餓えた番犬迎撃戦
どーも『螺旋 螺子』です☆
そろそろ指が攣りそうなんですけどwww
「ジェシカさん!?」
革命派本部扉を半分蹴破るように開けたロボッチ。
部屋には険しい顔をしたジェシカと側近が数名いた。
「やられたわ……」
「どうしたんです!?」
「周辺に散っていた支部が全滅させられた……」
「!?」
驚愕する私たち。
「政府軍ですか? それとも遠征中の【教会】? いや、まだ距離はあるはず」
唯一、状況を瞬時に飲み込んた亜黒が的確な質問をする。
答えは、意外な<ギルド>だった。
「違うわ。【死獣】よ」
【死獣】……それは、<PK>を目的とした、<ギルド>だ。<PK>はこのDream・Box・On-lineにおいて禁止行為ではない。それ故、運営に問い合わせても芳しい対応が得られないのが現状だ。
プレイヤーが、フィールドに出て注意しなければならない物は大きく三つと言われている。
①モンスター ②状態異常 ③プレイヤー である。
DBOでは、戦時中でなくてもフィールドにさえいれば、他プレイヤーを攻撃することが可能である。
はた迷惑な事この上無いが、規則には禁止されていないので野放しにされているのだ。
「きっと本部の情報も流れてるはず」
ジェシカは、難しい顔をする。
「ここを落とさせるワケにはいかないわね。幹部諸君はそれぞれの部隊を交代性にして、【死獣】を迎え撃つわよ!」
何か。何か引っかかる。
どうして、何故、今なのだ。
どうして襲撃が、『今』だったのだ。
そんな私の思考を塗り潰すかの如く、部屋の外からどよめいた。何事かと、ジェシカ筆頭に部屋から外にでる。
革命派のギルドメンバーは、絶望するような、はたまた怒りを覚えるような、そんな表情であるものを見ていた。
テレビだ。
テレビに映るアナウンサーが、深刻な顔で報道を繰り返している。
現在、この日本にはテレビ局には二種類あり、国営に加え、<メタルコア>を開発した企業が<VRMMO情報>と称して、インしてなくても、テレビ局を通じて『仮想世界』から『現実世界』へ情報を伝えることが出来るシステムだ。
そのテレビから流れる絶望の情報。
『……繰り返します。本日、12時頃に≪紅炎の鴉≫領主、喰露羽氏が、以下の文面を公式発表しました。「【革命軍・レコンキスタ】の友好関係を一方的に破棄する」とのことです。一体何があったのでしょうか……』
なぜ? 或喰さん? 嘘でしょ!?
表情が周りと同じ色に染まる中、誰かがボソリと呟いた。
「それで、良い」
反射的に辺りを見渡した。
しかし、集まる人が多く誰が発したのかわからない。
「まさか……」
<カタストロフィ>が指示を!?
―――――――――――――――――――――――――――――――――
それから数時間。
部屋で茫然としていた。
分からない。
ことタイミングで、<カタストロフィ>が革命派を見捨てる理由が。
ノロノロと立ち上がり歩き出す。
『大使』として来て置きながら、何の意味をなせなくなっだ私。だが、まだ。出来ることはある!
「どうぞ」
ノックの音に中からジェシカの声が聞える。
「失礼します……」
私を見たジェシカは特に表情を変えることなく、適当といった感じで問いを投げかける。
「何しに来たの?」
重い、問い。
「すみません、『大使』として来て置きながら、もてなしを受けたのにも関わらず…」
ジッと見詰めるジェシカは、次の言葉を待っている様に見えた。
「でも、私は戦います! こうでもしないと……」
そこで、ジェシカは口に笑みを浮かべた。あざけ笑う……そんな笑みではなく。
「ふふふ、面白いね。セナさんは……」
「え……?」
「ねぇ、セナさん。<カタストロフィ>って知ってる?」
「あ、はい」
「まぁ、<カタストロフィ>は元から
≪紅炎の鴉≫の所有物だしね。それに前回の戦争で派手に動いてたし……」
「顔を、知ってる?」
「いいえ。まだ拝んだことは無いわね。だから、怪しいエンド君を手札に入れておいたんだけれど」
『エンド』というプレイヤーを疑ってるのは、私だけではなかった。
「彼は天才……じゃ、生温いわね。そう、『全智全能』よ。私たちは<カタストロフィ>のゲームの上で踊る玩具ね」
「それは、いい過ぎ」
「困った事にそうでもないのよ。恐らく、今回の友好破棄も彼のシナリオの一つ。彼のシナリオで、私たちは、『勝つ』のか、『負ける』のか、はたまた『どうでもいい』のか……」
そんな中、息を切らせて、突然入ってくる男。
「ほ、報告します! 【死獣】がとうとう攻めて来ました! 監視兵は潰走。現在、中央部手前まで進入を許しています」
「もう……か。速いわね……」
曇る表情のジェシカの顔。
「大丈夫です」
レイピアを握り締めて。
「私が止めに行きます」
―――――――――――――――――――――――――――――――――
「うぁ!?」
私が駆け付けたとき、丁度中央部に【死獣】が立ち入ったところだった。
「ここは私が守る! 後ろへ!」
その言葉に、味方は動ける者を除いて奥まで撤退した。
「うっほー、姉ちゃんが相手してくれんの?」
金髪の容姿の男、赤い装備の女。その二人を筆頭に【死獣】が穴から次々出てくる。
一対一なら勝てる自信があるが、こんなに多いと……。
「くっ!」
「さぁて、よいっしょっとぉ!」
槍を二本構えた金髪の男は、私に向かって飛びかかる。
それをレイピアを真横にして切り払う。弾き飛ばされた男だが、体勢を崩す事なく再び槍を構える。
「俺がこの小娘を抑えてやっからよ。このまま【革命軍・レコンキスタ】の頭を討ち取ってこい」
「えぇ、そうさせて貰うわ」
対峙する私と男を無視して、女は後方に控える味方に奥へと進むよう指示を出した。
「させないっ!」
「ってのをさせないんだなぁ!」
妨害に入ろうとしたのを、槍の投擲で妨害される。
「邪魔しないで!」
「お互い様だっての!」
<スキル>発動の予備動作。
一気に決める!!
