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フェアトラ傭兵戦記  作者: なっきー
1/1

第一部#1 出会いは必然に

!注意!

この作品はたくさんのグロ注意表現がありますので

苦手の方は早々に出てくことをお勧めします。

その他にも曖昧な表現が相当あると思います。

その度、寛大な心を持ってご指摘されると

うれしく思います。


「ハァハァ 数が...多すぎる」


彼女は面倒くさそうな顔をして、

馬に乗りながら後ろを確認する。

どうやら敵に追われているようだ。


「あの豚男爵、父上が不在の間に私をねらってくるなど

許されることでは無いのに~あぁークソーーー」


口ではそう言い、心の中でも

いくら私たちの領土が国境沿いだからって....もう最悪だな..あの豚野郎

と愚痴のような事をぐちぐち、ぐちぐち言っていると、

敵が馬に乗りながら彼女に矢を放ってくる。


ピュー


彼女の首横に擦り傷が付く。

「ぐっ!!」


危なかった。

私が相手の気配を察知して弓の矢を避けていなかったら...


彼女の体に寒気が走る。もしも、という可能性が彼女を

怯えさせたのだ。

だが、彼女も相手の気配から矢を避ける事から、

相当な実力者といえるだろう。

普通の人間なら、こんな鋭い察知能力など

持ち合わしていないはずなのだ。


この事と、

彼女が敵に襲われている事と、

自分の領土がと言っている事から容易に分かる。


彼女が位の高い一族の者だということが...

そして、今が戦争の真最中だということが...




彼女は馬を走らせ続けた。馬は木の根っ子を飛び越えながら、

森を抜けていく。


ここが木が多く狭い道で良かった。馬が飛び跳ねて、

標準が上手く合わないから

それでも的を射抜くように、

狙ってくるのは、さすが豚野郎の手下というところね。


彼女はいつの間にか豚男爵の呼び名が

豚野郎に定着していることに気付かず、

馬を走らせる。だが敵は地形に慣れてきたのか、

標準が定まいつつある。


もう少し気張るか...


「ごめん、ワーリスール少し辛いかもしれないけど我慢して」


彼女はそう言うと、更に馬の操縦に巧みさが増していく。

ワーリスール それが、馬の名前だろう。そのワーリスールも、

彼女の操縦に対応している。


敵はまだ彼女を矢で狙っているが、

達度が増した彼女を捉えきれない。

馬も狙おうとするが、

馬に乗ったまま斜め前に矢を放つことになるので、

思うように出来なさそうだった。


敵が白々としている中、

彼女に選択が託されたかのような

タイミングで

彼女が森の出口を見つけた。


どうする?ここを抜けて奴らを巻けるか?


森の中だからこそ、ここまで逃げれてきたことを

考慮し、思考を膨らます。


だが彼女は森にずっと居たら、

らちがあかないことに気付く。


このまま追いかけ回されるのも尺にさわるわね...

ここで巻かす!


彼女は強い意志を持ちながら、

一直線に森の出口へ向かう。

あと少し、あと少しで、巻ける。

どうか敵を完全に巻かすことが出来る土地で

あってほしい!........


.....................................!?

彼女は自然に馬を止めさせる。

その光景は彼女にとって衝撃的すぎる光景だった。


「こ、荒野...な...んて......... 」


彼女は再度、目をこらしてその土地を見る。


「ウソ....」


この森のすぐ近くに荒野なんてある訳がない。

そう考えて辺りを見回すと、

すぐ先に木があった様な痕跡がある。

そこで彼女は気が付いた。ここが....


「よりによっては伐採地なんて...最悪」


彼女にとって最悪的ともいえる、この状況の中、

気力を失ったところで、後ろから声がする。


「どうした?''鬼眼''(きがん)を持つ者よ 先程まで馬を無理に駆けさせて

いたではないか」


振り向くと、そこには、全身黒装束の敵の姿があった。

そしてその後ろには少数ながらも、一人に対しては多いと感じる

敵らの姿もあった。

だがそれよりも彼女が衝撃を受けたのは...


「!! ....気付いていた...鬼眼に...」


そう、彼女は鬼眼という言葉に衝撃を受け、反応したのだ。


「だから私を?」

「そうだ。男爵様が、お前が戦に出ている所を直にご覧になられたからな」


あの豚野郎が?戦を....

