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エーテルリウムの黄昏  作者: お茶どうぞ
23/91

23、禁呪

前線からベースキャンプへ


エルドリンは 遮蔽隠蔽魔法「ファラフィグメント」 を自身にかけ、森の上空へと浮上した。

ウィズドウィングの気配もなく、森からの魔獣干渉も受けず、快適かつ迅速に移動できた。


通常なら歩いて四日かかる距離を、わずか一時間足らずでベースキャンプへ到着。

焚き火の煙が見え、周囲の安全を確認すると魔法を解除し、大きな掛け声と共に近づいた。


迎えに出た副ギルドマスターのエレンディルは、安堵と共に問う。

「お疲れ様です。首尾はどうでしたか?」


エルドリンは報告する。

「ディープバイトは成体2体と幼体、卵も確認。大変でしたが無事討伐完了です。重症者は出ましたが、死者は無しです。」


キャンプに安堵のざわめきが広がる。

「重症者は治療中ですが、明日からベースキャンプに戻ります。早ければ三日後にはアイアンゲートに帰還できるでしょう。」

「了解です。他に脅威となる魔獣は?」

「まだいますが、王都から依頼を受けたアンブレイク・ハートが駆除対象です。詳細はギルドマスターから会議で聞いて下さい。」


エルドリンは再び「ファラフィグメント」で姿を隠し、前線へ戻っていった。


エレンディルは、討伐前に見せたエルドリンへの嫌味を悔やみながらも、報告に安堵する。


レイジングクロウの捕獲


一方、治療を終えたソフィア、ソレンディル、ガルム、ナイトは、残り五つのタスクのうち レイジングクロウの捕獲 に向かう。


ソフィアは全員に「ファラフィグメント」をかけ、隠蔽状態で行動を開始。

捕獲は単純ではない。母子のクロウは探知能力が高く、雄のナイトが不用意に姿を見せれば母親が攻撃を仕掛ける。


作戦はこうだ:


牛肉の塊を焼き、アイテムBOXに入れて陽動。


ナイトが肉を咥えて母親を誘導。


母親が離れた隙に、ソレンディルが捕縛魔法で子供を制御。


ガルムが子供を捕獲。


母親には昏睡魔法をかける。


ナイトは風上から慎重に陽動を開始。母親は匂いに気付きつつ、周囲の様子をうかがいながら忍び寄る。

ソフィアは隠蔽魔法を維持し、子供と母親の距離が十分に開くのを待つ。


捕獲成功


子供のクロウ二体を捕縛魔法で制御し、ガルムが両肩に担ぎ上げる。

ソレンディルの「ファラフィグメント」で匂いも音も遮断され、母親には鳴き声すら届かない。


母親が肉に飛びついた瞬間、ソフィアが昏睡魔法をかけ、クロウは横たわる。

そのままソレンディルの補助で浮かせ、テントに戻す。


ナイトは肉を食べたそうに鳴くが、テントに戻るまでおあずけ。

「これで残り四つだな。」

ガルムが確認すると、仲間たちは頷いた。


クロウの管理と次の作戦


テントに戻ると、エルドリンはすでに戻っていた。

子供のクロウと母親を見て、状況を確認する。

「無事完了したか?」

「はい、従魔契約を結び、逃げ出せないようにしました。寝床と餌も準備済みです。」


ガルムが尋ねる。

「次はどれを片付ける?」

「まずはディープバイトの後片付けですね。」

飛び散った血を洗い流し、遺体をマジックボックスに収納する作業は、二時間程度で完了。


他のパーティーメンバーは治療が終わり、全員がテントに揃った。

エルドリンはアイテムボックスから風呂を用意。ハーブの薬湯で回復を助けつつ、疲労を癒す。

ナイトも皆の手で洗い終え、寝床でぐっすり眠る。


夕食はソフィアとソレンディルが準備。

ガルムとエルドリンは、残り任務とベースキャンプへの帰還について打ち合わせる。


焚き火の語らい


夕食後、エルドリンは焚き火のそばで腰掛け、ソレンディルが隣に座る。

「エルドリンの日記を読んで、疑問に思ったことがあるんだけど……」

「どうぞ、何でも聞いてください。」


「エーテルリウムの夢、今も見ているの?」

「はい、ほぼ毎晩です。」


「滅んだ国の生き残りは?」

「ローラン・アイアンクラウンに率いられ、西方に村を作りました。"オヴェステ"村です。海岸には他種族はおらず、工芸品や商隊を通じて外界と交流していました。」


ソレンディルは推論を述べる。

「伝承された魔法は原型を留めず、現代魔法として使いやすく変化したのね。」

「その通りです。」


「日記にない禁呪は?」

「あります。相手を呪う呪詛や、蘇生魔法も含まれます。」


蘇生魔法の存在に、ソレンディルは驚きと恐怖を覚える。

もし現代に残っていたら、エーテルリウムは依然として世界に影響を及ぼす可能性がある。


エルドリンは真剣な眼差しで言った。

「この討伐が終わったら、遺跡の街に向かい、エーテルリウムの痕跡を辿りましょう。例え敵対する日が来ても、あなたとガルムがいれば対等に戦えるはずです。」


ソレンディルはその言葉を受け入れ、焚き火の炎を見つめながら、目の前の任務に全力を傾ける決意を新たにした。

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