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終わらない罪

「え?」


 終わったと思っていた。全ては終わっていなかったし、終わることなどないが、それでも一旦の区切りはついたと思っていた。これ以上関わってはいけないし、関わる気もなかった。

だが、今その脅威が、また私達に降りかかってきている。

 

「……自分が何を言っているか、分かってますか?」

「はい」


 思わずそう言えずにはいれなかった。だが何も響かない。

 恐ろしいほどにまっすぐな視線が私を突き刺す。揺るぎない信念。彼女はあの時と全く同じ目をしていた。


「いきなりでは失礼かと思ったので、事前にお話しだけはしておかないといけないかと思って」


 そんな礼儀があるのなら、何故それを許す。何故こんな事を言いに来る。

 どちらが悪いかなんて次元の話は、いくら言っても平行線で無駄であることは承知しきっていた。だからせめて、もう終わりにしたかった。今ある暮らしを、今ある現状を認め、やっていくしかないと思って生きてきた。

 なのに……。


「娘がどうしてもと言うんです。なので、宜しくお願い致します」


 彼女はもう一度頭を下げ、そしてそれで全てを成し得たと言わんばかりに当たり前のように背を向けて歩き始めた。


「ちょ、ちょっと待ってください!」


 思わず呼びかけて彼女の肩をつかんだ。


「そんなの、勝手すぎます!」


 くるりと振り返った彼女の顔を見て、思わず私は短く悲鳴を漏らし、肩を掴んだ手を急いで引っ込めた。しまったと思った。


「勝手? こんなに親切で、思いやりのあるお話、ないと思いますけど」


 通じないのだ。彼女には通じない。だからこそあの時、私は諦めた。これ以上、向き合えないと思ったのだ。


「宜しくお願い致します」


 そう言って再び歩き出した彼女を追う事は、もうできなかった。

 破滅の音が聞こえた。ばりばりばきばきと、壊れていく音がする。

 これ以上、壊れるのか。

 

 なぜ。どうして。

 これから訪れる日々に、私は耐えられるのか。


 娘の犯した罪に、これ以上。


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