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新たな一年
学校教育において、日記は非常に便利なシステムだと思う。単純な国語力だけでなく、児童の性格や私生活を自然に知ることが出来るからだ。
そういって児童に日記を書かせたあの日。時が経つのは早いもので、あれからもう一年が経過した。
去年の一年間。6年1組の児童には楽しく学びある学校生活を提供出来ただろうか。それはきっと、児童一人一人のみぞ知る事なのだろう。
そして今、私の目の前には、新しい原稿用紙が重ねて置いてある。
「......」
これは今年新しく担当する、6年2組の児童の日記だ。6年1組時代におこなった、日記を提出してもらう課題の再現である。
今思い返しても、あの日記は有用だったと思う。児童の漢字を書く力や語彙力、そして個人個人の人となりさえ垣間見ることができたのだから。
だからまた、新しい生徒にもこの課題を出したのだ。
「......」
今年の生徒は、どんな子たちだろう。僕は期待を込めて、1枚目へと目を向けた。




