この国を旅をして多くのことを学びましたわ
なんかコメディー要素ほぼ皆無の童話みたいになってしまいました。
マリアはどうやらこの後に他の所に移動して、旅をすると思っていたみたいなので、今までお世話になった所は全て手続きを彼女の方で済ましてくださったようなのです。
なんと出来た侍女でしょう。
マリアと一緒にいたら何でも出来る気がしますわね。
さて最初に向かいました場所は、王都から少し離れた商業が発達していらっしゃるこれらも大都市でございます。
ここでは約3週間ほど過ごしましたが、皆様が忙しい中で、新人のわたくしに優しく教えてくださり、すぐに向上をさせてくださいました。
今回就いた仕事では、物品の支出入の計算の管理。数字は異なれど、転生前と同じく10進法で計算するため数字さえ覚えたらすぐに熟すことが出来ましたわ。
確かにわたくしは令嬢ではありますが、転生前はこれでも旧財閥の娘ですから、計算は徹底的に教え込まれましたので、無問題でございますの。
どうやらこの世界のご令嬢は経営にはか変わらないのが普通であるため、計算は元々勉強なさらないとのこと。
そのため、マリアには大変驚かれましたが、大変喜んでくださいました。
初めて転生前の記憶が役に立ちまして、わたくしも大変嬉しかったですわ。
計算が早くて正確であったこともあり、わたくしは大変歓迎されましたの。
しかし、ここ最近は少し物品が届くのが遅いみたいで、安定した供給が出来ない時もあり、困っているという話も伺いました。
ただ現庶民であるわたくしにはどうすることも出来ず、何も手伝えることもないまま立ち去ってしまいました。
ここでは思った以上にお金を稼ぐことが出来まして、3週間で銀貨5枚いただきました。
次に向かいましたのは、小さなのんびりとした町でございまして、そこもまた3週間ほどおりました。
そこでは、どうやら機織りされた服が名産みたいで、わたくしも同じく機織りをさせていただくことになりましたの。
1番最初にいた頃は、糸巻をしておりましたが、今回はしっかりと機織り機を用いて布を織って参ります。
わたくしは手先が不器用でありましたので、何度もやり直しをすることになったものの、その都度その失敗する前まで戻してくださったり、間違えたところを何度も丁寧に教えてくださりました。
マリアもすかさず助けてくださりましたし、何だか少しは手先が器用になった気が致しました。
しかし、この辺りは中々交通便が不便で、馬車か徒歩で来るしか手段はなく、中々服を出荷することが出来ないのが問題らしいですの。
ただ庶民であるわたくしにはどうすることも出来なくても、何も手伝うこともないまま立ち去ってしまいました。
ここでは田舎であるため賃金は前よりも安く、3週間で銀貨3枚と銅貨30枚をいただきました。
次に向かいましたのは、田んぼや山に囲まれた自然豊かな場所でございます。
その場所は王太子妃選定回で先生がこの場所には説明するほどのことな何もないと仰っておりましたが、そんなことはありませんでした。
とても静かで居心地が良く、空気も澄んでいて美味しゅうごさいますわ。
そこでは、わたくしも農民の方々と同じく田畑を耕していただきましたの。
思った以上の重労働でして、わたくしは30分ほどですぐに音を上げてしまい、皆様から体力が無いと呆れられておりながらも、無理のない範囲で進めてくれてら良いと、仰ってくださりました。
最初は桑を一緒に持って練習をしてくださったり、少し慣れてきて1人で行う時にふらつきそうになったら体を支えてくださったりと、様々な形でサポートをしてくださりました。
しかし、この場所は平凡だと言われていることから、全く人が来ないのが問題らしいのです。
このままだとこの町は過疎化により潰れてしまうかもしれないとのことでした。
ただ庶民であるわたくしにはどうすることも出来ず、何も手伝うこともないまま立ち去ってしまいました。
ここでは硬貨をいただくことは出来ませんでしたが、様々な食べ物をいただくことが出来ましたわ。
次に向かったのは、先程過ごした所より更に山奥にある場所でありまして、そこには殆ど人が住まないような所でありまして、1ヶ月ほど過ごしました。
