第二章「導かれる者たち」4
危惧していた事態が早速発生した。
職員打ち合わせである朝会が終わった時を見計らって昨日の三人が私の机の前までやって来たのだ。
「先生、聞きたいことがあったので来ました。昨日の晩――」
「ごめんなさい、昨日の晩は娘の凛音と過ごしていたわ。
三人揃って仲がいいのはいいことだけど、物騒だから夜に出歩くのは感心しないわよ」
先頭に立って問い詰めようと言葉を強く言い放つ茜、それに対し、私は内心、三人に囲まれ戦々恐々とする意識の中、会話を断ち切ろうと強い口調で言った。
片桐茜、霧島雨音、望月麻里江。三人が同じ制服を着ている姿は統一感があって同列に扱いやすく見える。
だが、昨日それぞれが違う特徴的な衣装に身を包み公園でゴーストと戦闘している光景を見てしまった私には、強烈な別個の個性が三人にあることをすでに植え付けられてしまっていた。
一人一人体格も違えば性格も違い、趣味趣向も思想も少しずつ違う、恐らく戦いに身を投じる理由も……目的は同じであってもそれぞれ違う覚悟で臨んでいることだろう。
そこまでを踏まえると、どう一人一人とこれから接していけばいいのか、余計に考えさせられる自分がいた。
「先生、どうしてあたし達が夜に出歩いてるって」
「私は担任です、あなた達のことを何も知らないわけではありません。
いいですね? 朝から騒がしくしないで、素直に勉学や部活動に励みなさい」
実際、事前に調べられること、備えられることは多々ある。
家族関係や問題行動の有無、パーソナルなデータではあるが、人を理解するには不可欠な情報を既に持っている。
それを鵜呑みにするわけではない以上、交友関係などこれから知っていくことだって山ほどあるが、彼女たちとこの場で接する分には十分であると言えた。
当然のことながら納得できない様子で職員室を立ち去っていく三人、前途多難な始まりを改めて私は自覚した。




