1-3 挑戦状
「会長、お電話です」
沖田が私の背中をちょんちょんとつついて言った。
「もしもし、三城です」
「三城会長。私ども、あれからトラブルについて調べてみたのですが何もありませんでした」
野風は澄ました声で言った。私はちょっと気に食わなかったがしょうがないので諦めて答えた。
また調べなおさなくちゃね…そう思いながら。
「そうですか。すみません。分かりましたわ。では調べていただいてありがとうございました」
「…ん?それで終わりですか?」
「え?」
私は意味が分からなく、聞き返した。彼は少し笑い気味に言った。
「あなたがた、失礼だとは思いません?普通部をそんなに侮辱して。そんなものなんですね、特別部とは」
かちん。わたしの体の奥で変な、切れた音がした。この人…
「なんですの?うちの部をそうやって呼ぶのは心外ですわ…」
「だったら、謝罪にいらしてください。お一人で」
野風は一人ということを強調した。上等ですわ。こんな人たち、私一人で十分ですの。
「ええ。きますとも、一人で!」
そういうと私はガチャンと電話を切った。あー、もう、腹ただしいわ!
「会長…」
後ろでやり取りを見ていた沖田はとても恐ろしそうな顔で私を見ていた。
「花音ちゃん、ばかだねー」
帰り道、ちょうどばったり会ってしまった陽斗に言われた。私としたことが、この人に全部話してしまったの。でもなんだかすっきりしたわ…
「ばかじゃないですわ!上等です。あの人たちにはいらつくことがたくさんありましたもの、ここで決着をつけさせていただくのです」
「んー、でもね、危ないよ。何されるかわかんないだろ」
陽斗はしつこく聞いてくる。もうっ、あなたもいらつくことがたくさんあるのに…
「いーの!」
私は陽斗の前を歩いて言った。
「じゃあね」
そういうと逃げるようにして帰った。なんだかあの男といると調子が狂いますの…だから早くかえろっと。