疼く右腕
『森羅万象、あらゆる事象に意味があると思うな。理由があると思うな。ならば貴様は自分が生まれてきた意味を知っているのか?理由を知っているのか?否。お前らが言う意味は、理由は後付けでしかない。人は生まれて来るべくして生まれてきたわけではないのだ。それ故に何か試練を課されたわけでもない。ただ、生まれ、生きていくのだ。そこに意味も理由も必要ない。改めて言おう。森羅万象、あらゆる事象に意味が、理由があると思うな!無駄に思えることこそが必要である。無駄になっている無駄ではない行為が世の中を支えていることを忘れるな!結果として出たことが全てではない。その結果を伴うにつれ、生まれた犠牲を、無駄を忘れてはならぬ』
「んん……」
ふぁああ…
懐かしい夢を見たな…いや、そんな昔のことじゃないけど。
俺がまだあっちにいた時はご飯を食べてる時は爺様がずっとこんなことを俺に言い聞かせてくれたたんだよな。しかも毎日毎日違うことを話してくれるから全然飽きなかった。もう哲学者にでもなれよって思うくらいペラペラと小難しいことを話してくれた。爺様は戦時中、最前線にいたらしく戦争のことや武術のことも教えてくれた。爺様は足をなくしていたから実際にかけてもらったことはないが。だから武術の知識だけはある。まぁ使ったことがないんだけどね。この武術には特に名前があるわけでもない。爺様が戦時中に自然と身についていた敵兵をいかに早く音を立てずに殺すかの技だ。だから、空手でも柔道でもない。ある意味一番実践的で一番危険な武術だ。だから爺様は俺に緊急時以外は絶対に使うな!と強く念を押していた。まぁ…誰とは言わんが俺をボコボコにしてくれたクソ野郎にやられた時はバレないように受け身を取っていたんだけどね。それでも対人用だ。人外的な動きや体をしたやつにはどうしようもない。というか、そんなやつと面と向かって戦う機会なんてあるわけがない。戦車や戦闘機にはそれに相応したやつが相手となる。地雷を仕掛けたり対空ミサイルを使ったり…だから人外相手の武術など無いに等しいだろう。むしろあるなら教えて欲しいくらいだ。別にホームシックになったわけでは無いが、家族がとても恋しく感じる。俺にとって今一番信用できるのは家族だけだからな。友達なんていないし、クラスメイトという組織にも裏切られた。そしてこっちの世界には家族がいない。俺は何を信じていけばいいのだろうか。今は自分しか信じられない。だが、それでいい。信用できないやつを頼って裏切られるくらいなら信用なんてしないほうがいい。信用するなら相手の弱みを握ってからでも遅くはない。隙を見せたら付け込まれる。なら逆に付け込んで相手の弱みを握ればいい。最低でもフェアな立場の相手ではないと信用してはダメだ。これは極端なことかもしれないがこれぐらいがちょうどいい。俺の座右の銘は臨機応変だからな。臨機応変に対応していけばいいさ。さて、現実逃避はここでおしまいだ。いつまでもごちゃごちゃて考え事をしていても埒があかないからな。久しぶりにぐっすり眠れて心地の良い朝を迎えたんだが、俺の体に何かがまとわりついている感覚がする。見たくない。見たら後悔する気がする。というか外そうとしても外れねぇ!というかどんどん力がかかって締められていく!痛い!痛いよ!俺ってばレベルも上がってから肉体的な痛みなんて感じたことなかったのに!どんだけパワーあるんだよ!!!!…しょうがない。これは起こさないと抜け出せない。少し憂鬱だが起こそう。
そう決断し自分の体を見る。
案の定だよ!ちくしょう!あー…やっぱ学園長のところに何も言わずに置いてってもダメだよなぁ。
しかもこいつ…フウは俺の部屋を知らないはずだ。つまり誰かがここを教えたってことだ。
学園長…だよなぁ。くそぅ…あのロリババアめ…。いや何も言わず置いていった俺が悪いんですけどね?
というかさっきから揺さぶっているのに一向に起きる気配がしない。よく見ると服は着ているようだが…学園長が用意してくれたのかね?でもなんかサイズが合ってないと思うんだが…ポロリしそうなんだが。目のやり場に困る。静まれ俺の息子よ!頑張れ俺の理性!!!!
by the way
あ、そうか。学園長の服を着させてるのか。それは小さいはずだ。なんせあの学園長、見た目は小学生だ。それであの口調…女の子がおままごとをしているようにしか見えない。とても微笑ましい光景です。それでいかついおじさんやお姉さんが緊張した面持ちで話を聞いているところを見てたらもうね?笑いをこらえるのが必死で学園長の話が全然入ってきませんでしたよ。
お?やっと起きるか?
