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エーテルリウムの黄昏  作者: お茶どうぞ
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27、地下室の会議

エルドリンが冒険者ギルドに討伐報告をしていた頃、ガルムとソレンディルは鍛冶屋マスターハンズ・ハンズクラフトの客間にいた。

マスターのグローリンと開発担当のバルドが、討伐戦の戦果や装備の評価について熱心に議論を交わしている。


「この街のギルドに所属する冒険者たちは、いくつか問題を抱えているな」

ガルムが切り出した。


「まずは装備だ。大型魔獣の攻撃に耐えるには重すぎるし、かといって貧弱すぎる。動きを阻害する鎧じゃ、魔法付与があっても避けきれない。結果、体力を無駄に消費して戦闘時間を縮めるだけだ。強敵相手には致命的なリスクになる」


討伐戦でのエルドリンの機転を思い出しながら、ガルムは言葉に力を込めた。


「次にパーティー間の連携だ。功を焦っても失敗する。互いの長所と短所を把握しなければ、数がいても烏合の衆に過ぎん。装備と連携さえ整えば、S級だからと慌てる必要はない」


グローリンは腕を組み、少し困惑したように答えた。

「ご存知の通り、ヴェリタス・ストーンを使った武器は国が管理しています。冒険者に持ち逃げされては困るため、ギルドから要望もありませんでした」


ソレンディルが口を開く。

「なら、ギルドが管理し、貸与という形にすればいい。誰が使ったかも明確になり、安定して強力な武具を供給できる」


グローリンとバルドは顔を見合わせ、感心の色を浮かべた。

「……なるほど、考えつきませんでした。すぐにでも公爵エドガー様を仲介にして提案します」


指示を受けた使用人リリアンが頷き、足早に部屋を出て行く。


「盾の使用感はどうでした、ガルム様?」

興奮気味にバルドが尋ねる。


「良い盾だ。展開すればタワーシールドになり、味方を守るのに十分。剛性も高く、シールドバッシュでも安心して振るえる。軽く操作性も良い。鎧も魔獣の攻撃に耐え、中身も無事だった。魔法付与でスタミナ切れの心配もない」


バルドはうっとりした表情を浮かべたが、我に返ってさらに問う。

「改善点はありますか?」


「人間種は背が低い。盾のサイズを調整するといいだろう。面にもう少し湾曲をつければ、攻撃を逸らしやすくなる。それ以外に問題はない」

ガルムの的確な答えに、バルドは深く頷いた。


続いてソレンディルが杖について意見を述べる。

「性能は素晴らしい。難しい魔法も補助があれば問題なく発動できるし、マナ集積を助けて威力も増す。連続使用時も起動時間が短縮される。ただし、人間には扱いが難しい場面がある。マナ集積石を組み込み、起動補助を強化すれば、司祭や魔術師でも使いやすくなる」


「盲点でした……!」

バルドは目を見開き、感謝の言葉を述べた。グローリンはその様子を見て、弟子の成長に心の中で頷く。


その時、入口のドアノッカーが鳴った。

バルドが開けると、そこにはエルドリンが立っていた。


「エルドリン様、どうぞお入りください」

「ありがとう、バルド」


エルドリンは室内に入り、ソファに腰かける二人に歩み寄った。


「報告は終わったのか?」

ガルムが尋ねる。


「ええ。ただ……父から王都公爵別邸に直ちに来るように言われました。冒険者ギルドへの報告だと思っていましたから、少々驚きました」


ソレンディルが眉をひそめる。

「ただの報告じゃなさそうだな」


「そうです。だから二人も一緒に来てほしい」

エルドリンは素直に頼んだ。


「何も言うな。お前が俺たちを必要としているなら、それで十分だ」

ガルムが豪快に笑い、肩を叩く。


3人は転移魔法で王都セレスティア、公爵別邸の門前に降り立った。

厳重な門番の検査を通り、屋敷内へ案内される。


地下の会議室には長テーブルと肘掛け椅子が並び、すでに宰相アルトリウス・ステインと公爵エドガー・ファルコンハートが待っていた。


「王都は隣国による情報干渉を受けている。一部貴族は寝返り、情報漏洩が続いている」

宰相が口を開く。

「君たちには北端の廃墟都市キュルダット・デ・ルーナスを探索してほしい。ネクロマンサーとアンデッドの調査、場合によっては捕縛も。情報の処理はこちらで行う」


エルドリンは頷き、確認する。

「輸送手段は?」

「商隊を装った馬車を待機させてある。捕縛後はそちらへ引き渡せ」


会議は短く終わり、任務は決定された。


夜、邸宅の庭園に出た3人は、星空を見上げていた。


「次は廃墟都市か……また骨が折れそうだな」

ガルムが腕を組み、不敵に笑う。


「アンデッド六軍団……普通の依頼ではないわね」

ソレンディルは表情を引き締める。


エルドリンはしばし黙し、遠くの闇を見据えた。

「父がわざわざ呼び戻した。――これは、王都全体を揺るがす戦いになる」


星明かりの下、三人の影が夜風に揺れた。

その背後には、まだ誰も知らない大いなる陰謀の気配が忍び寄っていた。

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