のとこ連れて行ってくれへん?」

「何か原因分かるのですか?」

「知らん」

「「え」」


雅が自信満々にそう答えるのに思わずソナーとレヴィルはズッコケてしまう。

だが、雅は顔を急に真顔に戻すと、


「でも、心当たりはないことはないから……行くだけ行ってみるわ」

「……分かったわ」

「では、篠倉さん参りましょう」

「ふぇ?」


双子に両手を引かれつつ、そのまま廊下の窓際まで来ると雅はお姫様だっこをされた。

そして、ソナーは【機械化マシンナリー】をレヴィルは【獣化ビースディア】を使用すると窓枠に手を掛ける。

その様子に雅は汗水を垂らしながら二人に聞く。


「えっと、もしかしてなうで行っちゃう感じ?」

「はい、なうなうです」

「もちろんよ。行くわよ!!」


そのまま三階の窓から空中に三人は飛び出す。

ちなみに窓ガラスは割らないのが名脇役のすゝめだ。

知らないけど。


その時雅が思ったことは、


(後半の授業サボったら内申点下がるやろボケーー!!!)


とかいう厳しい現実を突きつけられている生徒の感想出会った子とは言うまでもない。

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