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14少女漂流記  作者: shiori


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Tips4「立花可憐」2

 ここからは恋愛事情について話します。

 入学して二か月が経ちましたが先日、私に同級生の彼氏が出来ました。

 中学の頃に彼氏がいて別れた経験があるので、初めての相手というわけではないのですが、今のところ順調な交際を続けています。

 相手の男子はサッカー部に所属していて、一年生でレギュラーを取れそうなところまで来ていて、大健闘しているところです。


 付き合うことになったきっかけはクラスメイトで偶然に仲良くなったからですが、彼氏曰く部活と無関係なところで彼女が出来てよかったとのこと。

 サッカー部には可愛いマネージャーもいるけど、そういう子と仲良くなって付き合うと後々大変なそうで、私の知らない苦労が運動部の中にはあるそうです。恐ろしいですね、見たくもないものです……嫉妬や妬みというものは。


 彼氏はサッカー部とは関係ないクラスメイトの私とは付き合っていても、周りに隠したりする条件は付けていないので、私は気にすることなく、社会調査研究部の仲間にもこのことを話すことにしました。

 

 すると……恐ろしいことに大変な騒ぎになりました……。


「ええええっ?! 可憐ちゃんに彼氏が……。

 そんなのおかしいよっ! あんまりだよっ!!

 まだ凛翔学園に入学して二か月しか経ってないのに……」


 茜先輩はもう半狂乱になって、オーバーアクションに両手を横にしながら私に顔を近づけながら信じられないという調子で迫ってきました。

 いや、そこまで驚かなくてもと思いましたが、雨音先輩と麻里江先輩も驚きのあまり言葉を失っている様子でした。


「先輩方! 女子高じゃないんですから、そんなに大騒ぎしなくても!」


 私がおかしいのかな? と思いつつも、そんなはずはないと思い、思い切って言葉を返しました。すると今度は麻里江先輩が真剣な表情で口を開いたのです。


「可憐ちゃん……認めて頂戴……。あなたは特別なのよ。選ばれた存在なのよっ! しかも運動部のサッカー部の子と付き合うなんて……騙されてるんじゃないよね? 簡単に身体を許したりしてないよね?!」


 最初は落ち着いている雰囲気だった麻里江先輩までもが私の彼氏いる宣言に気が狂ってしまったように、段々と言葉が毒づいていくようになっていた。いつも冷静なのに……こんな麻里江先輩は見たくなかった……由々しき事態だ。


「いえいえ……まだ付き合ったばかりですから、キスをしたくらいです」


「「キ、キス?!」」


 いや、そこで一斉にハモらなくても……。

 もう、私はこの悲惨な現場から逃げ出したい気持ちでいっぱいになりました。私が言葉を発すれば発するほど失言になっていく。

 恋愛話が先輩方になってこれほど狂わしてしまう危険な凶器になるなんて……想像だにしていませんでした。


「驚きすぎですから……高校生なんですよ、そこまで純粋無垢ではありませんよ。あぁ……私も彼も最初の恋人ではないですし……」


 私のこの発言がさらにクリティカルダメージを与えてしまったのか、麻里江先輩は鯉がするように口をパクパクとさせて、生きているのか死んでいるかさえ分からない事態となりました。


「凄いね……可憐ちゃんは。見かけによらず、大人だね……」


 絞り出すような声で雨音先輩が言う。この場において異常なのは私の方であるようだ。三人とも私以上に魅力的な女性方なのに、何故こんな展開になっているのか。モテそうにしか見えない三人にここまで予想外の反応をされるとはさすがの私も思わなかった。


「でも……先輩方はとても綺麗で性格もいいから、モテるんじゃありませんか……?」


 もうこれ以上恋愛話をするのはやめておけと、内にある本能が訴えかけていたが、考えてしまったら口が止まらず、私は思ったことをそのまま聞いてしまっていました。


「いや……告白をされることはあるけど、スポーツを一緒に楽しむ男友達以上に見られないというか……そう! トキメキがないのよ! はっきり言ってしまうと」


 おそらく混乱した頭のまま茜先輩が私に言う。確かに運動部の男子と仲良く遊んでいる姿をよく見かける茜先輩に色恋沙汰がないわけがない。

 しかし、茜先輩の発言は私の期待していたものではなかった。


「それはぶっちゃけすぎです……先輩、ちょっと男子たちが不憫に思えてきました……」


「だってさ……それにあたしって隠し事が多いから。実は魔法少女大好きだったり、夜な夜な街を歩き回って幽霊を探していたり。何にせよ本気で好きになった人もいないから、まだ処女性を保ったままの人生なのよ」


 ここまでぶっちゃけトークになるとは思わなかっただけに、私は茜先輩の不器用さを不憫に思うしかなかった。


「茜先輩のことは分かりたくないですけど分かりました。お二人はどうなんですか?」


 今度は二人にも聞いてみた。聞かれたらどうしようとずっと思っていたのか、既に子犬のように怯えた表情を両者ともにしていた。


「私? 私はまだ早いかなって……。それに家業もありますから。まずは巫女としての務めを一人前に出来るようにならないと」


「私は告白されたこともデ、デートもしたこともないから……。

 地味で目立たないから……って、そんなに可哀想な目で見ないでーっ!」


 答えたくない質問にも関わらず答えてくれた二人。

 二人とも、何ら女性として欠陥があるわけではないのに、恋愛を遠くに感じている状況のようだった。


「あぁ……それぞれ事情があることは分かりました……。

 恋愛話はこれにてお開きにしましょう……」


 私は一度目をつぶって、申し訳ない気持ちでこの手の話題を封印することに決めた。


「いやぁ……可憐ちゃんの恋愛話は気になるし、話してもらって全然かまわないんだけどね」


 茜先輩はそう言ってフォローしてくれるが、私だって自分だけ話すことに関して抵抗がないわけではない。

 当たり前のことだが恋愛経験があるなしに関わらず共感してもらえる相手の方が話していて楽しいのだ。

 そういう訳で、何か触れてはいけないことに触れてしまったような恋愛話はここで終わった。


「先輩方、アイスクリームでも買いに行きましょうか?」

「可憐ちゃん良いこと言うね、名案だよ!」


 かくして私は先輩たち共に部室を出て、アイスを買いに行く旅へと出立するのでした。

 

 三人にはこの先、良い出会いが訪れることを願わずにはいられません。

 心から茜先輩たちに幸あれです……!


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