そのときにもう一度
「これで全員分だ〜」
全ての日記を読み終えた僕は大きく体を反らし声を上げた。体から聞こえるポキポキという小さな音は、集中して読んでいた証だろう。
今年も児童の性格をある程度把握出来た気がする。やはりこの課題は有用に違いない。気づくと、自然と満足げな笑みがあふれて来た。
僕は今年度の学校生活に想いを馳せながら、原稿用紙をきれいにたたみ、机の中に入れた。
さて、6年2組はどんなクラスになるだろうか。
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もう何度目かの4月を迎えた僕に一つ、これまでの《《二年間》》にはない小さな変化が起こった。
2年連続で6年生のクラスを任されていた僕だったが、今年はどうも、1年生の担任を任されることになったらしい。
となると当然、これまで新学期に行っていたあの恒例行事にも、変化が訪れるわけで。
「一年生に日記は......ちょっと早いか〜」
職員室の机に座る僕は新品の原稿用紙を前に、そう結論を下した。
児童に日記を書かせる課題は、再び高学年の担当になったそのときにもう一度、行うとしよう。
1年後か2年後か、それはまだ分からないが、この原稿用紙は一時休憩だ。僕は引き出しの奥に、原稿用紙をしまった。
「......よしっ!」
そうして立ち上がり職員室を後にする。目指すのは、1年生の教室だ。姿勢正しく、胸を張って廊下を歩いていく。
太陽の光が降り注ぐ廊下は、歩いているだけで心地がよかった。




