誰の手のひら?
どーも『螺旋 螺子』です☆
本日、<カタストロフィ>を名乗る人物が数人現れた理由が明かされます。
お楽しみに♪
最初は近場でモンスター狩りをしつつ様子を見ていたが、リストアップされていたギルドと【軍】が戦闘しているのを見て、強制的に介入した。そのまま裏切り交渉を重ねて無事に引き込む事に成功した。
聞けば、急に≪リモール≫の【神社】が攻めてきたのだという。
既に前線は崩壊し、撤退を行っているらしい。
情報から現在の戦闘の前線を割り出し、そこへ急行すると<カタストロフィ>と対峙している【狂乱兎】を発見した。
「我々は【終焉曲】! ≪紅炎の鴉≫は≪リモール≫と戦争する意志は無いわ。ただ、≪紅炎の鴉≫はこの戦争を『敗北戦争』と断定したわ!」
その宣言により【軍】側からどよめきの声が上がった。
「『敗北戦争』……つまり、裏切り交渉?」
「九十九さん……≪紅炎の鴉≫へ、来ない?」
ぶっちゃけ、≪紅炎の鴉≫に所属していない私が言うのもアレだが。
「このまま≪ザンダラ≫に残っていても敗北は必須。今回は、後ろ盾も無いんでしょ?」
闇小夜の言葉に九十九は眉を潜める。そして、後方を見て【狂乱兎】のメンバーを見返すと
「いい」
「本当!? ありがとう!!」
闇小夜が大喜びで裏切り関連のシステムを操作した。
その間に、<カタストロフィ>は【軍】の方へと走り去る。
どうして、≪紅炎の鴉≫にいる<カタストロフィ>が≪リモール≫へ?
『ギルド<狂乱兎>は<ザン ダラ>を抜け、<ザンダスアディボン>専属ギルドとなりました』
運営アナウンスが入る。
「これで、【狂乱兎】は≪紅炎の鴉≫のギルドとなったわ。今後は【狂乱兎】を敵に回すということは、≪紅炎の鴉≫を相手取る事であると理解しなさい!」
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≪紅炎の鴉≫の戦力強化。
この戦争は、それだけの為に引き起こされたのか。
そうか、だから私は≪リモール≫側にいなければならなかったんだ!!
「≪リモール≫と≪ザンダラ≫が戦争する事を事前に察知した<カタストロフィ>は、≪ザンダラ≫を完膚無きまでに潰すために私を≪リモール≫へと差し向けた。そうすれば、『名前だけ』ですら威力を持つ<カタストロフィ>がいた≪リモール≫に敗因はほぼ無い」
だが、≪リモール≫領主・ペテロはこう言ってなかったか?
『お告げの通りである』と。
お告げは、誰かが伝えなければお告げとはならない。ならば、誰か?
このシナリオを組んだ<カタストロフィ>に他ならないのではないか?
もしかして、<カタストロフィ>はPKギルドに肩入れをしているのか?
今回の敗北戦争で一番得をするのは≪紅炎の鴉≫。しかし、国盗りを狙っているPKギルドがどこか国を落とせばPKギルドが一番得をする事になる。
そして、この戦争を仕向けたしたのは紛れもなく<カタストロフィ>。
PKギルドが狙うのはどの国か?
