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告白場面を目の当たりしてしまいました


 時は流れてというほどは流れてはおりませんでしたが、この件につきましてはハドリー王子の廃嫡は当然のこと、厳しい修道院へ送られ、また隣国では早急に解毒薬を配布すると共に、金貨2000枚の賠償金を払うことで事なきを得ました。

 それが締結されるまでは2ヶ月と、寧ろ短かったと申し上げても差し支えないでしょうね。

 隣国の王は息子のハドリー王子がそのようなことを企んでいるとは存じ上げずに、すぐにこちら側に非があると認めてくださったことが1番大きかったのは間違いございませんですが、国王もそしてフレディ様の素早いご対応がこの短さに繋がった模様ですわ。

 本当に優秀な方々でございますわね。


 一方でわたくしはこの2ヶ月間何をしておりましたかと申し上げますと、この時はとてもではありませんが、この状況で婚約解消を行うことは出来ませんでしたので、まだフレディ様と婚約している身でもありまして、残念ながら公爵家へ戻って参りましたの。

 しかしながら、公爵が泣きながら出迎えてくださったことには大変驚きましたわ。


「ァアァ〜リス〜、おぉっかえり〜」

 

 それもなななななんと、ただ単純に娘の危険な目に遭っていないか心配だったそうですのよ。

 てっきり王家との強固な繋がりが無くなることを深く悲しんでいたのかと思いましたのに、普通に父親としての愛情が存在しておられたようです。


 しかし、驚いたのはそれだけではありませんでしたの。

 何とマリアのことで微笑ましい光景が見られましたのよ。

 あれは実家に帰ってきた時のことですわ。

 わたくしが敷居を跨いだ途端、真っ先に駆けつけてきたのは、公爵でもなく家令でもなく、そして侍女でもなく、なんと騎士だったのです。


「アリス様、よくお無事で!! 心の底から安堵しました。アリス様の姿を見られるまで不安で不安で不安で不安で不安で不安で不安で不安で不安で不安で……」

「マイク、五月蝿いわ!!」

「痛った〜。これは強すぎるだろう、マリア」

「あまりにも五月蝿かったからよ。レイナ様の顔を見なさいよ。ドン引きされているわ!!」


 いえ、わたくしはどちらかと言いますと、不安という言葉を多用した彼よりも、強すぎるゲンコツをなさったマリアの方に引いておりますわよ。

 まあそんなこと口が裂けても言えませんけど。

 マリアは、あの敵を一掃した時と言い、今回の強すぎるゲンコツと言い、力で物を言わせておりますからね。

 本当に改めてマリアを怒らせてはならないと、ハッキリと理解出来ましたの。

 まあ、この前回のページで思いっきしわたくしが力で物を言わせていることは置いておくことにしましょうね。

 なんせわたくしはマリアとは異なり、恐ろしくありませんからご安心くださいませ。


「か弱きアリス様……じゃなかったレイナ様をマリア1人で守っていたのだから、何かあったらと心配するのは当然だ。実際に死にかけたじゃないか」

「それはごもっともだけど……レイナ様に気を使えと言いたかったの」

「確かにそれは配慮が足らなかった。レイナ様、取り乱してしまい申し訳ありませんでした」

「え……えぇ大丈夫ですわ」


 急にわたくしのところに謝罪が来ましたので、驚きましたわ。

 彼は律儀な方なのですね。

 確かに見た目からして誠実そうですから、納得と言えば納得ですわ。

 

「そういう所は相変わらず変わらないのね」

「人の性格は根本的には変わらないと思うが……でもマリアはより逞しくなったな。今までで十分に逞しかったけど」

「マイク、それどーいうーことかしら?」

「そう怒るなって。つまりえっと何だ……頼りになるってことだ」

「はい? 本当にそう思ってるの?」

「それは本当だ。頼りにならなかったらレイナ様にそこまで信頼されないだろう」

「確かにそれはそうね。レイナ様が1番信頼しているのは私だもの」

「あぁ〜本当のことだから言い返せねえ。悔しい〜」

「あら勝ったわね」


 本当にとても気さくに話していらっしゃいますわね。

 ここに少し滞在している時には、騎士と侍女には距離感があったように感じましたが、そうでは無さそうですわ。

 やはりわたくしの前では仕事上そのような所を見せるわけにはいかないのかもしれませんわね。


「でもマリアの方は瀕死状態になってたって聞いて気が気じゃなかった。でも瀕死だったというのが嘘みたいに元気だな」

「そうなの、レイナ様が完治してくれたの。羨ましいでしょう?」

「そりゃ羨ましいけどさ……でもそれ以上にマリアが心配だったから安心した」


 それにしてもあまりにも話が次々に進みますから、よほど仲がよろしいみたいですわ。

 何だかマリアを取られたみたいで寂しいだなんて……子供じみたことを考えてしまいますわね。

 しかしここまで仲が良いのも少し不思議に思っておりましたら、この後の会話で何故このお二人が睦まじいか判明致しましたの。


「私のことも心配してたんだ」

「当たり前だろう。恋人を心配しない奴が何処にいんだよ」


 まさか彼がマリアの元彼ですの?