それに鬼眼を知られている以上、

捕まる訳にはいかない!


彼女に気力が戻っていく。

これは、鬼眼という言葉がキーになって

いるのだろう。


ここは少し相手を挑発したほうがいいわね。

最低でも捕まるよりは死んだ方が鬼眼を持つ者にとっては

いいことだから...


「仮にも貴族の娘をお前呼ばわりとはいい度胸ね 。黒虫」

「黒虫?」

「そうよ。虫のように群れなし、ドス黒いような

黒装束だから黒虫よ!それとも人の娘を追いかけ回す

ド変態黒装束の方がお気に入り?」

「............」


良し、上手くいったと思うわ。

完全にのってくれたでしょう。

ここで相手が自分から狂ってくれれば...


彼女の中で構成が進んでいく....

だが,それはただの妄想に過ぎなかった。


「...挑発しているつもりか?」


まさしく、一刀両断 その言葉が一番適するほど

一瞬でばれた。ばれてしまった。


ただ、彼女は疑問に思う。


「なぜ...分かったの?」


彼女は緊張した面で彼に問う。


「声が震えているからだ。死地に置かれれば仕方なかろうな」

「死地に...」


!....彼女は驚いていた。

この反応から見て、無意識なのだろう。

彼女は自分の手が小刻みに震えている事に気付く。


心は偽善でとおるけど、体は正直というところ...ね..


「さすがに戦の申し子と呼ばれたお前でも、恐れを覚えるだろう

これはもう対処できないだろうからな」


敵は更に追い討ちをかける様に、

もう一言付け加える。


「それに今のお前の状態では鬼眼を満足に使えず、その剣も本来の力を発揮出来ない

だろう。お前が例え剣の達人でも、鬼眼なしでは...この人数は無理だろう?」


そう、彼女が襲われた時、

それは戦争直後であり彼女の疲労感がMAXに達している頃であった。

そのため満足に鬼眼を使えないのだ。


あの時、敵が紛れ込んでいる事に気付いていれば........

こんな事には.......


彼女の胸の中に後悔が募る。

だが今となってはどれも遅き事態だ。


「さぁそろそろ頃合いだ」

「...もう少し余談を話すつもりはないのね」

「そうだな時間が惜しい」

「その言葉、本当?」

「俺が嘘をつくとでも思っているのか?」

「....そう...もっと長引かせて欲しかったのに...仕方ない...」


彼女はスゥと息を吐き一言、敵の眼球をみつめて言った。


「ならここで.........道連れにしてやる!」


彼女は隠し持っていたナイフを相手の首めがけて

一瞬で、死に近ずける速さで静かに突き出した。

ここで敵は死に果てるはず.....だったが

何かに、いや誰かに阻まれた。


「敵が近くにもう一人いた...のね」


彼女は目線を斜め後ろにそらす。

すると、そこには敵が、

動けば殺すと言わんばかりの形相で

彼女を睨んでいた。


彼女の中にはまだ覚悟がないのか、

それとも敵の威圧に圧迫されたのか

彼女は一寸とも動けない。

その時、敵が言葉を発した。


「バカな女だ...悪いな。お前は、はなから詰んでいる

結局、私を道連れにできなかった。いや、出来たとしても無駄だな」

「...........時間が惜しいと言っている割にはよく喋るじゃないの...それで、

殺しても無駄とはどうゆうこと?」

「お前は長を俺だと思って、道連れにしようとしたのだろう?

そこでお前は終わりだ」

「終わりってまさか...」

「そう、長は別にいる。俺のような下っ端と道連れなんて

ただの恥さらしになるということだ。まぁ長は不在だがな...」

「長が別?それに...不在?それって......本当? そんな言葉に確証は...」

「確証はなくともいい。少なくともお前は失敗という二文字をその身に刻んだ。」

「つっ!」

「だからお前は終わり...つまり詰んだんだ」


敵は淡々と告げる。

そして、彼女にいうことはあるかと言うかの様に

彼女を見つめる。


「そう....私はもう捕まる...というのね...最後に一つ質問させて」

「いいだろうお前はもう、どうすることもできないからな」

「....あなたたちはこの鬼眼が目当なんでしょ

なら何故、私を殺そうとしたの?」


彼女は、森の中で敵が首や心臓をめがけて矢を放ってきたことを

思い出して敵が''本気''だったことを思い出す。


「時間がかかるようだったら殺しても良いと言われたんだ。

だから殺しに重点を置いた。それにお前はこの後の宴会に邪魔だからな。

だがお前は口は悪いが体は少なくとも魅力的だ...乳以外は」


(乳以外って!!それに宴会?それはどうゆう...それにまさか!?)


