表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
12/13

3-3  自分とは

ああ、もうなんか恋愛系;;

なんでこの私が陽斗のことを気にかけなければならないのか、よく分からない。

でもそのことは自分の中でずっと消えずにいた。

あんな人…私はどうして。


「花音、何やってるのよ」

「え」

夏帆は私をつついて言った。ああ、なんてこと、私がぼーっとするなんて。

「だって、呼んでるのに返事もしないし、さっきなんて授業聞いてなかったでしょ。私はいつも聞いてないけどあんたはまじめなのにね」

「ええ、そうね。今日は調子が悪くて」

「そう。無理しないでね」

夏帆にこういうことを言われたのは初めてだった。本当は調子は悪くない。ただ、精神的に悪いだろうが。

でもこういう日が何日も続くとさすがに疲れる。集中ができないのだ。

ある日、私は自分の部屋のポストから、両親の手紙に気づいた。

うすい桃色のきれいで高そうな封筒。それは母の趣味だとすぐに分かる。


 花音

こんにちは。だんだん冬も終わって春に近づいているわね。

こちらはもう暖かいわ。お庭の桜も咲きそうな勢いよ。

最近学校はどうかしら。

お母さんは感じるの。あなたが困っているって。

一応魔女の勘ってやつかしら。

悩みがあるなら相談しなさい。絶対にね。

ではお元気で。

  父・母


「お母様…」

私は少し涙をぬぐった。やはり親は気づくのだ。

「1回、相談してみようかしら」

そしてその日の夜、私は母に電話した。

「あら、花音もうお手紙読んでくれたの」

「ええ、まあ」

少しの沈黙。すると母は話しだした。

「さあ、相談でしょ。大丈夫、言ってしまえば楽よ」

「うん…お母様、」

私はあのことを言う覚悟を決めた。

「あのね、実は、私ね、好き…っていうか、そんなものではないけれど、そういう方がいるの」

あれ?私は何を言っているのだ?好きって、どういう…

「そう。それって桐生くんでしょ」

母は笑って言った。うえ、なんでかな。

「え、いいえ、あの、私。それが言いたかったんではないですの…でもなんだか、どうしてか言ってしまって。そんなつもりは全くないわ」

自分が意味の分からないことを言っているのは分かっていたが、とめられず。母はますます笑っていた。

「いいえ、いいの。でもね、それが言いたかったのよ、花音はきっと。そうなのね。お母さんすごく分かったわ」

「えっ、何を…」私はかなりおどおどしていた。

「ふふ。花音は桐生くんのことがすきなのよ」

母は優しい声で言った。そんな、どうしてそんな感情が?

「…ちがいますわ…」

「もう、花音は意地っ張りなんだから。今に気づくわ。彼の存在がどれくらい大きいのか。まあ、いいわ。桐生くんに何かあったのかしら?」

「…ええ、彼、人間界に行くそうなんですの…」

「まあ…」

母の声が少し小さくなった。私はちょっと不安になって聞いた。

「私がもしそちらに行ったら、お母様たちはどう思いますか?あ、いえ、行くと行った訳ではないですが」

「うん…そうねえ、私はいいと思うわ。きっとお父様もそうおっしゃるわ」

「えっ?」

「花音の決めることでしょ。だから私たちがなんだかんだ言ってはいけないと思うの。花音は自分自身と向き合って考えなさい」

そういって電話を切った。向き合うこと…あまりしたことがなかった。

そして陽斗のことも、好きという感情ではないことを願って考えることにしよう。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