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プロローグ
常識とは何か。
普通とは何か。
曰くそれを外れると一般的におかしいと見做され見放される。
曰く平凡と普通は異なる。
曰く常識は覆すものだ、と。
「常識とは十八歳までに身につけた偏見のコレクションのことをいう」とかのアルベルト・アインシュタインは言った。
「ならば、異常と特殊と非常と稀有も逸脱も奇奇怪怪も全て僕のために作られたものだ」とかの僕が言ったとして。
そうだとすれば。
必ずしも、純情そうで初心な黒髪剣士少年が主人公である必要はなくて。
必ずしも、癒し系幼なじみだとか、帰国子女の転校生だとか、ツンデレ妹がヒロインである必要はなくて。
必ずしも、物語がハッピーエンドである必要も無い。
だから。
物語を乗っ取ろう。
主人公を塗り替えよう。
この僕こそが新たな主になろう。
この僕────虎浜 翼 こそが。