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14少女漂流記  作者: shiori


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第十五章「明けない夜」1

 黒江は二学期が始まって早々、社会調査研究部の部員たちそれぞれに合った宝石の付いたネックレスを贈った。


 リリス討伐において強大の威力を発揮した切り札、マギカドライブ。

 あらかじめ宝石に込めた魔力を一度に開放し、魔力許容量を超えた魔術を発動できる秘術だ。


 黒江が茜に託した魔力の補充されたグリーントルマリンを使い発生させたマギカドライブと同程度に効果のあるものを、黒江は夏休みの期間、秘密裏に人数分準備していたのだった。


「可憐にはこれよ」


 皆が宝石の威力を目の当たりにしていただけに、自然と高揚感のある表彰式のような空気となり、背の高い黒江によってネックレスチェーンを首に掛けられる可憐。

 可憐に贈られた宝石の付いたネックレス。膨らんだ胸元で惚れ惚れするような輝きを放つネックレスに可憐は乙女モードになって頬を赤らめた。


「ありがとうございます……とても綺麗です」


「可憐にはどの宝石が似合うかなって考えたけど、これにしたの。

 可憐の誕生月から考えて十月の誕生石だとオパールやトルマリンもあったけど、恋に生きる可憐には、このローズクォーツが似合うかなって。

 これからも末永く可憐が幸せな恋を送れますように。

 ちょっと気恥ずかしい感じだけど、喜んでくれるかしら?」


 薄ピンク色のキュートな宝石、ローズクォーツ。恋愛の運気が上がるとされていることで人気があり、女性性を高めて、内面の美しさを輝かせてくれると言われている。


「はい……!! 私、先生みたいな愛妻家になります!

 大切な人の支えになれるよう、頑張りますっ!!」


 愛おしく手のひらの上で輝くローズクォーツを目の当たりにして興奮を抑えられない可憐。

 黒江は自分が愛妻家である自覚などまるでなかったので、可憐の言葉に思わず笑いがこみ上げた。


「可憐、茜の時も言ったけど、これは一度きり秘術だから大切にしなさい。

 でも、本当に成し遂げたい願いを叶えたいなら、迷わずに使ってちょうだい、それだけの魔力をしっかり込めてあげたから。

 あなたなら、使い方を誤ったりしないって信じているわ」


 可憐の思い出の中に強く刻み込まれた黒江の想い。

 

 大切な想いを胸に可憐は今日まで自分を信じて生き続けた。

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