表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
「継承者」の辺境伯令嬢が自称第二王子と結婚するまで  作者: アシコシツヨシ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

13/34

13 花の間

 王弟殿下のエスコートで宮殿に入ると、正面には階段、左右に長い回廊が見える。

 右手に行くと夜会会場や休憩室がある。

 左手は行った事がないけれど、お父様の情報によると、謁見の間や会議室、図書室等があるらしい。


「こちらへ。」


 階段の裏側にエスコートされた。

 こんな所、初めて通る。

 つい、キョロキョロと視線を動かしてしまう。


 まっすぐ伸びている廊下の先を行けば、正面には階段、左右には回廊と、内部は先ほどの建物と同じ造りになっている。

 今度は右手に曲がり、花の間と書かれた一番奥の部屋へ通された。


 花柄の絨毯、壁紙、カーテン、布張りのソファーも小花柄。

 しかも窓からは立派なバラ園が眺められる。

 なんて可愛らしいメルヘンチックな部屋なの!流石、花の間。


 陛下の姿を見て、姿勢を正す。


「陛下、お久しぶりでございます。」

「ラース辺境伯令嬢、よく来てくれた。そこへ。」


 ローテーブルを挟んだ、向かいのソファーに座るよう促されて、着席すると、王弟殿下は陛下の隣に着席した。

 そのタイミングで、侍女が紅茶を淹れてくれる。

 甘い薔薇の香りがする。


 茶器にも花柄、一口サイズのお菓子を乗せたお皿も、花の形。

 花へのこだわりが凄い。

 まさか陛下の趣味?


 実は思ったより可愛らしい趣味をお持ちの方なのかしら。

 威厳のある陛下も、メルヘンチックな部屋にいると、可愛らしく見える気がするから不思議。


 侍女が退室すると、早速陛下から呼び出しの用件を伝えられた。

 まさか、陛下の執務室から書類が消失する、大事件が起きていたとは。

 しかも、アニュアス様が疑われている!


 何でも見通せる『占いの魔女』の継承者、マーレイ公爵夫人や、情報把握に長けている『使役の魔女』の継承者、シーン伯爵夫人に頼っても分からないなんて、前代未聞だった筈。


 マーレイ公爵夫人が、アニュアス様の居場所を特定出来なくて助かった。

 秘薬の話は王家にしか出来ない。

 もし、王弟殿下以外の騎士が、突然領地に乗り込んで来たら、面倒な事態になっていた。


 うわ~、どう答えよう。

 私のせいではないけれど、明らかに『存在消し』のせいだわ。


『存在消し』の効果が切れれば、アニュアス様は、何事も無かったように日常へ戻れる。

 だから、それを待っていた。

 でも、あまりにも効果が持続し過ぎて、本人だけではなく、他にも影響が出ている。


 今のところ、いつ効果が切れるのか、検討もつかない。

 宮殿で問題が発生した以上、継承者として、正直に話すしかない。


「実は……」


 アニュアス様が宮殿を追われて、王都にある邸にやって来た日の出来事や、『存在消し』を使われた可能性が高い事。

 そして、『存在消し』の無効化方法は、調査中で、まだ見つかっていない事を話した。


「では、不法侵入者の正体は『存在消し』を使われた第二王子。つまり、私の息子で、息子に関係する書類のみ『存在消し』の影響で見付からない、と?」


 流石、国王陛下。話が早い。


「はい、秘薬は人間用なので、使い魔には効果がありません。使い魔は、アニュアスさ……殿下が、第二王子だと理解していたので、不法侵入者として反応しなかったのでしょう。書類については、マーレイ公爵夫人の言う場所にあると思います。『冷静の薬』を使えば、靄がかかって読めない書類が見える筈です。薬を使わなければ、白紙に見えているかもしれません。それがお探しの書類です。」


 陛下と王弟殿下が顔を見合わせた。

 何か心当たりがあるみたい。

 それにしても、色々調べておいて良かった~。

 まさか、ここで役に立つとは、思わなかった。


「しかし、見つかっても読めなければ、書類として使えないではないか。ねぇ?」


 不満そうな国王陛下。

 確かに、その通り。


「申し訳ございません。靄を消す方法は、まだ分かっておりませんが、アニュアス殿下には読めるようです。書類を読めれば、アニュアス殿下が第二王子だと証明出来るのでは。と思いますが、いかがでしょうか。」


「誰も読めないなら、嘘をつく可能性もある。王子かの証明には不十分だ。が、書類が見付かって読めると言うなら、見せて真偽を確かめても良い。で、その男は今、何処にいる。」


 王弟殿下が前のめりで聞いてくる。

 話すべきだとは思うけれど、胸がざわついた。


 書類が見付かって、それが読めて、アニュアス様が王子だと分かって貰えたとして、宮殿で安全な生活が保証されるのか、確信が持てない。


「お教えする前に、不敬を承知で、お願いがございます。」

「ほう、聞こう。」


 返事をしたのは、陛下だった。


「アニュアス殿下に『存在消し』を使った犯人は、王家の可能性も否定出来ません。犯人が捕まるまで安全のため、ラース辺境伯領でアニュアス殿下を匿う許可を頂けないでしょうか。」


 これは私の勝手な言い分で、アニュアス様が宮殿生活を望むのなら、それは構わない。

 フッと陛下が笑った。

 真意が分からなくて、怖い。


「書類が見付かり、アニュアスという男が、本当に書類を読めて、私と総長が王子だと確信出来れば、領地で匿う許可を出す。だが、息子と確信出来なければ身柄を預からせて貰う。」


 私は、アニュアス様を王子だと確信している。

 きっと、陛下や王弟殿下も、そう思える筈。


「分かりました。アニュアス殿下は、私の専属護衛騎士として、一緒に来ています。今は、護衛騎士や侍女と別室で待機しておりますので、書類さえ見付かれば、確認は直ぐに出来るでしょう。」


 王弟殿下が、ハッとした表情をした。

 漸く気付いた様子。


「もしや、馬車に乗っていた男がそうか?」

「その通りです。」

「そうか、分かった。私と陛下は書類を探して、アニュアスと言うその男と話をする。済まないが暫く待っていてくれ。」

「畏まりました。」


 王弟殿下と陛下は、花の間を退室した。


 アニュアス様、呼び出しを誤解して逃げたりしないよね?

 ちょっと心配になってきた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
外部サイトOFUSEにて、イメージイラストを投稿しています!→OFUSE・アシコシツヨシ
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