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 今日も今日とて、我等が新たな居場所、研究室にて二人でヲタク会議。

 二人で使うにはいささか広過ぎる、二十帖程の部屋には何故かソファーセットまであるので優雅にお茶をしながら。

 

 訓練場の利用は、私かジュリエッタ氏が言えば一発なので、本当に不便が無い。まあ、利用許可を出している職員は、まさか私達がしょうもない事に使っているとは思いもしないだろうが。

 余談だが、ここの訓練場の防御術式はよくできている。お遊びの甲斐あってか、既に私は十全に魔力を利用できるようになっていた。

 流石に、魔法を直接扱うようになって半年なのに早過ぎん?とか思ったけど、ヒロイン補正かもしらんので考えるのを放棄した。何より趣味に活用できるならなんでもええ。殿下然り、イケメン達を落としたい訳でもないので、深く考えないのもさもありなん。

 特に危険な国落としレベルの魔法は流石に一学生の身分であるからして教えられていないが、貴族であれば全員が学ぶような下級魔法(ファイアボールやウィンドカッターといった、魔力持ちであれば誰でも行使できるもの)の熟達はかなりのものだ。流石に私が本気で使えば、下級魔法といえど学院は消し炭か荒野になるので、訓練場に掛けられている防御術式から逆算して、最高でも1/50程度に抑えている。

 貴族が全員下級魔法を学ぶのは、主に防御魔法を学ぶ上で必須だからだと。敵を知りってやつな。

 

 ちなみに私が遊びでよく使う幻術系は、入学して少し経った頃に教師に懇願して教えてもらった。教師も、私の魔力量を知っているからか、攻撃系の魔法よりもすんなり教えてくれた。魔法を使うことで、私に魔法を熟達させようという下心もあるらしかったが。

 お陰で入学半年で、魔力コントロールで言えば、国にさえ並ぶものがいない魔法戦闘師レベルの力量になっちゃいましたけどね!殺される未来は今のうちに消えてよかったよかった、あー本当よかったなーーー!!!!はぁ〜本当!!!!よかったわぁぁぁあああ!!!!!!

 

 

 

 「昨日はルーシュ先生との顔合わせで時間が終わってしまったから、今日はひとまず、同好会としての活動指針を話し合いましょう」

 「はーい!(はぁと)よろしくお願いしまーす!(はぁと)」

 

 そうなのだ、昨日は散々だった。もう、思い返すのも忌々しい。

 スイッチの入ったルーシュ先生に請われるまま、幻術魔法(魔法少女系オンリー)を展開させまくった。そのせいでだいぶ消耗した。主に私のメンタルが。

 有り余る魔力量で同時に声なんかも幻術魔法で再現できるのだが、年季の入った萌え豚のお眼鏡に適うように使わせられたらよ、そりゃあ、ねえ?精神がまあゴリゴリに擦り減るわ。

 というのも、幻術系の魔法が他の系統の魔法よりも、イメージ力が格段に物を言う為であるが。

 つまりな、私自身が萌え声を鮮明に想像しなければならいわけで、その魔法少女のキャラをちゃんと知らない私は動画を見ては自分で声を出して練習させられ、って回想させんな、吐血待った無し、腹切るぞワレ。

 

 それはそうと、活動方針である。

 今日は厄介なクソカス萌え豚イケメンがいないので、気を遣う必要がない。ジュリエッタ氏と思う存分お喋りするんだーい。ぐふふ〜。

 

 「それでね、あの〜、ええっと、その、ね。私ね、こう言ってはなんだけれども、幼い頃から夢があったのよ」

 「ん?……へぇ↑!?夢ェ!??ああ、すまん、いやそのな、公爵家の後ろ盾があればなんでもできそうだけど……?」

 「まあ、そうね。概ね間違っていないわ。けれど、前提として語るわね。私が前世を思い出したのは5歳の頃、一週間熱にうなされたのを未だに覚えているわ」

 「うっわぁ……よくぞご無事で」

 

