Side 弥生
これは弥生視点です。
夜葉が冒険者達とこの世界について教えてもらっている一方、よもや夜葉が生きているなどと微塵も思っていない勇者御一行31名が新たな拠点場所を決めて深夜だというのに一人を除いて誰も寝ることなく!その雰囲気は一部を除いて重く、どんよりと沈んでいた。
「すぅ、、、すぅ、、、んぅ、、、夜葉君、、、」
「弥生、、、」
魔法によって眠らされている弥生、それを悲しげで、寂しい瞳で見つめる静香。
静香の心の中はひどく荒れていた。
クラスメイトを見殺しにした罪悪感。
クラスメイトを助けようとした弥生を無理やり連れてきたことにより、弥生に嫌われるのではないかという恐怖。
いきなり周りの環境が変化したことによる混乱。
いつまたあの怪物が現れるかという不安。
何をすればいいのか、どこへ向かえばいいのか、そもそもここはどこなのか、、、何も分からないことへの絶望。
静香は思う。
私以上に不幸な人はいないんじゃないか。
私以上に苦しい人はいないんじゃないか。
私以上に困っている人はいないんじゃないか。
私以上に辛い人はいないんじゃないか。
静香は考える。
私たちは何をするためにここにいるのかーーー分からない。
私たちはどこへ向かえばいいのかーーー分からない。
私たちはこのまま死ぬしかないのかーーー多分そう。このジャングルで怪物、事故、病気、もしかしたらここにいるだれかが原因で殺されるに違いない。
なにせ、するべきことも、向かう場所も、自分たちはどこへ向かって行ってるのかも分からない。
こんな状況で正気を保てる?ありえない
こんな状況で冷静でいられる?ありえない
結局はーーーーみんな死ぬしかないじゃない
静香が結論に至ったのとほぼ同時に弥生の目が開く。
「ん、、ぁあ、、静香?ここ、、は、、夜葉君、、、夜葉君は!?静香!夜葉君はどうなったの!?無事だよね!?ねぇ!?」
「、、、夜葉君は死んだよ」
静香は弥生の眼を覚ますためにあえてきっぱりとなるべく言葉を少なくして言い放った。
「そん、、な、、嘘、、嘘よ!夜葉君はきっとまだ生きてる!夜葉君なら、、あの化け物からどうにか逃げれてるはずよ!!」
そこまで静かにじっとしていた豪鬼は現実を受け入れられない弥生を弄ぶかのように弥生に言い放つ。
「ギャハハハハハッ!それはありえねぇぜ、、あのゴミは、、夜葉はあの怪物が出る前にボコボコにしてやってたからよ!立つこともままならずに食われてるさ!ギャハハハハハッ!」
「そんな、、」
弥生は自分でも混乱していた。
どうして自分はあまり喋ったことのない男の子の身をこんなにも心配しているのか。
どうして彼が死んだことを受け入れられないのか。
どうして彼が死んだと言われるとこんなにも辛く、悲しく、胸を締め付けられるのか。
それは弥生自身が気づいていないだけで真相は簡単だった。
【戀】である。
今まで自分を縛っていた糸がもつれ、どうしようもなくなる。
それはまさに今までの弥生を表していた。
「落ち着くんだ!弥生さん!僕だって辛いよ、、悲しいよ、、クラスメイトを、見殺しにしたようなものだからね、、でもしょうがないじゃないか!夜葉君を救うためにみんなを犠牲にするわけにはいかない、、これは、、夜葉君は、しょうがない犠牲だったんだ」
その言葉を聞いた弥生はもう見限っていた。
クラスメイトとは所詮こんな仲でしかないのか、と。
助け合いのために行動を共にしているのではなく利用し、いざという時のために捨て駒として使うためにこんな状況でもクラスメイトという括りを持とうとしているのか、と。
弥生はもう信じなくなった。
クラスメイト?そんなのより集め、あり合わせの集団じゃないか。
友達?そんなもの少し気が合っただけの寂しさを誤魔化すただの他人だ。
欲しいのは信用できる仲間。
クラスメイトでも友達でもなく仲間だ。
弥生は密かに決意した。
人間の集落、あるいは街を見つけることができたらこんな集団を抜けてやる。
夜葉君を見捨てたこの集団に慈悲など、もう無い。
弥生の運命やいかに!
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