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エーテルリウムの黄昏  作者: お茶どうぞ
37/91

37、帝都ローゼンベルクへ

酒場「黒金の角杯亭」にエルドリンが到着した頃には、日が沈み街灯が店の前を照らしていた。入口で待っていたガルムとソレンディルと合流し、3人で中に入る。


案内されたのは壁際のテーブル席。人の入りは8割ほどで、冒険者らしき客たちが酒を酌み交わしていた。個室も勧められたが、あえて開放的な場所を選ぶ。


「結構流行ってるな」


「ええ、やはり冒険者が多いですね」


ソレンディルが周囲を観察しながら答える。


「で、エルドリン、街で仕入れた話を聞かせてくれ」


促されて、エルドリンは情報を整理しながら口にする。


帝都ローゼンベルクの御前試合事情


エンペリア帝国の皇帝ネフィロスには3人の子供がいる。


長男アルディンは勇敢で差別を嫌い、帝国内の奴隷制度廃止や住みよい国造りを考える第一皇太子。


次男イヴォーリーは切れ者で父の方針に肯定的、皇帝からも信頼される第二皇太子。


三男マーシャルは武芸を嗜み、亜人差別をなくし、有能者登用で国力を強化しようとする第三皇太子。


今回の御前試合は三男マーシャルが主催している。表向きは武術師範として将軍候補を見つけるためだが、裏の目的は自派閥の形成と民意の誘導にあると考えられる。皇太子として民衆に顔を知らしめ、人気を獲得する必要があるのだ。


大会は総当たり方式で、1日2試合。観戦者が試合を見て参加するもよし、棄権も自由。日程が長いのはそのためだ。


冒険者が帝都に向かう理由は、ブックメイカーの賭け、勝者への取り入り、仕官のチャンスなど様々。すでにこの街でも、誰に付くかで小競り合いが起きているという。闇ギルドは関心を示さず静観しているらしい。


3人の反応


情報を聞き終えたガルムは興奮気味に言った。


「ローゼンベルクの御前試合、見に行くぞ!」


エルドリンとソレンディルは、仕方ないと頷く。


「それにしても、冒険者風情で仕官できると思ってるのかしら?」


「輩風情では無理でしょうが、人は希望があれば力が出ますからね」


ソレンディルの呆れた言葉に、エルドリンも同意し、ニヤニヤしながら黒いエールを口にした。


夜の通信


その晩、宿屋に戻ったエルドリンは“ムーブ・メモリー”でソフィア・グレースフィールドに連絡する。


「またガルムのせいで寄り道になっちゃうわね」

「御前試合は腕自慢が集まるから、見ておく価値がある。日程も長いしね。ソフィアはどう?」

「こちらは魔獣被害の村を複数回ってるわ。遠征は10日目でナイトの索敵頼り。疲れるのよ」

「父に状況を報告して、増援を依頼するよ。そうすれば教会の費用負担も大公が補える」

「ありがとう。でも象徴として利用されてるだけ。ナイトがいるから大丈夫。そっちも無理はしないで」

「分かったよ。おやすみ」


エルドリンはソフィアの負担を思いながら眠りについた。


翌朝の出発準備


翌朝、食堂で柔らかい小麦パン、ベーコン、目玉焼き、サラダ、オニオンスープで朝食を済ませる。


「帝都ローゼンベルクは遠いですか?」と尋ねると、宿主は答える。


「国境を越え、国道を50キロ進めば大きな都市だ。商隊や人輸送用の荷馬車も多い。5時間ほどで着く。人数分予約しておこうか?」

「料金は?」

「1人20ギル。宿で支払いも可。準備ができたら呼ぶ」

「では支払っておきます」


旅の準備と訓練


ガルムは中庭で素振りを行い、ソレンディルは水魔法で作った水玉を空中に保持し、移動させる訓練を続ける。これは時間魔法の基礎訓練でもある。


エルドリンは荷物を整理し、中庭でガルムと槍術の訓練に入る。


ガルムは槍の長さに体が慣れ、縦斬りや突きの動作が滑らかになった


エルドリンの攻撃を受け流し、懐に飛び込む動作を横薙ぎで返す


そのまま突きを繰り出し、連携の精度を高める


訓練の最中、呼び出しの声がかかる。


「帝都ローゼンベルク行きの馬車、エルドリン様~」


手を上げて応答し、店主に挨拶。3人は幌付き荷馬車に移動する。板張りのベンチシートは3つ。ガルムは荷物置きで横になり、エルドリンとソレンディルは座る。


「それでは発車します!」


御者の声で、荷馬車は静かに走り出した。


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