 見た目は本当にごく普通の方ですが(ごめんあそばせ)、とても真面目なところはマリアに通ずるところはあるかもしれませんわね。

 そう思うとお似合いな気がしますわ。

 しかし、別れたと仰っていましたから、仲違いで別れた可能性も考えておりましたが、その心配は必要なさそうですわ……ってそれどころでは無さそうですわね!!

 

「だって別れたし……」

「それは諸事情で別れただけだろう……………………それに俺はマリアと別れたつもりないし」

「そ、それってどういうことよ」

「あぁ言わせるのかよ……俺はマリアのことが今でも好きなんだ!!」


 きゃ〜、なんと今この瞬間告白シーンを目の当たりにしてしまいましたわ!!

 わたくしの可愛いマリアが頬を赤らめておりまして、可愛すぎます!!

 今回はたまたま見る形になりましたが、ここからはわたくしの意思で全力で野次馬として呈させていただきます。

 さてこの後どうなるのでしょうか?

 ここは素直にはいですわよね、マリア。


「私は別にそんなこと思ってないし」


 え、何故……何故いいえの返事を出しますの?

 何だかツンデレな台詞にしか聞こえませんが?


「私はレイナ様一筋だから」

「わたくしのことはどうでもいいでしょう!!」

「「どうでもよくありません!! レイナ様が1番です」」


 思わずわたくしの名が上がりましたので、つい割り込んでしまいましたが、アッサリと一刀両断されてしまいました。

 それも2人揃ってだなんて……忠誠心高すぎませんこと?


「話を戻すけど……俺はマリアの好きだ」

「それはさっき聞いたわ」


 えっと……わたくしはまだ放心状態なのですが、お二人とも切り替えが早すぎませんか?

 それも彼はまたアッサリと愛の言葉を告げておりますし。


「マリアが真面目で何でも器用に熟せて本当に尊敬しているし、レイナ様へ一筋なところも良い。それに何よりも俺がレイナ様に並ならぬ愛があることを受けていてくれているマリアが好きなんだ!!」

「何だ心配して損した。急に告白なんかするからレイナ様への忠誠心が無くなったのかと思ったじゃないの。やっぱりマイクはマイクだわ。マイクは本当に騎士として優秀で真面目だから尊敬しているし、何よりもレイナ様に一途なところが好きだもの」


 ちょっとお待ちくださいませ!!

 大変胸がキュンとする場面のはずですのに、何故か1番好きな理由がわたくしへの忠誠心ですって!!

 お互いに認め会っているのは良いとして、わたくしが1番だからと歪んだ理由で付き合っていらっしゃったなんて……これはどう申し上げたらよろしいのか。

 嬉しいような恐ろしいような……とにかくマリアだけでなくマイクも怒らせない方が無難そうですわね。

 何だかんだ仲が戻ったようですし、結果良ければ全て良し?というところでしょうか?

 マリアのところに無事に恋人が戻って良かった……ってよくよく考えましたら今マリアを取られたということではありませんか。

 わたくしのマリアが取られた……悔しいですわ!!


 

 それにしても今までの周りの方の反応で本当によく分かりました。

 そう、アリスは多くの方から愛されていらっしゃったということを。

 本当に羨まし過ぎますわよ、アリス!!

 小説内では誰からも愛されることもなかったと書かれておりましたので、そこに共感したところもありアリスが好きなところもありましたが、そんなのは真っ赤な嘘。

 何処か愛されていないのか、わたくしに分かりやすくアリス自身、または香本先生に直接問い質したいほどですわ。

 まあきっとアリスは自由が無さ過ぎた故に、愛を甘受することが出来なかったのでしょうがね。

 もう……本当に何から何までアリスは麗奈とは異なりますわね。


 というか、わたくし一体何を拝見させられたのでしょうか?

 これはアリスと麗奈の物語のはずでございますがね。

 まあ今回は良い場面を拝見出来ましたので、良いと致しましょうか。


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― 新着の感想 ―
マリアとマイクの二人の交わす言葉が、色々な意味でアツアツの回となりましたね。アリスを見たときのマイクの「不安で」の連呼が凄まじかったです笑。 そして、レイナを想う一途な気持ちが、二人を…レイナの「ち…
おめでとう( ˘ω˘ )
お世話になっております。最新話まで拝読いたしました。 お嬢様→お嬢様転生、おもしろいです! 必死に婚約者にならないようにしたのに好かれてしまうのとか大好きです。 能力が開花して、これからの関係がどう変…
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