「さぁそろそろ時間...楽しい時間の始まりだ。」

「楽しい時間ね...思った通り本当にド変態黒装束だったわけね...変態虫!」

「いくらでも言え。状況は変わらない」


彼女はさすがに身をあげることは嫌なのか、

とっさに逃げようとする。だが,


「おっと、逃げ出せるとでも思っているなら頭が痛いやつだな

もう、囲まれているのをわすれたか?」


それは当然、叶うわけもなく...

敵の手が薄気味悪く彼女の体に伸びてくる。


「嫌!嫌!近づかないでよ...」


彼女が後ずさりするが

敵の手が彼女の体に触れようとした。その瞬間...


...ザクッ...


一瞬の静寂が空間を切り去った。


「へ?何が............!!」


敵は何やら困惑しているようで彼女も

瞑っていた目を開けて敵を見る。すると


「こいつの左手が切り取られている...」


この一瞬の間で何が起きたの!?私は何もしていない

いったい誰が?まさか裏切り?

いや、違うこの状況での裏切りはない

私を屈辱させようとするコイツが嫌だったら、

楽しい時間とか言っている間に斬り殺しているはずだ。

本当に本当に誰が....?


彼女もまた敵と同じく困惑していた。

だが彼女はこの時、


「こんな、だだっ広い場所で女を襲うなんて趣味が悪い奴もいたもんだな」


光を見た。

髪は黒を基調になってるが髪の先の方は赤の髪、

服装はあまり目立たないもので茶色のものを頭から羽織っており、

前にはボタンがついている。全体からみて、男だろう。

どこにも光らしい光はないが、

彼女は見たのだ。光を、

それは直視で見たのではなく、

心で見た。つまり視たのだ。

希望という光を。


「おまっっえーーどう、やって!?」


左手を失った敵は痛みに耐えながらも、

必死に彼のいる方へ体を向ける。

それは、苦情な顔をしながらも

手を斬られたことに対して怒りを感じさせる

獣のような視線だった。


「へぇーそんな顔も出来るのか。さすが戦の鏡と言われるシュライユ家の娘を

拉致したことはあるな。まぁ俺よりも劣っているが...まぁいいか

かかってこいよ全員で。俺が相手してやるよ。」


そう彼がいった瞬間、先程から散開していた敵が弓を引く。

普通ならその量の多さで彼の血の海が出来上がるのだが、

そうはならなかった。

彼は第一矢を剣で叩き切ると同時に隠し持っていた小刀で死角から来ていた矢を

斬り、そこからの連続して来る矢を異常ともいえる速さで避けたり、剣や小刀で斬り落として

いった。それは、まさに圧巻ともいえる光景だった。


その光景に誰もが唖然としていた。彼女は驚嘆し、敵は慄然とする。

驚嘆と慄然、その言葉が今の、彼女と敵の状況を物語っているだろう。

敵は青ざめ、彼女は手が震えている。

ただ彼女は思う。敵も思う。

こんなところに彼のようなものがいる訳がないと...

きっと夢なのであろうと...

だが、夢でないことがすぐに分かった。

左手を斬られた敵が怒号を挙げて彼に叫びながら突進していく。


「そんなバカなことがあるかぁぁー!!」


その敵は失っていないもう片方の右手に剣を持ちながら彼めがけて剣を振り下ろした。

その攻撃にピクリとも反応せず、彼は小さな誰にも聞こえない声でこう言った。


「この世の中、バカなことはいくらでもあるんだよ...」


すると先に剣を突き出してきた敵を彼は無情にも斬った

その剣の太刀筋が見えないほどの速さで........

敵は最期まで彼を睨みながら無惨に散った。

そして、空間を完全に支配した彼は言った


「俺の名前はライアー:ジナート

頼まれごとによりこの女をまもらせてもらう!」


その勇ましいほどの宣告はその場にいる全員の心を握った。


彼女は思った...光というのは正しかったのだと

だが、同時に彼女は思う。

彼は深い深い闇も持っている......と


[続]
































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