 ご、5歳……。しかも一週間熱にうなされた!?いやさ、ネット小説でそういうの読んだことあるけれどもさあ!!うげぇ……。一歩間違えたら私もそうだったんじゃんかよぉ……。というか、現実でさ、そんな幼い身でよく持ち堪えたものだわな……。

 

 「私が大したことのない前世を思い出したのは入学式の日だし、熱にうなされる事もなかったけど……そんなに前世濃かったの??」

 「そう、ね。そうかもしれないわ。かつての私は若い頃から所謂2日目の壁サーで、商業にも進出していましたから、全作品細部まで思い出すには発熱する位のものだったかもしれないわね」

 

 は?壁サー?商業?マジでか!?

 

 「ちょい!ちょーーーーーい!!!!」

 「何かしら?ソフィー?」

 「んえぇ、と、壁サーで商業進出済み??てか、その言い方だと、もしかして壁常連??」

 「まあ、ええ。……その、聞いたことあるかしら?サークル名は『♡竿竹♂屋♡』で、商業名は『東 たけのこ』と言うの。まあ、吹けば消える作家ではあったけれども」

 「いやいやいやいや!!!!!!いやいや!!!!!!!!!!

 ええ!???!!!???!!!??『♡竿竹♂屋♡』様!?いや、てか、え!?『たけのこ』先生ってマジすか!!!!??????」

 「えっと、そんなに驚くことかしら?」

 「そら驚きもしますわな!!『たけのこ』先生言うたら、私らのような人種は絶対に通る道ですよ!?私も『♡竿竹♂屋♡』も『たけのこ』先生も全作品読みましたがな!?」

 「あら、嬉しい!特に商業のファンの生の声は貴重よね!」

 「ファーーーー…………(HP2相当のか細い声)驚きすぎて灰になりそう……(遠い目)」

 

 頬に片手を添えて、首を傾げるジュリエッタ氏マジで麗しい、好き。

 じゃなくてさ、この世界。もしかしてなんだが、私に大変にやさしいせかいか?ヒロイン特典なのか?

 

 「そういう訳で。どこぞのツインテ一族よろしく優雅たれと、理性で抑えつけていたとはいえ、生命の源とも言える創作活動を存分にして、あわよくばコミケを超えるイベントをこの世界に展開したい夢があるのよ。まあ、前世の記憶を思い出したところで、現実の私はソラル公爵家の人間ですし、現在アニメ系の企業って他派閥が牛耳ってますから、そういったイベントはバレたら、ね。問題が色々とあって。まだ子供だし協力者も見つかりそうになかったし、なので早々に諦めてノブレスオブリージュと、他の模範になるよう振る舞ってきたの」

 「なるほどな〜。私が聞いた噂は全て努力の結晶という事実なわけね〜」

 「だから、何にも期待せず、出来る事をコツコツやり、こっそり描いている創作物を封印し続け、将来はお父様のような無難な公爵として生を終えるものだと思っていたの。……貴女に出会うまでは」

 「わ、私か??てか、無難な公爵って何??」

 「ええ、良くも悪くも貴女に出会って、諦めていた情熱が再燃したのよ……貴女の魔法、アレは罪深い蜜の味でしてよ……」

 「あれ?私、悪影響与えちゃった系?」

 「そういう訳ですから、ソフィー、貴女も死ぬまで共犯よ。ということで、一先ずこの同好会の4年半の目標は、最終的に大きな創作系イベントをこの世界に誕生させることですわ!!」

 「あれ?私の声サイレントになってる?」

 「ああ、胸が高鳴るわ……まずはあっちの派閥の生徒をどうにか引き入れて、いくつかのオンリーから始めて、次に大きめの総合系の同人誌即売会を作って、そうしたらあちらの企業にも声をかけて、となると次期公爵としての付加価値でゴリ押しして……とすると……」

 「ちょっと?もしもーーーし!」

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