グリドル王国の前までついたのですが…
9/5に少し変更しました。
三十分ほど飛び、ついに町へついた。
「思ったより大きいな。これ、町ってより、都市だな。」
目の前にあるのは5〜6m程の巨大な門があり、グリドル王国という文字と、紋章が書いてあった。
そして、その前には馬車などがズラーっと並んでいた。
「こりゃ、時間かかりそうだな…」
そう呟きながら、列の一番後ろに並ぶ。
予想していたが、20分に1人ペースで進んでいる。このままでは、2日ほとかかるだろう。暇つぶしするアイテムが無ければ、こんな大勢の場で魔法を練習するわけにもいかない。さらに、今俺の体は子供の体になっている。舐められないようにするのは一苦労だ。
そんなことを考えながら、前にそびえ立つ門をただ見ていた。
それから数時間がたった。進んだのはたった30m程。あと、数百メートル残っている。しかし、先ほどとは違い、退屈はなくなった。
俺の後ろに並んでいる間にグライドって言う商人と仲良くなったのだ。大人たちに物怖じせず、1人で並んでいた子供に興味を持ったのだとか。
本人曰く、「オーラが多々ものじゃなかった」らしい。
すると、グライドが話しかけてきた。
「そーいや、ミナトはどこから来たんだ?」
日本から来ましたなんて言えるわけがない。
何故なら、この世界が元いた世界でないことは、森ではっきりしている。
なので、迂闊に異世界人です!なんて言ったら何されるかわからない。
いくら湊人でも、国相手に戦えるほど力を持っていない。
更に体が幼くなっている以上、どこまで力が出せるかもわからない。
なので、よく使われるものを使うことにした。
「俺さ、気づいたら森で倒れてたんだ。その前のことは何も覚えてなくて。」
「まじか!?記憶喪失か。だけども、魔物に合わなくてよかったな!」
「魔物?あの角が生えた狼みたいなやつならあったぞ?」
「うん。ほんとーによかった……な?え?」
「だから、あったっつーの。よくわからないけど、魔力が溢れてたからあれが魔物だろ?」
固まっているグライド。数十秒後、再び動き出した。
「お前、まさか倒したんじゃないだろうな?」
凄い剣幕で来たので、少し引いてしまった。
しかし、倒してないと答えると、安心したように溜息をついた。
「おまえな?そいつらは角狼っていうと種族で、あの森の王なんだよ。もし倒してたら、森の魔物達が王を決めるために、暴れだしていただろうな。」
おお。倒さなくてよかった。
「ま、俺は倒してないんだし、それでいいだろ。」
「いやいや、お前角狼相手にどうやって逃げたんだよ!彼奴らは種族全員で行動するんだぞ?」
「いや?逃げてないぞ?」
言っている意味がわからないのか、固まるグライド。
「そもそも、彼奴らが逃げていったんだよ。俺と戦うと全滅するからだってさ」
「お、おいおい。それって本当か?」
「本当の本当。なんなら後で行くか?」
「いや、その様子だと本当のようだから遠慮する。」
そして黙り込む。
「おい?グライド?大丈夫か?」
「お前、冒険者って覚えてるか?」
「いや?覚えてない。」
「そうか、それじゃあ簡単に説明する」
それからグライドは、冒険者について教えてくれた。
冒険者は国から独立した組織で、税金がかからないそうだ。
しかし、国の危機には力を貸さなくてはならない。
それが決まりらしい。
そして、冒険者の強さを図るために、クラスというものがある。
F~Aクラスまであり、その上にはSがあるらしい。
一般に言うと、F~Eが下級冒険者。
D~Cが中級冒険者。
B~Aが上級冒険者。
Sはその名の通りS級冒険者と言うらしい。
現在、冒険者は2万人ほどしか居らず、上級冒険者は500人しか居ないらしい。
そして、S級冒険者は現在存在していないらしい。
「へぇ。上級冒険者って、そんだけしかいねぇーんだ。」
「ああ。俺も元々上級冒険者だったんだが、ちと商売にはまってな。」
それで商人をやっているんだ、と、笑いながら言った。
「いや、これで納得だわ。」
何が?と問うグライド。
「俺の実力を見てわかる実力者だってことだよ。」
「ああ、そんなことか。だが、お前の実力は俺の想像を遥かに上回ってたけどな。」
角狼はAクラスのパーティでようやく1匹倒せるらしい。
もし、群れに遭遇した場合、命はない。それがこの世界での常識らしい。
「それをお前は相手が怯えて逃げたという。それはつまり、角狼より遥かに強者ということだ。」
はぁ、とため息をついた。
「お前は将来大物になりそうだな」
「そりゃどうも」
それから1日立ち、後数人というところまで来た。
「後少しだな。すごい長かったよ」
「そうか?今日は早いほうだぞ?」
長いと5日程かかるそうだ。
流石にそれは待てそうにない。