「一見、≪ザンダラ≫の劣勢を見てそちらだと判断してしまいそうになる。だが、<カタストロフィ>ならばその上を行くはず! その思考回路を上回らなくちゃ……」
時間は余りない。だが、≪ザンダラ≫と決めつけるのはいささか早計過ぎる。≪ザンダラ≫程度に収まるはずがないのだ。
「そうか、≪リモール≫か! ≪リモール≫を落とせば、≪ザンダラ≫を相手にする事無く二国家を手にすることが出来る!!」
≪リモール≫が行った≪ザンダラ≫への襲撃。それは、<カタストロフィ>が指示したもの。
<カタストロフィ>の命令を逆らえば、国家が危うい。それは、過去の戦争で≪ジャリガス≫にて証明されている。
「クソッ!」
こちらを警戒する【終焉曲】と【狂乱兎】を無視して、踵を返すと≪リモール≫へと急いだ。
≪リモール≫に近接する『絶壁の崖・クリフ』を全速力で駆け抜ける。
それと併走するように私にまとわりつく部隊があった。服装からして白を基調とした修道服に金色の刺繍が入っている。
どこかのギルドから独立した部隊……恐らく、伝令専用の部隊かもしれない。
「<カタストロフィ>とお見受けする。戦場は此方ではない」
「分かってる。実は≪リモール≫がPKギルドに襲われる可能性がある。【神社】に≪ザンダラ≫攻略後、その地を死守。手の空いているギルドはこのイベントを即刻終わらせる為に【教会】にこの報を伝えて、防備を固めるように言って!」
その言葉を聞いた女は、驚きの表情をした。
「分かりました。では、即刻」
そう言った直後、私に向かって太剣を振り回した。
慌てて地面を転がり、回避する。だが、走る勢いのまま急に転がったため背中に激痛が走った。
「なんのつもりです!?」
慌てて立ち上がり、怒鳴る私の周りを金色の刺繍を着た者達が取り囲まれた。
「いやはや。まさか、こうも上手く話が回るとは驚きです。さすが、<カタストロフィ>と呼ばれるだけある」
意味の分からない言葉に私が首を傾げると、ローブの動きから疑問に思った事が伝わったのだろう。
話していた女が皮肉げな笑みを浮かべてこう言った。
「いえ、<カタストロフィ>といっても貴方の事じゃありませんからね?」
「なーーッ!!」
これで確定した。
<カタストロフィ>はPKギルドに荷担している!!
「私達は【寺院】独立隠密部隊。組織名を勾結。PKギルドに情報を流す、スパイです」
「へぇ。私に情報を流すとは、良い度胸ね。全てバラしてあげます!」
双剣で飛びかかるが、太剣で止められる。
「ご心配なく。既に貴方は≪リモール≫内では『PKギルドへ情報を流す<カタストロフィ>の名を騙ったスパイ』である事を報告してありますので」
「ちっ……」
<カタストロフィ>の本元が向こう側にいるのは何よりも痛手だ。
この<カタストロフィ>は、偽物である事がバレてしまった。
「まぁ、もしかしたら無意味かもしれませんが。偽物がここでリタイアすれば、全ては丸く収まりますから」
「そう、簡単に負けるとは思わないことですよ」
ここで諦めれば、全ては<カタストロフィ>の思惑通りに進んでしまう。
それを止められるのは、この事実を知らされている私しかいない!
双剣を握り直すと、勾結に飛びかかった。
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「すみません、取り逃がしました」
部下が頭を下げるが、彼女は特に気にしない。
気にする必要が無いからだ。
「良いわ、別に。何もかも、<カタストロフィ>の予見通りだから」
「そ、そうなのですか?」
「えぇ。<カタストロフィ>という解釈には二通りの意味があるのよ。なんだか分かるかしら?」
「え、えっと。『最強』である事だけじゃないんですか?」
「そうよ。もう一つは『全知全能』ね。現に、このDBOは<カタストロフィ>の思惑通りに動いているもの」
「本当ですか!?」
「えぇ。あの偽物が逃げる事も規定事項よ」
「え? なら、戦う事は無かったんじゃ……?」
そういう部下に、彼女は笑いかけた。
「バカね。それじゃ、あの偽物に確信を持たせられないじゃない。おかげで、シナリオ通りに進みそうだわ」
逃げ去った方向を見据えて、彼女は笑う。
「せいぜい、<カタストロフィ>の手の平で踊りなさい。そう、マリオネットのように」
やっと引き延ばした伏線を解除出来ました♪
<ストロベリー>戦時、何故<カタストロフィ>が二体も出現したのか?
答えは簡単な人間の心理です。
人間、誰でも『最強』とか『天才』に憧れるものです。
そこで、装備を集めればいつでもなれるお手軽『最強』<カタストロフィ>が登場したとしましょう。
お手軽(実際、黒ローブ+フードですからw)に『最強』が(形だけとは言え)手に入る。
そう考えれば、真似をするのが人間の心理じゃないでしょうか?
そこから、<カタストロフィ>の同時出現が可能となるのです。
上手く説明出来てるかな・・・?
心配です。