第六章「新たなる脅威」1
彼女の家は死へ落ち込んで行き、その道は死霊の国へ向かっている。
彼女のもとに行く者はだれも戻って来ない。
命の道に帰りつくことはできない。
*
片桐茜、望月麻里江、霧島雨音、三人で歩く放課後の帰り道。
いつものように並んで歩く中、麻里江は最近になって気がかりになっていたことを二人に話すことにした。
「そういえば、他にもゴーストを祓ってる人がいるのかもって思って」
「あたし達の知らない別の魔法戦士?」
麻里江の言葉に茜は首を傾げて返事をした。
茜は身の回りにそういった話しを耳にしたことはなかった。
新入生二人と転校生の浮気静枝が入部し、社会調査研究部が部活動らしく六人での活動へと変わって二か月。
次第に自分達三人以外にゴーストに対抗できる超能力を持った別の魔法使いがいる可能性を麻里江は感じ取っていた。
「でも、千尋ちゃんは魔法戦士に覚醒してないんだよね?」
「それは間違いないけど」
「うーん、それだったら見当が付かないなぁ……。
可憐ちゃんが覚醒してたら自分からアピールしてくれてると思うし、静枝ちゃんは一人でゴースト退治をするようなタイプに見えないんだよね。
雨音はどう思う?」
話し合う茜と麻里江。部活中やクラスメイトがいる教室では魔法使いに関わる話ができないので茜たちはこうした機会に意見交換をしていた。
答えの出ない茜は話を聞いていた雨音にヒントを求めた。
「アリスの傾向を見ると、私たちに近い年齢の人を選ぶと思うんだけど。
ちょっと心当たりがないかな……」
神出鬼没のアリスに聞こうにもそれは難しい。雨音はお手上げだった。
「そっか……先生も言ってたもんね。この街で魔法使いに覚醒させているのは、そのアリスだろうって。あたし達の認識は間違いなかったって」
雨音の意見を聞いても答えは出ず、茜は再びアリスが動き出したのかもしれないという推測に終わり、三人の会話では疑問だけが残った。