これからはちゃんと食料とか持ってきた方が良さそうだなーなんて考えていると、何やら前のほうが騒がしくなった。
「おいおいトラブル?」
「それもよくある。気にしなきゃいいのさ」
「グライド。騎士が切られてるがそれも常識か?」
「なにっ!?」
前のほうで、一人の男が騎士を切り殺していた。
すぐさま増援をよび、男を囲うように剣を構える騎士達。
しかし、数人を切り倒したあたりで、男から魔力の反応があった。
「邪悪なる炎よ、敵を焼き尽くせ!《シャドウフレイム》!」
男が叫ぶと、周りを囲む騎士達を、黒い炎が包んだ。
苦しむ騎士達だが、数秒で地面へ崩れ落ちた。
これはまずいと剣を抜くグライド。
「なあミナト。お前も一緒に戦うぞ。」
「ああ、まだ応援の騎士がきてねぇーし、あいつ俺たちのほう見てブツブツ呟いてるからな。並んでる人を狙うつもりだろう。」
「やっぱり、お前はただの子供じゃなさそうだ!いくぞ!」
男との距離は10mほど。
身体強化の魔法を施したグライドは、元上級冒険者の名に恥じない見事な速さで男との間を詰めた。
その間僅か1秒。
そして、ブレて見えるほどの速さで、男の首を跳ねるように剣を振るう。
この剣技に男も反応遅れた。だが、男は焦った様子もなく、倒れるように避ける。中々の実力者のようだ。
チッと舌打ちするグライド。
それに対して男は新しい玩具を見つけた様な目をしている。
そして、グライドは初手の攻撃より、さらに速い攻撃を仕掛けた。
目で追えないほどの速さの剣撃を、いとも容易くいなす男。
いくら強者でも、この剣撃を傷一つなくいなすのは不可能だろう。
間違えない。奴は圧倒的強者だ。
「けどな、個人線に特化しただけで、団体戦には向いてないな!《インフェルノ》!」
俺の世界で上級の魔法を発動した。
男を日の輪が囲い、その瞬間、鉄をも溶かす熱が発生した。
勿論、男以外には熱が伝わらないようにしてあるので安心だ。
そして、男は至る所が蒸発し、肉塊へとなった。
手加減したため、手のひらサイズも残ったが、普通に発動するなら、一瞬で蒸発するほどの熱量を持った魔法だ。
何故手加減したかというと、男に聞きたいことがあったのだ。
なので、男の肉塊へとちかづき回復魔法をかけた。
「《リライフ》」
リライフは特級の回復魔法。
命を代償なしで復活させることができる。
肉体と魂を同時に操るという神業のため、湊人にしか使えなかった魔法だ。
「ま、この世界じゃわからないけどね」
それはさておき、完全に復活した男を、捕縛魔法で手足や魔力を封じる。
「お前は何者だ?」
「……………………」
グライドの問いににやけて何も答えない。
しかし、湊人にはわかっていた。
彼の恐怖を。
なので、その恐怖を利用することにした。
「お前、何であんなことをした?」
殺気を男に向けながら話す。
男はひどく怯えた。
そして答える。
「俺は、世界を、かっ、変えるんだ!」
その瞬間、背後から魔法の反応があったため、左に飛んで回避した。
しかし、狙いは男だったようで、心臓を貫かれて死んだ。
反応があった森に向け、水魔法の《水弾》を連射したが、手応えはなかった。
恐らくすでに撤収しているだろう。
結果、何も掴めず逃してしまった。
「おいおい。お前、《インフェルノ》を無詠唱で使わなかったか?それに、蘇生魔法も…」
「使ったよ?蘇生はともかく、《インフェルノ》ぐらいできるだろ?」
現に俺の家族全員が《インフェルノ》ぐらい朝飯前だった。
だから、それが普通なんだと思ってたのだが。
「んなわけあるか!そもそも、上級魔法を使える者が少ない上に、無詠唱だと?んなもん出来たら英雄になれるぞ!」
「んじゃあ俺英雄だな笑」
「笑じゃねぇーよ!お前自分の外見を理解して言ってんのか?」
確かに。
俺は子供の姿に戻っているのだ。
先程、俺が使った魔法はこの世界で英雄になれる程らしい。
つまりは、利用しようと企む馬鹿共が現れるかもしれないということだ。
「目撃者がこんなにいるんだ。言い逃れできないぞ?どうすんだ?」
グライドの問いに少し考え答えた。
「みんなの記憶を書き換えようか」
は?と間抜けな顔になってるグライドを尻目に、《ヴァニッシュメモリ》を発動した。
この魔法は、対象の記憶を消す、または、書き換えることができる。
今回の範囲は俺の魔法を見た知能があるグライド以外の生物。
そして、騎士と男が相打ちしたという記憶に書き換える。
少し範囲が広すぎるかな?と、思ったのだが、意外にすんなり出来た。
というか、魔力をほとんど消費しなかった。
どういうことだ?
そう考えてるうちに、援軍が到着したようだ。
魔力のことは後で調べよう。
取り敢えず後処理をすることにした。
街に入れなかった…
おかしいな。入る予定だったのに…
あ、因みに、湊人くんは使えない魔法はほとんどありません。多分!




