おばあちゃん、ごめんなさい
おばあちゃんごめんなさい。ほんとにごめんなさい。そして温かい目でみてくださいまし。
感謝の気持ちって大事。お詫びの気持ちも大事。らしい。聞いた話ねこれ。だって私にはそんな感情はないんだよ。
キレのある目。金髪。誰が見てもヤンキー。制服はもちろんルール違反をしまくっている。横にいるのはロングヘアの生徒会長。見るからに性格が逆の二人である。
下校中。細い道。目の前におばあちゃん。こちらには気が付いてない。右に左に小さく揺れながらゆっくりゆっくり歩いている。抜かすに抜かせない。しばらく歩いていたその時、舌打ち。え?ダメだって!という表情を見せる。
「何してんの?聞こえたらどうするの?」
「どうせ聞こえねえよ。」
どんな主張なのだろうか。道徳心はないのか?思いやり精神何それ美味しいの?状態。
「いい加減にしろ、このババ・・・。」
慌てて相手の口を押える。
「ババアはダメだって。」
必死になってささやく。
「聞こえるならむしろありがたいね。」
叫んだ。はい、聞こえた。はーい聞こえまーした。どうするんでーすか?めっちゃ恥ずかしいんですけど。
おばあちゃんは気づいてくれた。道も譲ってくれた。ありがたいよー。
「ごめんなさい、ありがとうございます。」
と
「へっ。」
の二つの言葉を浴びたおばあちゃんはまた、ゆっくり歩きだした。
「なんですぐに怒るのさ。」
「怒らずにいられるか。」
怒り顔のまま歩く黒髪ロングの生徒会長と、金髪ヤンキーは一緒になって、今日も同じ通学路を通ります。
全国のおばあちゃんごめんなさい。これからも温かい目でみてくださいまし。