「んっ…んぁ…はぁ〜ぁ…はぇ?ここはどこ?」
「やっと起きたかフウ。早く離れろ、地味に痛い。っていうか腕が痺れてきたんだが?早く離れて!!!!腕が痺れると治るまでが苦痛だから!痛みとは違った苦痛があるから!」
「何いってるの?痛くないのに苦痛なの?それって大丈夫なの?フウが見てあげようか?これでも怪我とか病気とかの知識はほーふなんだよ!」
「分かった!分かったから!早く離れて!いつまで抱きついてるんだよ!!!!あぁ…腕の感覚が…これは数分は治らないやつだ…」
「ふぅん?よくわからないけどわかった!」
「やっと離れたか…くっ!腕が!腕がぁぁ!右腕が疼く!!!!中で小さな蟲が這いずり廻っているようだ!!くぁぁ!!!静まれ!!!!俺の右腕ぇぇえ!!!」
「ヨ、ヨルハ大丈夫?」
「ぁぁぁぁああああ!!!!大丈夫だから!!!大丈夫だから触らないでぇぇえ!!!!!触ると悪化するから!!!くっ!!!うぅ…………フウ…お前は水場でもいって顔を洗ってこい…あ、絶対服は脱ぐなよ?あと水場の中に入るのも禁止だ。わかったな?…くぅぅぅ……」
「? わかった〜!じゃあ行ってきまーす!!!!」
「ああ、もう戻ってこなくていいぞ。その方が俺の心と体のためだ」
俺だって年頃の男の子な訳でして、理性とか色々ふっとんじゃいそうなのですよ?
フウが窓から外へ飛び立ったのを見てようやく落ち着くことができた。というか飛び立つ時の風で俺の右腕が刺激される!今そこ敏感だから!!!!ひゃあっ!!!
「なかなかに騒がしい男じゃのう」
「え?うっ!ぁぁぁぁ!!」
びっくりして飛び上がったら机に右腕をぶつてしまった。声にならない悲鳴が口から漏れる。
痛い!!!!いや、痛いとはまた少し違うんだけど、でも痛い!!!!
「まぁまぁ落ち着け。そちに話しておきたいことがあってのう。それはまぁあのハーピーの娘のことなんじゃが、やつはそちを酷く気に入ったようでな?お主のそばにいたいと喚きおるのじゃ。まぁ若いけんぜんな男女の仲を邪魔するほどわしも野暮ではないからのぅ…ま、責任持って生活するのじゃよ?」
「いらないお世話ですよ!あれを引き取ってください」
どうせ無理なんだろうけどね。
「無理じゃ」
ですよねー。まぁ、それはそれとして受け入れよう。今はどうすることもできない。
他のお願いをしよう。
「それじゃあ、ホウに合う服をください。あの服だとホウには小さすぎます。主に胸部が。
細かいことを言いますと、破けにくく、ホウの腕でも着れる、着やすい服がいいです。あと、露出が少ないやつで。目のやり場に困るので」
ん?なんか学園長の雰囲気が変わった?こう、背筋にゾワッとくるような、肌がピリピリするような…
「そちは気づいていないようだから今の発言は不問にしてやろう…じゃが、警告はしておくぞ?発言には気をつけるがよい。ワシだってこう見えておなごじゃ。次はないと思え」
あ…。見た目が幼女だからそういうことは気にしないと勝手に勘違いしてた…。うぅ…この世界は怖い。子供相手にも安心して話しかけられない。
「そちの願い、確と聞き受けた。学校が始まるまでには用意しよう。あと、これはさっきの発言の罰じゃ」
そういうと学園長は人差し指を立ててこちらに向けた。何をさせられるのか?
指ツンでした。それも痺れてる右腕に。
「がぁぁあぁぁあ!!!右腕がぁぁぁ!ゔぅ…くぅぅぅ……」
「じゃあの」
クッソあのロリババア!!!いつか必ず仕返ししてやる!!!!
そう、強く決心したのでした。
皆さんは腕が疼いた(痺れた)経験はありませんか?私はたくさんあります。
腕が疼くと、どう表現したらいいのかわかりませんが、痛みとはまた違った苦痛がありますよねww
なんとか腕を曲げたり伸ばしたり、揺らしたりして早く治そうとするのですが、そううまくはいかない世の中。ある意味最悪のデバフだと思いますw行動不能、継続ダメージ、防御低下…。
それはさておき、読んでくれた方、ありがとうございます!質問意見等はいつでもウェルカムです!




