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凡人戦記― 異世界転生したら崩壊した王国スタート ―  作者: harap1239


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第一話 「凡人、転生する」


凡人ほど、新しい何かにチャレンジしたとき、自分には何らかの才能があると勘違いする。


単なる努力では才能を越せないと自覚したとき、そんな勘違いは霧のように、消えていた。

あいつに何か勝ちたかった。

並んでいたかった。

そして凡人は、

負け続けた人生の理由を、

最後まで理解できないまま死ぬ。


だが――

死は、終わりではなかった。


戦争を続ける異世界に放り込まれる。

与えられたのは、救済ではない。

選択肢でもない。

ただ、生きるか、死ぬかだけだ。


崩壊した王国で始まる、

凡人の戦記である。

第一話 「凡人、転生」


凡人ほど、新しい何かにチャレンジしたとき、自分には何らかの才能があると勘違いする。


単なる努力では才能を越せないと自覚したとき、そんな勘違いは霧のように、消えていた。


俺の名は額賀仁之。今はそこらにいる普通のニートだ。


昔の俺は良く友達とゲームをしていた。


その時はただ、友達と一緒にこのゲームを楽しみたかっただけだった。


気づけば実力はかけ離れ、あいつはそのゲームで上から二番目のダイヤにたどり着いていた。


俺はその二つ下のゴールド止まりだっていうのに。


嫌になったんだ。何をやっても、誰といても、

そいつより優れているところを見つけようとする自分の癖が。


勝ちたいという、純粋なようで自分の人生の幸せの足かせとなる感情が。


結局、ゲーム三昧でニートになっちまった。


今じゃ当初の強くなりたい気持ちも投げ捨て、

自分の現状を見て見ぬふりするために、

作業のようにゲームをプレイするようになった。


お母さんの泣き声が、時々聞こえる。

扉をたたくお父さんを、大声で追い返す。


嫌なことほど、日常によくなじむ。


24歳の時。


死のう、そう思ったんだ。

誰にも迷惑をかけずに。


震える足に、久しぶりに打ち勝つ。


部屋の扉を、

思いきり開ける。


目の前には、いつも通り、

食事を扉の前に置くお母さんの姿。


それに、俺は久々に面と向かって話す。


「今までごめん。

ほんとに、はした金だけど返すよ」


貯金箱には、

十万円入っていた。


俺が使わなかった、いや、使えなかった金。


そのままお母さんの横を走り抜け、

一階へ続く階段を下りる。


お父さんは仕事でいない。


そう考え事をするとこけそうになる。


でも、俺は倒れない。


俺のお母さんは優しいから、

今止まったら、引き留められる気がする。


それじゃだめだ。


俺は、誰も近寄らないようなところで死ぬ。

ニュースにもならないような場所で、

誰かの手も借りず、一人で。


それが一番、迷惑をかけないと思った。


当てはある。

電車代くらいは持った。


久々に見た玄関は、大きく感じた。


なんて考えていたら、

お母さんが階段を下りる音が聞こえた。


早く行かなきゃ。


扉を開ける。

その目の前には、お父さんがいた。


「仁之!?どうしたんだ!?」


横を駆け抜けようとする。


だが、お父さんに腕をつかまれる。


「どこに行く気だ?いったん落ち着いて、お父さんに話してみろ!」


ああ、なんでこんなにいい親のところに生まれて、

こんな人間になっちまったんだよ。


「離してくれ」


だが、お父さんは無言で俺の目を見ながら、 腕を離さない。


「離せって!!」


お父さんの腹を殴り、

つかみが緩くなったところで振りほどき、走り出す。


だけど俺は、思わず振り返ってしまった。


お父さんの痛そうな声と表情。

後ろにいるお母さんの、

涙ぐんだ「行かないで」という叫び。


涙がこぼれそうになった、その時。

俺は前から来ていた車に気づかず、はねられた。


―――ああ、畜生。

親を泣かせて、車に轢かれて死ぬなんて。

最高に迷惑をかけちまった。


もし次の機会があるなら、

償わせてくれ。


―――再び瞼を開いたとき、

俺は知らない場所にいた。


「今回の転生者は100名、どれも一般的な実力者です」

「了解、次は誰がどの力を所持しているかの確認をよろしく」


転生者?冗談はよしてくれ。大体なんだ?この貴族でも住んでそうな神々しい建物は?


そんな時、さっきまでよくわからない会話をしてた白衣の女性がこちらを向いて笑顔で話し始める。


「ようこそ!ここはあなた方が言う異世界です。あなた達は以前いた世界で死亡したため、この世界に

転生しました。」


待て待て待てほんとに異世界なのか?だがどっきりとかの気はしないんだよなあ。

実際車に轢かれた記憶もばっちり残ってるし。

そう状況を振り返っていると白衣の女性が周りの困惑した状況を見て、話し始めた。



「疑問に思うようなら、私の手のひらを見ていてください」

彼女の手のひらには何もない。だがしばらくすると炎のように揺らいでいるなにかが手のひらに現れる。

そしてそれは彼女が人差し指を机のほうに向けると発射され机の端が破壊された。


彼女が両手を合わせると残りの手にあったそれは消えた。


魔法ってやつか?かっこいいな。

目の前の光景にワクワクを隠せない自分がいると同時に、いくつかの不安があった。



俺のせいで迷惑をかける人がまた増えるんだ...

そう日常と化している自分の卑下をしていたとき、女性が神妙な雰囲気で話す。


「この世界では王国同士の戦争が絶えません。ここミラクートも同じ。どの王国も戦力を求めています」

その話に割り込んで細身の男性がしゃべる。


「もしかして私たちはその戦争の兵になれと言ってます?いくら異世界で魔法なんてものがあっても、

また死ぬようなリスクあることはしたくありませんが?」


「申し上げにくいことではありますが王の命令で兵にならない者以外には衣食住の補助等ができず...」


その言葉に反感の嵐が起きる。

そりゃそうだ。別に異世界でまた生きたいなんて言ってもないのに記憶持ったまま蘇らされてるんだ。

最低限人間としての補助は欲しい。


だけど奥からかつかつと音が鳴って王国の騎士と思われる男が現れた。

いかにもな雰囲気で身長も俺よりバカ高い。2mはありそうだ。


「ここの外の光景を見てからのほうが決断しやすいだろう。ついてこい」

100名全員騎士についていく。


...どうしようか。元々は死のうと思ってたわけだけど。この世界なら生きていけるなんて都合のいい話はないだろう。

俺たちの世界とは根本が違うとは思うがこっちの世界だって戦争をしている。

つまりこの世界の人間も根本は何も変わらない。そんな世界で俺の考えは変わるのだろうか?


考え事は良く時間を忘れさせてくれる。気づけば建物の扉を開けるところまで来ていた。


ガタンという音とともに金ぴかな扉は開き外があらわになる。

この建物はどうやら丘の上にあったようだ。下に王国があると騎士が言う。


そこで下をのぞき込み王国を見たとき、気づいたことはただ一つ。

国はもう崩壊していることだった。


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