『閃光(lightning)』
視界にお気に入りの<スキル>放つ。
「おぉっと!!」
それを男はギリギリで回避された。
「へへへ。思ったよりも早ぇな。『神速』も伊達じゃねーな」
「そちらこそ。私の『閃光(lightning)』を避けるなんて!」
「俺たちは、PKギルドだぞ? モンスターではなく、プレイヤー専門なんだ。<スキル>ぐらい避けれなくてどーする」
そして、違和感。
話している間にも、男は槍を片手に持ち直した。
「くるっ!」
「気付かれたか!? 『三叉の槍』!!」
紫の光を帯びた槍が投擲される。一瞬早く、違和感に気付けたため間一髪で避けられたが。
「ちっ。予備動作が長ーんだよなぁ。それをさりげない会話で埋めようとしてたんだが、気付かれちまったか」
「お生憎様」
睨み合う二人。
「ところで。まさか【死獣】は俺たちだけだとは思ってはいないだろうな?」
「えっ!?」
「おめでたい頭してやがんな。他にも違う入り口があんのに、そこからから攻め込まない訳が無いだろ。つまり、ここ一つ押し留めたって意味がねーぜ?」
グッと、歯を食いしばる。
確かに言われてみれば、入り口は一カ所ではない。一カ所ならば、そこに兵をまとめて配置すればいいのだ。それが出来ないから、わざわざ少数で監視兵を配置したというのに。
「いえ。その逆もまた然りですよ!!」
響きわたった声の主。それは、亜黒だった。
「セナさんのおかげで、他の分隊の鎮圧が終了しました。時期に他の幹部隊も到着します」
「おいおい。マジか。他の連中は何をやってんだ?」
「仕方がないわよ。本当は、私たちがここを突破して内側から崩して分隊を招き入れる予定だったんだし」
「ちっ。しゃーねぇな。集約されようが、こっちは入り口を確保してる。増援を呼びつつ、壁を力づくで突破するぞ」
「待って。増援が、来ない?」
戸惑う女の声に答えるように、入り口から飛び出してきたのは、
「また、私の聖奈をいじめるやからがいるわね!」
「【終焉曲】!?」
闇小夜率いる【終焉曲】だった。
「おかしいわね。今回の革命戦争からは手を引いたはずでは?」
冷静に、赤い装備の女が闇小夜に問いかける。
「えぇ。もちろん、私たち≪紅炎の鴉≫は今回の革命戦争から手を引いたわよ」
「まったく、だから私たち【死獣】が出向いてきたというのに」
宣言のない攻撃は奇襲となり、他<ギルド>から批判の対象にされてしまう。それを口実に、攻め込まれた領土持ち<ギルド>も少なくはないのだ。
「貴方たちの勝手な行動が、≪紅炎の鴉≫の首を絞めることになるのはおわかり?」
「まさか。感謝こそすれ、批判されるいわれはないでしょう。この、【害虫】が」
「あっ」
ようやく合点がいった。
【終焉曲】がこの闘争に参加出来た理由。
それは相手がPKギルドだからこそ成り立つ例外。
「害虫駆除してやってんのよ。感謝して欲しいわ」
闇小夜の挑発に男は乗らなかった。
「やれやれ。人権ってもんを認めて欲しいもんだ」
「テロリストに裁判が開かれるとでも? 即刻処刑よ」
前方に【革命軍・レコンキスタ】。後方に【終焉曲】。
「ちっ、ここは引くかぁ…」
そういって、一人の男が右手に握るアイテム。
「それじゃ、おさらば、だわ」
「いずれ、屈辱を注がせて貰います」
二人はそう言い残して、この場所から消えていった。
まさかの<カタストロフィ>が二人。
どちらかが本物?
それとも、<カタストロフィ>は数人いるの?
コレに関しては、のちのち解説を入れる予定ですが、
人間のある心理に則って起きる現象なんですよ?




