表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
長編お仕事小説 『それでも、火葬場は廻っている』  作者: くさなぎそうし
第三章 紅葉綾灰(こうようりょうばい) 花屋 秋尾 朱優(あきおしゅう)編
PR
38/74

第三章 紅葉綾灰 PART1



  1.



 ……いつからだろう、あなたの指が綺麗だと気づいたのは。



 黒く染まり汚れが落ちない彼の右手を見て、私の心は引き戻せないほど、惹かれていた。花を扱いぼろぼろになっていく彼の手に、狂おしいほどに魅力を感じてしまう。



 ……もう恋はしない。したくない。自分が辛いだけだとわかっているのに。



 仕事に生きると決めたのに、彼の声が私を惑わせる。あんな悲しい思いを二度とするのはごめんだ。だからこそ、私は地元を離れ、ここに来たというのに。



「ねえ、宇藤うどう君。私ね、地元に帰ろうと思うの……」



 夜風を浴びながら彼に微笑む。ホテルの一室からたなびく風が、鈴虫の音色を載せてこの空間にこだまする。



「私はもう、誰も失いたくないの。この職場に来たのだって、祐一ゆういちがいたから……」



 宇藤君といると私は駄目になってしまう。死に別れた夫に重ね合わせてしまい、素直に見ることができない。



「いいんです、僕は代わりでも……。あなたの傍にいれるのなら……」



 彼は困った表情を見せながらも、ただ静かに私を見てくれる。その優しさが辛い。



 これ以上、一緒にいる時間は耐えられない。



 息のできない恋はもう、終わりにしたい――。



「だからさ、私達……今日限りに、しよ?」



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