異世界転生装置ボックス
かつてあった電話ボックスの代わりに、異世界転生装置ボックスというものが街中に設置された。
電話ボックスの中に電話が置いてあったように、異世界転生装置ボックスの中には異世界転生装置が置いてある。
なんでもその装置のボタンを押すと、異世界に転生できるそうだ。
勇気を出して、もしくは遊び半分で、試しに押してみた人は、その瞬間にこの世から消えてしまった。
それを見た多くの人たちは、我も我もと押し寄せ、熱に浮かされたような表情でボタンを押した。異世界で、自分が望む人生を送れるようにと願いながら。
異世界転生装置はその願いを叶えるように、ボタンを押した者を一人残らずこの世から消し去った。
しかし、本当に彼ら彼女らは異世界に転生したのだろうか?
ボタンを押した者は皆、たしかにこの世界からいなくなった。だが、判明していることはそれだけだ。
異世界転生装置ボックスはそんな疑問に答えることもなく、今日も静かに誰かを待っている。