そこでは山菜やキノコの取り方や獲物の狩り方を教えてくださったのです。
正直に申し上げまして、採取は楽しかったのですが、狩りは中々生々しくございまして、狩りをまともにすることが出来ずにかなり心臓がやられてしまいました。
また、どうしてもお肉は生臭くてわたくしは最後まで食べることが出来ませんでしたので、わたくしの分は全てマリアに召し上がっていただきましたの。
全てを行うことが出来ませんでしたが、今回のことで食べ物への命について深めることが出来た気がします。
普段気軽に頂いていた物も全てこうやって苦労して、わたくし達の元へ来ていることが分かりましたの。
しかし、ここでは道具が古くなり、中々獲物を捕獲しにくくなったそうですが、王都まではあまりにも時間がかかり、道具もお金がかかるため簡単に調達することが出来なくて、大変だと仰っておりました。
ただ現庶民であるわたくしにはどうすることも出来ず、何も手伝えることもないまま立ち去ってしまいました。
こちらでは革のコートをいただきまして、とても温かいですわ。
次は離れにあります騎士養成所にやって参りましたわ。
正直に申しまして、最後である向かいたい町の途中で立ち会うことになったのですが、彼らがずっと歩き続けて疲れただろうとのことで、1週間ほど休ましてくださりました。
そこでは何とわたくしに剣の使い方や自身の身を守る体術まで教えてくださりましたの。
理由はへなちょこで見ていて襲われそうで怖いからという何だか悲しいものだったのですが……。
それでもわたくしに安全を配慮して丁寧に、休み時間を拭って、数名の騎士様が教えてくださりましたわ。
マリアはもうその時点で完璧だったので、褒めちぎられておりましたね。
何だかわたくしも褒められたような感覚に陥りまして、一緒に喜びましたわ。
しかし、ここでは王都から場所が遠いが故にすぐに移動出来ないことが問題のようです。
王都に養成所を作る場所が無くて、この場所になったようですが、中々話が進まなくて困っていらっしゃるとのことでした。
ただ現庶民であるわたくしにはどうすることも出来ず、やはり何も手伝えることもないまま立ち去ってしまいました。
こちらでは代償を払うこともなく、無料で教えてくださり感謝でいっぱいですわ。
このようにわたくしとマリアは、様々な所へ巡り旅をしたのでございます。
そしてこの数ヶ月間ではありますが、わたくしはアリスこと麗奈は、この国の人々の優しさに触れ合うことが出来ましたわ。
それの反面、問題点も多く明るみになり、わたくしではどうすることも出来ない歯がゆさも痛感致しました。
その度に、わたくしが公爵令嬢であれば、王太子妃であれば、何か出来ることもあったのだろうかとふと考えてしまいますの。
そして、その度にフレディ様の顔を思い浮かべてしまうのも、辛く感じてしまいます。
旅はとても楽しい物でございますが、それと同時に別れの寂しさを感じることを学んでしまいました。
しかし、もう戻れませんもの。
少し心苦しいのは気の所為だと思いたいですわ。
「マリア、次が最後でしょうか?」
「はい、この国で行っていないのは最後ですね。ただ、そこは辺境地で危険な所も多いですが、それでも行きますか?」
「マリアは行きたくありませんの?」
「いいえ、私はレイナ様が行きたいのであれば、何処までも付いていきますよ。それに私がレイナ様を守りますからね」
「本当に頼もしいですわね。それでは参りましょう。この国に後悔のないように楽しみましょうね!!」
「レイナ様、そのいきですわ!!」
わたくしは未だにチートが開花することはありませんが、今までの旅で少しです出来ることも増えて参りました。
と言っても実際はマリアが居なければわたくしは出来ないことだらけですけどね。
まあそれは今回は置いておきまして、これからも旅を続ければ何も出来なかった私が出来るようになることもあるのです。
これからも様々なことを学んで旅を楽しんで参ろうと思いますわ。
しかし、この国の最後の町でわたくしはとんでもない事件に巻き込まれてしまうことになってしまいましたの。




