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第4話 尋問

さて。

ネネへの恋心を自覚したところで、気になるのは彼女の素性だ。

イルカがまた陸に向けて泳ぎ出したのを確認しつつ、俺は思案する。


(……本人に直接聞くか)


こそこそ調べるのは面倒くさいし。




「なあ、ネネ」

『なに?』

「お前が実は末姫だ…とか、ないよな?」

『!? ななな、なに言ってるのよ阿呆!そ、そんにゃ訳ないじゃない!』

「…ふっ」


慌てすぎだろう……。嘘が付けないんだな、この子。


『鼻で笑うんじゃないわよ!』

「いや、慌てすぎだと思ったらつい…っていうか、それだと何かあるって言ってるようなもんだぞ?」

『そう、よね……。……認めるわ。わたしが末姫、アネモネ・シー・ロロレンスよ』


その名乗りを聞いて、俺がまず思ったのは。


「……末姫の名前ってアネモネっていうのか」


と、いうことだった。


『そこ!?っていうか知らなかったの!?』

「あー…。末姫で通じてたからな……名前を知ろうっていう考えが無かった」

『なにそれ……』


呆れられても、事実知らなかったし。

あと、好きな人のことならともかく、そうじゃない赤の他人のことは別に興味無かったしな……。




と、なると。


「ネネ……ええと、アネモネ姫って言った方がいいか?」

『ネネでいいわ』

「じゃあネネ。ネネはどうしてイソギンチャクの姿になってるんだ?」


王子に恋して陸にあがったはずの末姫が、なんでこんな姿で人魚の国に居たのか、ということだ。

とりあえず王子の排除計画を練りつつ、ネネの答えを待つ。


『そうね……。簡単に言うと、リナ……陸に上がって出来た友人の身代わりになったの。人魚の国に帰って来てたのは、その時のほとぼりが冷めるのを待つためなのよ』


……まさか、言葉も通じずただの魔物扱いされるとは思ってなかったけど、と苦笑するネネ。

その様子からは王子への執着は感じられず、俺は首を傾げる。


「……そういや、末姫は王子に恋して陸に行ったんだよな? そいつを放って海に戻って良かったのか?」


おそるおそる聞くと、『ああ、』と彼女はあっさりとした様子で言った。


『あれは口実よ。わたしはただ地上が見たかっただけ』


恋をしたって言えば、しぶしぶ協力してくれた海の生き物も居たしね、と彼女は付け加えた。


……俺の好きな人、たくましい。


『でも、そのせいであんたみたいなのが召喚されたんだから、よく分かんないわよね』


憎まれ口を叩くような口調で、でも優しい声音で、ネネはそう言った。

言外に「あなたに会えてよかった」と言われているような気がしたのは、俺の願望だろうか。


(あー、すきだなあ……)


俺の好きな人はたくましくて、すごく可愛い。

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